2018年の結果

部門 受賞 ノミネート
作品賞 シェイプ・オブ・ウォーター

(日本公開:2018年3月1日)

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シェイプ・オブ・ウォーター

半魚人と女性のラブロマンス映画。ファンタジーもの。美しいおとぎ話である。 「怪獣もの映画として初のオスカー作品賞」とも言われる。

ヒレやウロコのある生々しい半魚人。最初は恐ろしい怪人に見えるが、だんだんとイケメンに見えてくる。 ヒロインの女性は発声に障害があり、口がきけない。簡単な手話や音楽で、半魚人と心を通わせていく。

メキシコ人のギレルモ・デル・トロ監督は怪獣や特撮を愛するオタク系として知られる。親日派。 特殊メイクの助手として映画界に入り、監督に。 「パンズ・ラビリンス」(2006年)でアカデミー賞3部門を獲得した。

前哨戦では、社会派ドラマ「スリー・ビルボード」と勝利を二分していた。 オスカーでは、華やかさや視覚的な芸術性で上回るシェイプ・オブ・ウォーターが勝利した。
長編アニメ賞 リメンバー・ミー

監督賞 ギレルモ・デル・トロ
(シェイプ・オブ・ウォーター)
  • クリストファー・ノーラン(ダンケルク)
  • ジョーダン・ピール(ゲット・アウト)
  • グレタ・ガーウィグ(レディ・バード)
  • ポール・トーマス・アンダーソン(ファントム・スレッド)
主演男優賞 ゲイリー・オールドマン
(ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男)
  • デンゼル・ワシントン
    「ローマンという名の男 -信念の行方-」
  • ダニエル・デイ・ルイス
    「ファントム・スレッド」
  • ティモシー・シャラメ
    「君の名前で僕を呼んで」
  • ダニエル・カルーヤ
    「ゲット・アウト」
主演女優賞 フランシス・マクドーマンド
(スリー・ビルボード)
  • メリル・ストリープ
    「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」
  • サリー・ホーキンス
    「シェイプ・オブ・ウォーター」
  • シアーシャ・ローナン
    「レディ・バード」
  • マーゴット・ロビー
    「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」
助演男優賞 サム・ロックウェル
(スリー・ビルボード)
  • ウディ・ハレルソン(スリー・ビルボード)
  • ウィレム・デフォー(フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法)
  • リチャード・ジェンキンス(シェイプ・オブ・ウォーター)
  • クリストファー・プラマー(ゲティ家の身代金)
助演女優賞 アリソン・ジャニー
(アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル)
  • メアリー・J・ブライジ(マッドバウンド 哀しき友情)
  • ローリー・メトカーフ(レディ・バード)
  • オクタビア・スペンサー(シェイプ・オブ・ウォーター)
  • レスリー・マンビル(ファントム・スレッド)
脚本賞 ゲット・アウト

(ジョーダン・ピール)

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  • ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ
    (エミリー・V・ゴードン、クメイル・ナンジアニ)
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  • スリー・ビルボード
    (マーチン・マクドナー)
  • シェイプ・オブ・ウォーター
    (ギレルモ・デル・トロ&ヴァネッサ・テイラー)
  • レディ・バード
    (グレタ・ガーウィグ)
脚色賞 君の名前で僕を呼んで

(ジェームズ・アイボリー)

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  • モリーズ・ゲーム
    (アーロン・ソーキン)
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  • ローガン
    (ジェームズ・マンゴールド、スコット・フランク、マイケル・グリーン)
     予告編(Amazon)→
  • ディザスター・アーティスト
    (スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー)
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  • マッドバウンド 哀しき友情
    (バージル・ウィリアムズ、ディー・リース)
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外国語映画賞 ナチュラルウーマン

(チリ)

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長編ドキュメンタリー賞 イカロス

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衣装デザイン賞 ファントム・スレッド

(マーク・ブリッジス)

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  • 「美女と野獣」(ジャクリーヌ・デュラン)
  • 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」(ジャクリーヌ・デュラン)
  • 「シェイプ・オブ・ウォーター」(ルイス・セケイラ)
  • 「ヴィクトリア女王 最期の秘密」(コンソラータ・ボイル)
撮影賞 「ブレードランナー 2049」

(撮影監督:ロジャー・ディーキンス)

