1930年代のアカデミー賞の受賞結果とノミネート(候補作品)の一覧表です。(アワード・ウォッチ編集部)
年 | 受賞作 | |
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1939年 | 「我が家の楽園」 | 詳細↓ |
1938年 | 「ゾラの生涯」 | 詳細↓ |
1937年 | 「巨星ジーグフェルド」 | 詳細↓ |
1936年 | 「戦艦バウンティ号の叛乱」 | 詳細↓ |
1935年 | 「或る夜の出来事」 | 詳細↓ |
1934年 | 「カヴァルケード」 | 詳細↓ |
1933年 | 「グランド・ホテル」 | 詳細↓ |
1932年 | 「シマロン」 | 詳細↓ |
1931年 | 「西部戦線異状なし」 | 詳細↓ |
1930年 | 「ブロードウェイ・メロディー」 | 詳細↓ |
アカデミー賞は1929年にスタート。第3回目となる1931年には有名な反戦映画「西部戦線異状なし」が作品賞に選ばれました。1935年には「或る夜の出来事」が作品賞など主要5部門を独占しました。
(1939年 | 1938年↓)
1939年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「我が家の楽園」
【配信:アマゾン】 監督:フランク・キャプラ 社会風刺のきいた喜劇。ハメを外した滑稽さの中に、ヒューマニズムが貫かれている。 軍需景気を見越して、今で言う地上げに乗り出している男と、買収に応じない頑固な老人一家のテンヤワンヤを描いた。個性派ぞろいのファミリーが笑いを誘う。ドタバタながらおおらか。同時に現代社会の矛盾をつく。 フランク・キャプラは本作で3度目の監督賞に輝いた。キャプラ監督の理想主義や平等主義が反映されている。 <フランク・キャプラ>1897年、イタリアのシチリア島生まれ。6歳の時に家族とともに米国へ移住した。新聞の売り子や酒場でバンジョーをひいたりしながら、苦学して、カリフォルニア工科大学を卒業。1921年映画界に入る。喜劇の監督などをへて「或る夜の出来事」(1934年)でアカデミー監督賞を受賞した。以後も「オペラ・ハット」と本作で計3度同賞を受賞した。 このほか、ジェームス・スチュアートを主役とした「スミス都へ行く」「素晴らしき哉、人生!」など社会風刺とヒューマニズムを感じさせる多くの作品を撮り、米国映画に一時代を築いた。 1991年9月3日、老衰のため、カリフォルニア州ラキンタの自宅で死去した。享年94歳。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | フランク・キャプラ (我が家の楽園) |
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主演男優賞 | スペンサー・トレイシー (少年の町) |
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主演女優賞 | ベティ・デイヴィス (黒蘭の女) |
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助演男優賞 | ウォルター・ブレナン (Kentucky) |
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助演女優賞 | フェイ・ベインター (黒蘭の女) |
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原案賞 | 少年の町 (エリナー・グリフィン、ドア・シャリー) |
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脚色賞 | ピグマリオン (イアン・ダルリンプル、セシル・ルイス、W・P・リップスコーム、ジョージ・バーナード・ショー) |
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1938年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「ゾラの生涯」
【配信:アマゾン】 監督:ウィリアム・ディターレ フランス文豪エミール・ゾラの伝記。ゾラは19世紀から20世紀初頭に活躍した自然主義作家。 とくに、ゾラが深くかかわった「ドレフュス事件」にスポットがあてられている。 ドレフュス事件は、フランスで起きた冤罪事件。 1894年、フランス陸軍のユダヤ人将校アルフレッド・ドレフュスが、スパイ容疑で逮捕され、軍事裁判で終身刑を言い渡された。 背景にはユダヤ人への差別があった。 怒ったゾラは、大統領を弾劾する声明を出す。 ゾラを中心とする「人権擁護派・共和派」と、 「軍部・反ユダヤ主義者」らの間で論争が起きた。フランス世論を二分する対立に発展した。 本作は、ファシズムとの戦いがテーマになっている。 公開された1937年は、日独伊防共協定が締結され、ファシズムの脅威が広がっていた。 米国はこの時点では孤立主義を続けていたが、第二次世界大戦の危機は迫っていた。 こうした世相もあって、本作に対する票が集まった面もあるようだ。 【あらすじ】パリの屋根裏で、画家セザンヌと共同生活をしていた。 娼婦を描いた小説がベストセラーとなる。 その後もヒット作を連発する。 しかし、参謀将校ドレフェスがスパイ容疑で投獄されると、 彼の妻の依頼で擁護活動を行い、軍から圧迫を受ける。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | レオ・マッケリー (新婚道中記) |
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主演男優賞 | スペンサー・トレイシー (我は海の子) |
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主演女優賞 | ルイーゼ・ライナー (大地) |
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助演男優賞 | ジョセフ・シルドクラウト (ゾラの生涯) |
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助演女優賞 | アリス・ブラディ (シカゴ) |
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原案賞 | スタア誕生 (ウィリアム・A・ウェルマン、ロバート・カーソン) |
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脚色賞 | ゾラの生涯 (ノーマン・ライリー・レイン、ハインツ・ヘラルド、ゲザ・ハーゼック) |
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1937年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「巨星ジーグフェルド」
【配信:アマゾン】 監督:ロバート・Z・レナード ニューヨーク劇場街ブロードウェイの超大物フローレンツ・ジーグフェルドの伝記。 豪華ミュージカル。23曲の歌曲がちりばめられている。見どころたっぷり。3時間の大作。 カーニバルのサイドショーから始めたジーグフェルドが、ブロードウェイに進出し、華やかな舞台を創り上げる。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | フランク・キャプラ (オペラ・ハット) |
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主演男優賞 | ポール・ムニ (科学者の道) |
