【1970年代】受賞&ノミネート一覧

1979年(第51回)

  • ■ 作品賞:
    「ディア・ハンター」
  • ■ 最多受賞:
    「ディア・ハンター」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ディア・ハンター」(9個)
    「天国から来たチャンピオン」(9個)

3年前に終結したベトナム戦争を題材にした「ディア・ハンター」が作品賞を受賞。監督賞(マイケル・チミノ)、助演男優賞(クリストファー・ウォーケン)、編集賞、音響賞の計5冠に輝いた。同じくベトナム戦争を描いた「帰郷」が主要部門で3冠(主演男優、主演女優、脚本)。

1979年 | 1978年↓

1979年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ディア・ハンター」

ディア・ハンター

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監督:マイクル・チミノ

戦争の狂気を容赦なく暴いた。3時間余の大作。

米ペンシルベニアの鉄工所で働く3人の若者たちが、ベトナム戦争に徴兵される。故郷での幸せな日々から一転、ベトナム戦争での恐ろしい体験を経て心を病んでいく若者たちの姿を描く。哀愁に満ちた叙事詩でもある。

ベトナム戦争の終結から3年後に公開された。同じく作品賞ノミネート「帰郷」、翌年の作品賞ノミネート「地獄の黙示録」(フランシス・コッポラ監督)とともに、本格的なベトナム戦争映画のパイオニアとなった。

1970年代のハリウッドで流行した「男たちのメロドラマ」(バディ・フィルム)の究極とも評された。

<予告編▼>


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監督賞 マイクル・チミノ
(ディア・ハンター)

※「ダーティハリー2」の脚本家の一人だった。主演のクリント・イーストウッドにその才能を買われて、イーストウッドが主演する「サンダーボルト」に監督に起用された。本作は監督2作目だった。
  • ウディ・アレン(インテリア)
  • ハル・アシュビー(帰郷)
  • ウォーレン・ベイティ、バック・ヘンリー(天国から来たチャンピオン)
  • アラン・パーカー(ミッドナイト・エクスプレス)
主演男優賞 ジョン・ボイト
(帰郷)
  • ロバート・デ・ニーロ(ディア・ハンター)
  • ウォーレン・ビーティ(天国から来たチャンピオン)
  • ゲイリー・ビジー(バディ・ホリー・ストーリー)
  • ローレンス・オリヴィエ(ブラジルから来た少年)
主演女優賞 ジェーン・フォンダ
(帰郷)
  • イングリッド・バーグマン(秋のソナタ)
  • ジェラルディン・ペイジ(インテリア)
  • ジル・クレイバーグ(結婚しない女)
  • エレン・バースティン(セイム・タイム、ネクスト・イヤー)
助演男優賞 クリストファー・ウォーケン
(ディア・ハンター)
  • リチャード・ファーンズワース(カムズ・ア・ホースマン)
  • ブルース・ダーン(帰郷)
  • ジャック・ウォーデン(天国から来たチャンピオン)
  • ジョン・ハート(ミッドナイト・エクスプレス)
助演女優賞 マギー・スミス
(カリフォルニア・スイート)
  • モーリン・ステイプルトン(インテリア)
  • ペネロープ・ミルフォード(帰郷)
  • メリル・ストリープ(ディア・ハンター)
  • ダイアン・キャノン(天国から来たチャンピオン)
脚本賞 帰郷
(ロバート・C・ジョーンズ、ウォルド・ソルト、ナンシー・ダウド)
  • 秋のソナタ(イングマール・ベルイマン)
  • インテリア(ウディ・アレン)
  • 結婚しない女(ポール・マザースキー)
  • ディア・ハンター(マイケル・チミノ、デリック・ウォッシュバーン、ルイス・ガーフィンクル、クイン・K・レデカー)
脚色賞 ミッドナイト・エクスプレス
(オリヴァー・ストーン)
  • 愛の断層(ウォルター・ニューマン)
  • カリフォルニア・スイート(ニール・サイモン)
  • セイム・タイム、ネクスト・イヤー(バーナード・スレード)
  • 天国から来たチャンピオン(ウォーレン・ベイティ、エレイン・メイ)
外国語映画賞 ハンカチのご用意を
(フランス)
  • ガラスの独房(西ドイツ)
  • 黒い耳の白い犬(ソビエト連邦)
  • 新怪物たち(イタリア)
  • ハンガリアン(ハンガリー)