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  • 「シェイプ・オブ・ウォーター」
  • 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
  • 「ダンケルク」
  • 「マッドバウンド 哀しき友情」
編集賞 ダンケルク
(リー・スミス)

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  • 「ベイビー・ドライバー」
  • 「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」
  • 「シェイプ・オブ・ウォーター」
  • 「スリー・ビルボード」
視覚効果賞 「ブレードランナー 2049」

 予告編(Amazon)→
  • 「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」
  • 「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」
  • 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」
  • 「キングコング:髑髏島の巨神」
録音賞 「ダンケルク」
  • 「ベイビー・ドライバー」
  • 「ブレードランナー 2049」
  • 「シェイプ・オブ・ウォーター」
  • 「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」
音響編集賞 「ダンケルク」
  • 「ベイビー・ドライバー」
  • 「ブレードランナー 2049」
  • 「シェイプ・オブ・ウォーター」
  • 「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」
メイクアップ&ヘアスタイリング賞 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
辻一弘、デヴィッド・マリノフスキ、ルーシー・シビック)
  • 「ヴィクトリア女王 最期の秘密」
  • 「ワンダー 君は太陽」
美術賞 「シェイプ・オブ・ウォーター」
  • 「美女と野獣」
  • 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
  • 「ブレードランナー 2049」
  • 「ダンケルク」
歌曲賞(主題歌賞) リメンバー・ミー
ギード・ブロック

(作曲・作詞:ロバート&クリステン・アンダーソン・ロペス)

 試聴(Amazon)→
  • 「Mystery of Love」(君の名前で僕を呼んで)
    スフィアン・スティーブンス
  • 「Stand Up for Something」(マーシャル 法廷を変えた男)
    アンドラ・デイ、コモン
  • 「Mighty River」(マッドバウンド 哀しき友情)
    メアリー・J. ブライジ
  • 「This Is Me」(グレイテスト・ショーマン)
作曲賞 シェイプ・オブ・ウォーター

(アレクサンドル・デスプラ)

 アルバム試聴(Amazon)→
  • 「ダンケルク」(ハンス・ジマー)
  • 「スリー・ビルボード」(カーター・バーウェル)
  • 「ファントム・スレッド」(ジョニー・グリーンウッド)
  • 「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」(ジョン・ウィリアムズ)
短編アニメ映画賞 親愛なるバスケットボール

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短編ドキュメンタリー賞 「Heaven Is a Traffic Jam on the 405(原題)」
  • ヘロイン×ヒロイン
     Netflix→
  • 「Edith+Eddie(原題)」
  • 「Knife Skills(原題)」
  • 「Traffic Stop(原題)」
短編映画賞 「サイレント・チャイルド」
  • 「DeKalb Elementary(原題)」
  • 「The Eleven O'Clock(原題)」
  • 「My Nephew Emmett(原題)」
  • 「Watu Wote: All of us(原題)」

2018年の最多受賞・最多ノミネート

作品賞 シェイプ・オブ・ウォーター
最多受賞の作品 「シェイプ・オブ・ウォーター」・・・4部門で受賞
最多ノミネートの作品 「シェイプ・オブ・ウォーター」・・・13部門でノミネート

日本人の受賞者とノミネート

部門 対象者 備考
メイクアップ&ヘアスタイリング賞 辻一弘
受賞
ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」で、主演ゲイリー・オールドマンの特殊メイクを担当。
※2008年以来、3度目のノミネート

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短編アニメ賞 「ネガティブ・スペース(原題)」(Negative Space) 桑畑かほる、マックス・ポーター共同監督

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歴代の日本人オスカー受賞者→

オスカー関連作品の劇場公開と動画配信

タイトル 日本公開日 ノミネートされた部門
「ダンケルク」

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劇場公開済み、動画ネット配信中 作品賞、監督賞、撮影賞、編集賞、録音賞、音響編集賞、作曲賞
「ゲット・アウト」

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公開済み、
ネット配信開始:3月28日
DVD発売:4月11日
作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞
「マッドバウンド 哀しき友情」

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劇場公開なし、動画ネット配信中(Netflix) 助演女優賞、脚色賞、撮影賞、歌曲賞
スリー・ビルボード

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2月1日(木) 作品賞、主演女優賞、助演男優賞、脚本賞、編集賞、作曲賞
「グレイテスト・ショーマン」

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2月16日(金) 歌曲賞
「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」

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2月23日(金) 脚本賞
「ナチュラルウーマン」
(チリ)