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主演女優賞 | ルイーゼ・ライナー (巨星ジーグフェルド) |
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助演男優賞 | ウォルター・ブレナン (大自然の凱歌) |
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助演女優賞 | ゲイル・ソンダガード (風雲児アドヴァース) |
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原案賞 | 科学者の道 (シェリダン・ギブニー、ピエール・コリングス) |
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脚色賞 | 科学者の道 (シェリダン・ギブニー、ピエール・コリングス) |
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1936年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「戦艦バウンティ号の叛乱」
【配信:アマゾン】 監督:フランク・ロイド 超大作。当時としては破格の製作費200万ドルが投じられた。 イギリス海軍の武装輸送船「バウンティ号」を舞台にした船員たちの反乱事件を描く。 原作は同名のベストセラー小説。実際に起きた事件に基づいている。 1789年、南太平洋を航行中のイギリスの帆船で反乱が起きた。 副艦長以下17人の乗組員たちは艦長の横暴に耐えかねて、艦長らを小型ボートで追放。 自分たちはタヒチで女性を含む現地人を船に乗り込ませ、安住の地を求めて南太平洋をさまよい、ピトケアン島にたどり着いた。 日本における公開当時の邦題は「南海征服」だった。軍国主義によって「叛乱」という言葉が使えなかった。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ジョン・フォード (男の敵) |
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主演男優賞 | ヴィクター・マクラグレン (男の敵) |
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主演女優賞 | ベティ・デイヴィス (青春の抗議) |
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原案賞 | 生きているモレア (ベン・ヘクト、チャールズ・マッカーサー) |
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脚色賞 | 男の敵 (ダドリー・ニコルズ) |
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1935年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「或(あ)る夜の出来事」
【配信:アマゾン】 監督:フランク・キャプラ おしゃれでさわやかなラブコメディー。「ロマンチック・コメディー」というジャンルの流行のきっかけをつくった。 クラーク・ゲーブル演じる新聞記者とクローデット・コルベールがふんする富豪の娘が、バスで隣り合わせたばかりに巻き起こるあれこれ。 折しも世界は、長い大恐慌のトンネルを抜け出したあと。音楽が浮き浮きしたスイング時代を迎えたように、人々は明るい夢を求めていた。映画が時代にこたえたとも、時代を先取りしたとも言える。 作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞の主要5部門を獲得した。 主要5部門の独占は、本作が初めて。その後のアカデミー賞の長い歴史の中でも、「カッコーの巣の上で」(1975年)と「羊たちの沈黙」(1991年)しかない。 日本では戦前の1934年に公開された。さまざまに焼き直されて、新しい日本映画を生む原動力になったことで知られている。 とりわけ山中貞雄監督のトーキー第一作「雁太郎街道」(1934年)は有名。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | フランク・キャプラ (或る夜の出来事) |
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主演男優賞 | クラーク・ゲーブル (或る夜の出来事) |
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主演女優賞 | クローデット・コルベール (或る夜の出来事) |
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原案賞 | 男の世界 (アーサー・シーザー) |
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脚色賞 | 或る夜の出来事 (ロバート・リスキン) |
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1934年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「カヴァルケード(大帝国行進曲)」
【配信:アマゾン】 監督:フランク・ロイド 叙事的な感動ドラマ。人気のある舞台劇の映画化。 ロンドンに住む裕福な家庭の三十数年間の生活を描く。 主人公夫妻、子供たち、友人、使用人たちの視点で、 20世紀が幕を明ける1899年大晦日から1933年元日までの日々を追う。 ビクトリア女王の死、タイタニック号の沈没、第一次世界大戦など、いくつかの歴史的な出来事が取り上げられ、 登場人物たちの生活に影響を与えていく様子も描写される。 「すべてのシーンに細部への細やかな注意が払われている」と称賛された。 フランク・ロイド監督は、本作で初めての作品賞と2度目の監督賞を獲得した。 日本で最初に公開された時の邦題は「大帝国行進曲」だった。 <予告編▼> Amazon(DVD)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | フランク・ロイド (カヴァルケード) |
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主演男優賞 | チャールズ・ロートン (ヘンリー八世の私生活) |
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主演女優賞 | キャサリン・ヘプバーン (勝利の朝) |
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原案賞 | 限りなき旅 (ロバート・ロード) |
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脚色賞 | 若草物語 (サラ・Y・メイソン、ヴィクター・ヒアマン) |
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1933年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「グランド・ホテル」
【配信:アマゾン】 監督:エドマンド・グールディング 作品賞だけにノミネートされ、作品賞だけを獲った唯一の映画として有名。 様々な過去を持ち、様々な状況下におかれた人物たちが、たまたま同じホテルに泊まり合わせたことによって起こる人間模様。 24時間の出来事を流暢なタッチで描いた。 後に「グランド・ホテル型」と呼ばれるようになった。舞台はベルリンのホテル。 MGM黄金時代を象徴する豪華キャスト。商業的にも大成功した。 1989年のミュージカル「グランド・ホテル」の基になった。同作はトニー賞を受賞した。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | フランク・ボーゼイジ (バッド・ガール) |