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2月24日(土) 外国語映画賞
「シェイプ・オブ・ウォーター」

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3月1日(木) 作品賞、主演女優賞、監督賞、助演男優賞、助演女優賞、オリジナル脚本賞、作曲賞、撮影賞、衣装デザイン賞、美術デザイン賞、編集賞、音響編集賞、音響ミキシング賞
「リメンバー・ミー」

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3月16日(金) 長編アニメ映画賞、歌曲賞
「ボス・ベイビー」

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3月21日(水) 長編アニメ映画賞
「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

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3月30日(金) 作品賞、主演男優賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、衣装デザイン賞、美術賞、撮影賞
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

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3月30日(金) 作品賞、主演女優賞
「ラブレス」
(ロシア)

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4月7日(土) 外国語映画賞
「心と体と」
(ハンガリー)

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4月14日(土) 外国語映画賞
「君の名前で僕を呼んで」

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4月27日(金) 作品賞、主演男優賞、脚色賞、歌曲賞
「ザ・スクエア 思いやりの聖域」
(スウェーデン、ドイツ、フランス、デンマーク)

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4月28日(土) 外国語映画賞
「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」

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5月4日(金) 主演女優賞、助演女優賞、編集賞
「ファントム・スレッド」

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5月26日(土) 作品賞、監督賞、助演女優賞、衣装デザイン賞、作曲賞
「レディ・バード」

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6月1日(金) 作品賞、助演女優賞
「判決、ふたつの希望」

 予告編→
8月31日(金) 外国語映画賞

作品賞の予想

「スリー・ビルボード」と「シェイプ・オブ・ウオーター」の激戦

(予想:◎最有力、○有力、△大穴)

作品名 予想と結果 日本公開日 解説
スリー・ビルボード

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2018年2月1日 娘の殺害事件が解決されないことに怒る母親と警察の話。人間ドラマ。 アメリカ中西部(ミズーリ州)の架空の田舎町が舞台。 2018年の「SAGアワード(俳優組合賞)」で、最高賞(最優秀キャスト賞)を受賞した。 SAGアワードの最優秀キャスト賞は、アカデミー賞と投票者のだぶりが多く、最も有力な前哨戦と言われている。 また、 ゴールデングローブ賞でも、ライバルの「シェイプ・オブ・ウォーター」をおさえて作品賞(ドラマ部門)を受賞した。 優れた脚本家として名高いマーティン・マクドナーが監督を手掛けたが、マクドナーが監督賞のノミネートから漏れたことが懸念材料。 主演フランシス・マクドーマンドは女優賞が有力。
シェイプ・オブ・ウォーター

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受賞
2018年3月1日 恋愛ファンタジー映画。 今回最多となる13部門のノミネートを獲得した。 ベネチア国際映画祭で最高賞の「金獅子賞」を受賞。 批評家協会賞でも、「スリー・ビルボード」に勝った。 ギレルモ・デル・トロ監督のファンタジー作品「パンズ・ラビリンス」は、2007年のアカデミー賞で3部門を受賞した。 トロ監督の作風は、アカデミー会員に気に入られやすいテイストだと見られている。
「レディ・バード」


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2018年6月1日 青春コメディドラマ。ゴールデングローブ賞で、コメディ部門の作品賞を受賞した。 映画評論家から絶賛されており、批評家が選ぶアワードでは、「ゲット・アウト」と並んで勝率が高い。 「マンブルコア映画」という分野の作品群で知られる女性監督グレタ・ガーウィグ(脚本も)の作品で、 「Mee Too(ミートゥー)」ムーブメントに象徴される「女性の年」の受賞作にふさわしいとの声も。 主演は、「ブルックリン」で主演女優賞、「つぐない」で助演女優賞にノミネートされたことがあるシアーシャ・ローナン。
「ゲット・アウト」

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2017年10月27日
(ネット配信開始:2018年3月28日、DVD発売:4月11日)
コミカルなホラー映画。アメリカの評論家が大絶賛し、ロッテントマトで99%という驚異的なスコアを獲得。商業的にも大成功し、わずか5億円という低予算で300億円近い興行収入を得た。 監督は、日本ではほぼ無名に近かった黒人コメディアンのジョーダン・ピール。 ホラー作品は、「羊たちの沈黙」以来一度も作品賞に選ばれていない。
「ダンケルク」

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2017年9月9日
(DVD発売:2017年12月20日)
戦争映画。制作費100億円超の大作。IMAX対応。「ダークナイト」などのバットマンシリーズや「インセプション」のクリストファー・ノーランが監督・脚本・製作を務めた。アメリカなどで大ヒット。評論家も称賛(ロッテントマトで93%)。第二次世界大戦の話。フランス最北のダンケルクが舞台。第二次世界大戦の映画は、オスカーに強いと言われる。ただ、夏場の公開から時間がたっているのが難点。
「君の名前で僕を呼んで」

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2018年4月27日 イタリアが舞台の青春映画。2017年1月のサンダンス映画祭に出品され、賞賛を浴びた。 ロサンゼルス批評家協会で作品賞を受賞。 イタリア人のルカ・グァダニーノ監督。 アメリカ、ブラジル、イタリア、フランスの合作。
「ファントム・スレッド」

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2018年5月 前哨戦の賞レースでふるわなかったが、オスカーでは6部門のノミネートとなり、驚かれた。 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」で2008年のアカデミー賞作品賞にノミネートされたポール・トーマス・アンダーソン監督の新作。 脚本もアンダーソン。1950年代のロンドンのファッション界が舞台にしたイギリスの王室ご用達の裁縫師の話。 主演は「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」などで3回オスカーに輝いているダニエル・デイ=ルイス。彼は本作をもって引退すると発表している。
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

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2018年3月30日 賞レースの終盤でやや失速気味と伝えられている。 スティーブン・スピルバーグ監督。メリル・ストリープとトム・ハンクスが出演。 ベトナム戦争をめぐる米国政府の機密文書「ペンタゴン・ペーパー」のスクープ報道(1971年)を描いた。 米ワシントン・ポスト紙の女性経営者キャサリン・グラハムと編集部門を率いる名物記者ベン・ブラッドリーが主人公。 この映画をめぐっては、ペンタゴン文書を最初にスクープした米ニューヨーク・タイムズ紙の記者たちが、自分たちの役割が軽視されるとの批判を展開している。
「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

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2018年3月30日 イギリス映画。戦争ドラマ。第二次世界大戦でドイツのヒトラーの攻勢に対峙するイギリスのチャーチル首相の話。「プライドと偏見」「つぐない」のジョー・ライト監督。ゲーリー・オールドマン主演。トロント国際映画祭に出品。


監督賞の予想

ギレルモ・デル・トロが優勢か

(予想:◎最有力、○有力、△大穴)

候補者 予想と結果 解説
ギレルモ・デル・トロ
「シェイプ・オブ・ウォーター」

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受賞
「パンズ・ラビリンス」で絶賛されたメキシコ人監督。 今回の賞レースでは、ゴールデングローブ賞などの前哨戦で圧勝しており、オスカーでも優勢と見られる。 一つ一つのシーンを芸術的に仕上げる技量は、専門家からも高く評価されている。 作品全体としても勢いがあり、追い風に乗っている。
クリストファー・ノーラン
「ダンケルク」

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「ダークナイト」「インセプション」という過去の秀才で監督賞を逃した。(ノミネートすらされなかった)。 「今回こそは」という心理が働く可能性がある。 「ダンケルク」では、実験的な試みを成功させながらも、商業的に楽しめる作品に仕上げた。 その手腕はこれまで以上に称賛されている。
ジョーダン・ピール
「ゲット・アウト」

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初監督にして、傑作コメディ映画を作り上げた。「新人監督賞」という部門があれば確実に受賞。
グレタ・ガーウィグ
「レディ・バード」

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唯一の女性候補。
ポール・トーマス・アンダーソン
「ファントム・スレッド」

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監督賞にノミネートされるのは、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のとき以来2回目。 (脚本家としてはもっとたくさんノミネートされている)。 今回はノミネートされないかと思われていたが、候補入りした。

主演男優賞の予想

ゲイリー・オールドマンが有力

(予想:◎最有力、○有力、△大穴)

候補者 予想と結果 解説
ゲイリー・オールドマン
「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

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受賞
ベテラン俳優の初めてのオスカー獲得が有力視されている。 チャーチル首相を見事に演じ、SAG(俳優組合)アワードやゴールデンなど主要な前哨戦で勝利している。 30年以上にわたる功績を称えるムードも強い。
ティモシー・シャラメ
「君の名前で僕を呼んで」