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主演男優賞 | ウォーレス・ビアリー (チャンプ) |
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主演女優賞 | ヘレン・ヘイズ (マデロンの悲劇) |
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原案賞 | チャンプ (フランセス・マリオン) |
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脚色賞 | バッド・ガール (エドウィン・バーク) |
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1932年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「シマロン」
【配信:アマゾン】 監督:ウェズリー・ラッグルズ 壮大な西部劇。大胆さと冒険が宿るドラマ。 1889年から1929年までの40年間を舞台にしている。 オクラホマの初期開拓から現在までの歴史を描写。 オクラホマ入植が解禁され、開拓者が殺到した「ランドラッシュ」の再現が見どころ。 西部劇として初めてオスカー作品賞を受賞した。この後は、1990年の「ダンス・ウィズ・ウルブズ」まで西部劇の受賞はなかった。 高額な製作費を投じたが、大恐慌の影響もあって、最初の劇場公開では経費を回収することができなかった。ただし、1935年の再上映で稼いだ。 アクション、共感、スリル、コメディが詰まった秀作として称賛された。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ノーマン・タウログ (スキピイ) |
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主演男優賞 | ライオネル・バリモア (自由の魂) |
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主演女優賞 | マリー・ドレスラー (惨劇の波止場) |
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原案賞 | 暁の偵察 (ジョン・モンク・サウンダース) |
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脚色賞 | シマロン (ハワード・エスタブルック) |
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1931年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「西部戦線異状なし」
【配信:アマゾン】 監督:ルイス・マイルストン ※戦場での兵士たちの日々を描いた。反戦映画のスタイルを決定付けた記念碑的作品となった。 原作は、ドイツの同名ベストセラー小説。ドイツのジャーナリストとして従軍した第1次大戦にエーリヒ・マリア・レマルクが、1929年に自らの体験に基づいて書いた。 マイルストン監督は、敗れたドイツ軍を通して、戦争の非情さをリアルに見極め、反戦を強く訴えた。マイルストン監督は、サイレント末期からトーキー初期にかけて、華やかに活躍した。コメディー、アクションもこなす器用な監督。本作が生涯の代表作となった。「美人国二人行脚」(1927年)で第1回アカデミー賞の喜劇監督賞に輝いており、本作は2度目の受賞となった。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ルイス・マイルストン (西部戦線異状なし) |
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主演男優賞 | ジョージ・アーリス (Disraeli) |
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主演女優賞 | ノーマ・シアラー (結婚双紙) |
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原案賞 | 該当なし |
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脚色賞 | ビッグ・ハウス (フランシス・マリオン) |
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(1931年↑ | 1930年)
1930年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「ブロードウェイ・メロディー」
【配信:アマゾン】 監督:ハリー・ボーモント ミュージカル。1929年から1930年にかけて多数のミュージカル映画が映画館に登場するきっかけとなった作品。 前年の第1回アカデミー賞はサイレント映画が作品賞を受賞したが、本作は音声付き映画(トーキー映画)。 ハリウッドで最初の全編トーキーのミュージカルでもあった。「トーキー革命」の先導役の一つとして評価されている。 ブロードウェイ劇場街(ニューヨーク市)の公演の舞台裏を描いている。華やかな楽屋風景が見どころ。「舞台裏ミュージカル」というジャンルのハシリともなった。姉妹の恋の譲り合いがテーマのメロドラマでもある。 商業的にも大ヒット。1929年の年間の興行収入1位だった。 製作は、ハリウッドのメジャースタジオ「MGM」(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)。 MGMは本作を大成功させたのを受けて、次々と大作ミュージカルを手掛け、1930年代、40年代に映画業界の王者に君臨することになった。 劇中の曲が親しみやすい。「君は僕のために生まれてきた(You Were Meant For Me)」「Give My Regards to Broadway(ブロードウェイによろしく)」などが有名。 製作陣は、より良い音声の録音方法を求めて、試行錯誤を重ねたという。 音質を改善するためにセットが変更され、何度もシーンが撮り直された。 俳優たちにとって長時間の撮影スケジュールとなった。 <劇中歌「君は僕のために生まれてきた」▼> <劇中歌「Give My Regards to Broadway」▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | フランク・ロイド (情炎の美姫) |
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主演男優賞 | ワーナー・バクスター (懐しのアリゾナ) |
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主演女優賞 | メアリー・ピックフォード (コケット) |
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原案賞 | 該当なし |
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脚色賞 | The Patriot (ハンス・クレイリー) |
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