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若干22歳の若手。 今回、戸惑うゲイ青年を見事に演じ、称賛を浴びた。 ニューヨーク映画批評家協会賞などいくつかの大事な賞では、オールドマンに勝った。
ダニエル・デイ・ルイス
「ファントム・スレッド」

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本作をもって引退すると表明している。今回も説得力のある演技をしたと評価されている。すでに3回オスカーを受賞しており、今回はノミネートにとどまるとの予想が多い。
デンゼル・ワシントン
「ローマンという名の男 -信念の行方-」

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主演または助演として8回目のノミネート。2年連続。すでに2回オスカーを受賞している。
ダニエル・カルーヤ
「ゲット・アウト」

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期待の若手黒人俳優。

主演女優賞の予想

フランシス・マクドーマンドが有力

(予想:◎最有力、○有力、△大穴)

候補者
(ノミニー)
予想と結果 解説
フランシス・マクドーマンド
「スリー・ビルボード」

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受賞
「スリー・ビルボード」では怒れる母親を熱演。 SAGやゴールデングローブなどオスカーの前哨戦で連勝した。 1997年に「ファーゴ」でオスカーを獲得しており、2回目の受賞が有力視されている。 ノミネートは5回目となる。 夫はコーエン兄弟のジョエル・コーエン。
サリー・ホーキンス
「シェイプ・オブ・ウォーター」

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ウッディ・アレン監督の「ブルージャスミン」で、ケイト・ブランシェット演じるジャスミンの妹役を演じ、2014年のオスカーの助演女優賞にノミネートされた。 今回は、「シェイプ・オブ・ウォーター」の主人公として名演を見せ、作品を支えた。 いくつかの評論家の映画賞では、フランシス・マクドーマンドに勝利している。
シアーシャ・ローナン
「レディ・バード」

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2008年に「つぐない」で13歳の若さでオスカーにノミネートされ、 2016年も「ブルックリン」でノミネートされた。 今回の「レディ・バード」では、母親とぎくしゃくした関係にある主人公の女子高生を演じ、大絶賛された。
マーゴット・ロビー
「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」

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「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の新妻役で有名。
メリル・ストリープ
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

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20回目のノミネートで、自身の持つ最多記録を更新。 4回目の受賞なるか。

助演男優賞の予想

ロックウェルとデフォーの接戦か

(予想:◎最有力、○有力、△大穴)

候補者 予想と結果 解説
サム・ロックウェル
「スリー・ビルボード」

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受賞
スリー・ビルボードにおいて、差別主義者で暴力的で狂気じみたところがある警察官を熱演。映画の見せ場を多くつくった。 俳優としては高い評価を得てきたが、オスカーは今回が初のノミネート。前哨戦では、SAGアワードとゴールデングローブを制し、勢いに乗っている。
ウィレム・デフォー
「フロリダ・プロジェクト(原題)」

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ベテラン俳優。過去に「プラトーン」「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」で助演男優賞にノミネートされており、今回で3回目。 賞レースでは、批評家が選ぶ賞で連勝したが、SAGとゴールデングローブでは、ロックウェルに敗れた。
リチャード・ジェンキンス
「シェイプ・オブ・ウォーター」

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「シェイプ・オブ・ウォーター」を演技面で支えた立役者。 オスカー候補入りは、名作「扉をたたく人」で主演男優賞にノミネートされて以来、2回目。
ウディ・ハレルソン
「スリー・ビルボード」

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部下たちに慕われる田舎の警察署長を演じた。過去に「メッセンジャー」でノミネート。
クリストファー・プラマー
「オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド(原題)」

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大ベテラン俳優の3度目のノミネート。前回は、2012年に「人生はビギナーズ」で候補となり、初受賞している。


助演女優賞の予想

アリソン・ジャニーが一歩リード?

(予想:◎最有力、○有力、△大穴)

候補者 予想と結果 解説
アリソン・ジャニー
「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」

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受賞
悪徳スケーター、トーニャの母親を演じた。 (この母親は、ウエイトレスをしながら家計を支える一方で、トーニャを虐待していたと言われている。) アリソン・ジャニーにとって、メイクを含めて大がかりな「変身」を伴う役作りとなり、アカデミー賞では票を集めやすいと見られている。 初のオスカーノミネートとなったが、役者としての活躍は長く、実績は豊富。 事前の賞レースでは、映画評論家のアワードでいくつか受賞を逃したものの、 ゴールデングローブやSAGアワードは勝利。 オスカーでも優勢が伝えられている。
ローリー・メトカーフ
「レディ・バード」

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映画とテレビで活躍してきたベテラン女優。 今回、主人公(レディバード)の母親役を演じ、絶賛された。 全米批評家協会賞など重要な評論家系アワードで助演女優賞を受賞。 アリソン・ジャニーの最大の対抗馬と見られている。
メアリー・J・ブライジ
「マッドバウンド 哀しき友情」

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伝説のソウル&ラップシンガーが、女優としても見事なパフォーマンスを披露。 人種問題などアメリカ現代史の暗部を描いた本作を盛り立てた。 歌曲賞でもノミネートされている。
オクタビア・スペンサー
「シェイプ・オブ・ウォーター」

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「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」でオスカーを受賞。 2017年の「ドリーム」に続いて2年連続でのノミネートとなった。
レスリー・マンビル
「ファントム・スレッド」

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テレビや舞台で長く活躍。映画ではマイク・リー監督の作品で知られ、とくに「家族の庭」では演技力が称賛された。

アニメ部門(長編アニメ映画賞)の予想

(事前予想:◎最有力、○有力、△大穴)

作品名 予想と結果 日本公開日 解説
「リメンバー・ミー」

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受賞
2018年3月16日 ピクサーのCG映画。 ピクサーとして初めてのミュージカル映画となった。 原題は「Coco」。 ギターが天才的に上手な12歳の少年ミゲルが主人公。 評論家から高く評価されており、ロッテン・トマトで97%というスコアを獲得。 米国内での映画賞のアニメ部門で連勝している。
「ザ・ブレッドウィナー(原題)」(The Breadwinner)

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未定 大人向けのアニメ映画。 タリバンに支配されたアフガニスタンが舞台。 父親が不当に逮捕されてしまった少女が主人公。 一家の家計を支えるために少年のかっこうをしなければならなくなった。 カナダ、アイルランド、ルクセンブルクの合作。
「ゴッホ 最期の手紙」

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2017年11月3日 オランダが生んだ巨匠画家ゴッホの生涯を描いた。 とりわけ、その「死」にスポットをあてている。 全編が油絵で描かれた初めてのアニメ映画。 115人の画家のチームによる6万5000の絵で構成されている。 ポーランドとイギリスの合作。 国際的なアニメ映画の賞をいくつか受賞している。
「フェルディナンド(原題)」(Ferdinando)

予告編(字幕なし)→
未定 アメリカのCG映画。スペインの闘牛フェルディナンドが主人公。 闘牛よりも、花の香りをかぐのが大好き。
「ボス・ベイビー」

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2018年3月21日 アメリカのCG映画。 ボス・ベイビーとは、大人の頭脳を持った赤ん坊。 ボス・ベイビーが主人公で、ボス・ベイビーを弟に持った7歳のティムの困惑が描かれている。 監督はアニメ映画「マダガスカル」で共同監督を務めたトム・マクグラス。 原作は、絵本「あかちゃん社長がやってきた」。批評家からの評価はあまり高くなかったが、大ヒットした。

作品賞ノミネートから漏れた映画

作品名 予告編 日本公開日 解説
「ワンダーウーマン」

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日本版 劇場公開終了。12月2日にDVD発売 著名なアメコミ(米国の漫画)の映画化。全世界で大ヒットした。 映画監督の経験がわずか2本だった女性パティ・ジェンキンスを監督として抜擢。 女性監督による映画として史上最高の興行成績を収めた。 評論家からも称賛され、ロッテン・トマトの「史上最高のスーパーヒーロー映画ランキング」で1位に輝いた。 作品賞にノミネートされれば、アメコミ映画としては史上初となるため、注目されたが、候補から漏れた。
「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」 字幕なし 2018年5月4日 米国のフィギュアスケートの五輪代表、トーニャ・ハーディングの伝記。 ハーディングは、ライバルのナンシー・ケリガン選手への襲撃事件に関与したとして、悪名が高い。 ゴールデングローブ賞のコメディ映画部門で、作品賞や主演女優賞にノミネートされた。
「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」
(Battle of the Sexes)
字幕なし 未定 女子テニスの女王ビリー・ジーン・キングと、男性の王者ボビー・リッグスとの男女対抗戦(1973年)を描いたコメディ。 監督はバレリー・ファリスとジョナサン・デイトン。主演は「ララランド」で最優秀主演女優賞を獲得したばかりのエマ・ストーン。 そして、「リトル・ミス・サンシャイン」のスティーブ・カロル。トロント国際映画祭に出品。
「フロリダ・プロジェクト(原題)」
(The Florida Project)
字幕なし 未定 母親とモーテルで暮らすことになった6歳の女の子の話。ウィリアム・デフォー主演。監督は「タンジェリン」のショーン・ベイカー監督。
「サバービコン(原題)」
(Suburbicon)
字幕なし 未定 ジョージ・クルーニー監督の犯罪コメディ。脚本はコーエン兄弟ら。マット・デイモンやジュリアン・ムーアが出演する。 ベネチア国際映画祭とトロント国際映画祭に出品。
「グレイテスト・ショーマン」 日本版 2018年2月16日 19世紀のアメリカの伝説的な興行師、PT・バーナムの伝記。ミュージカル。 ヒュー・ジャックマン主演。 評論家の評判はそれほど高いわけではなかったが、ゴールデングローブ賞のミュージカル部門の作品賞にノミネートされた。
「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」
(The Big Sick)
字幕なし 2018年2月23日 ロマンチック・コメディ。保守的なイスラム教徒の両親を持つパキスタン系アメリカ人男性が、白人女性と恋愛関係になる話。 人気テレビドラマ「シリコンバレー」で知られる俳優クメイル・ナンジアニと、その妻エミリー・ゴードンの実体験にもとづいており、この夫婦が脚本を執筆。 ナンジアニは自ら主役を演じた。アメリカで大ヒットした。
「ダウンサイズ」 字幕なし 2018年3月2日 最新の技術を使って、ある夫婦が自主的に小人になる話。SFコメディ。「サイドウェイ」「ファミリー・ツリー」のアレキサンダー・ペインが監督。主演は 「オデッセイ」「ジェイソン・ボーン」のマット・デイモン。べチネチア国際映画祭に出品。
「ブレードランナー 2049」 日本版 2017年10月27日 1982年の傑作SF映画「ブレードランナー」の続編。前作に続きハリソン・フォードが出演した。主演はライアン・ゴズリング。「メッセージ」でオスカーの監督賞にノミネートされたドゥニ・ビルヌーブが監督を務めた。
「ディザスター・アーテイスト(原題)」
(The Disaster Artist)
字幕なし 未定 ジェームズ・フランコが、監督と主演の両方を務めた。 史上最低のアメリカ映画として知られる「The Room」を製作した若者を描いた。 コメディ映画として、史上初めてIMAX形式で上映された。

誇大広告賞

アカデミー賞の名前を利用した最も大げさな広告を編集部が選定。 「誇大広告賞」として表彰します。 日本国内での宣伝活動が対象です。


作品名 理由
デトロイト ポスターやチラシなどで「本年度アカデミー賞最有力!」と大きな文字で宣伝した。(画像→

しかし、本国アメリカにおいて本作が「最有力」と予想する主要メディアや著名評論家はほとんどいなかった。 「最有力」とする根拠として、「ハリウッド・レポーター」という業界誌のコメントが紹介されているが、 同誌の公式サイトの事前予想では、作品賞ノミネートの最有力候補の10作品の中にデトロイトが入っていない。(次点組の6作品の中には入っている) ハリウッド・レポーター→

案の定、アカデミー賞にはノミネートすら全くされなかった。 ノミネートがゼロだったことについて、 現地の主要メディアからは特だん驚きの反応は見られなかった。 米紙ニューヨーク・タイムズやハリウッド・レポーターなどは、 本年度オスカーのノミネートのサプライズに関する記事で、 「ワンダーウーマン」が候補から外れたことなど挙げたが、 デトロイトには言及していない。 ニューヨーク・タイムズ→

本作はゴールデングローブ賞やSAGアワードなど他のメジャーな映画賞にもノミネートされなかった。(デトロイトの受賞歴一覧→

なお、日本における配給会社はロングライド。

選考・発表・放送のスケジュール

2018年1月5日 ノミネート投票開始
2018年1月12日 ノミネート投票終了
2018年1月23日(火) ノミネート発表
2018年2月20日 本投票開始
2018年2月27日 本投票終了
2018年3月4日(日)
(日本時間5日)
授賞式(結果発表)
※WOWOWで放送
5日午前8時30分~同時通訳で生中継
午後9時~字幕版