1978年(第50回)

  • ■ 作品賞:
    「アニー・ホール」
  • ■ 最多受賞:
    「スター・ウォーズ」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ジュリア」(11個)
    「愛と喝采の日々」(11個)

記念すべき50回目。ウディ・アレン監督の「アニー・ホール」が作品賞を制した。監督賞、主演女優賞(ダイアン・キートン)、脚本賞も獲り、主要4部門を獲得。

革新的なSF映画「スター・ウォーズ」が作品賞と監督賞を含む10部門にノミネートされた。視覚効果賞、編集賞、作曲賞など6部門を制圧。最多の受賞数となった。

スティーブン・スピルバーグ監督の「未知との遭遇」は、監督賞を含むに9部門ノミネートを達成。このうち撮影賞と特別賞(音響効果)に輝いた。

1979年↑ | 1978年 | 1977年↓

1978年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「アニー・ホール」

アニー・ホール

【配信:アマゾン

監督:ウディ・アレン

恋愛コメディ映画。際どいジョークやウイットに富んだ会話が魅力。アレン監督が主演も務めた。

作品賞のほか、監督、主演女優(ダイアン・キートン)、脚本を獲り、主要4部門を制した。

ニューヨークのユダヤ系コメディアンが主人公。アレン監督の分身のようなキャラクターだ。女優の卵で歌手を志すアニー・ホール(ダイアン・キートン)と出会い、同棲を始める。だが、うまくいかない。

アレン監督は1935年ニューヨーク生まれ。コメディアンから俳優となり、1960年代末から監督も務める。本作の公開当時42歳だった。他の代表作は「ハンナとその姉妹」「カイロの紫のバラ」など。

当時、アレン監督と主演ダイアン・キートンは私生活でも恋愛関係にあった。その後、アレンは女優ミア・ファローと恋愛関係となり、ローナン・ファローらの子供をもうけた。しかし、関係が破綻し、ファローとの間の養女だったスン・イーと1996年に結婚した。

この年は、革新的なSF映画の名作「スター・ウォーズ」も作品賞にノミネートされた。多くの映画ファンが応援したが、大人向けのアニー・ホールに軍配が上がった。それでもスター・ウォーズは7部門の最多勝利を収めた。

<予告編▼>


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監督賞 ウディ・アレン
(アニー・ホール)
  • ハーバート・ロス(愛と喝采の日々)
  • フレッド・ジンネマン(ジュリア)
  • ジョージ・ルーカス(スター・ウォーズ)
  • スティーヴン・スピルバーグ(未知との遭遇)
主演男優賞 リチャード・ドライファス
(グッバイガール)
  • ウディ・アレン(アニー・ホール)
  • リチャード・バートン(エクウス)
  • ジョン・トラヴォルタ(サタデー・ナイト・フィーバー)
  • マルチェロ・マストロヤンニ(特別な一日)
主演女優賞 ダイアン・キートン
(アニー・ホール)
  • アン・バンクロフト(愛と喝采の日々)
  • シャーリー・マクレーン(愛と喝采の日々)
  • マーシャ・メイソン(グッバイガール)
  • ジェーン・フォンダ(ジュリア)
助演男優賞 ジェイスン・ロバーズ
(ジュリア)
  • ミハイル・バリシニコフ(愛と喝采の日々)
  • ピーター・ファース(エクウス)
  • マクシミリアン・シェル(ジュリア)
  • アレック・ギネス(スター・ウォーズ)
助演女優賞 ヴァネッサ・レッドグレイブ
(ジュリア)
  • レスリー・ブラウン(愛と喝采の日々)
  • クィン・カミングス(グッバイガール)
  • チューズデイ・ウェルド(ミスター・グッドバーを探して)
  • メリンダ・ディロン(未知との遭遇)
脚本賞 アニー・ホール
(ウディ・アレン、マーシャル・ブリックマン)

※2015年の全米脚本家組合(WGA)の投票で「史上最も面白い脚本」に選ばれた。際どいジョークやウイットに富んだ会話が魅力。
  • 愛と喝采の日々(アーサー・ローレンツ)
  • グッバイガール(ニール・サイモン)
  • スター・ウォーズ(ジョージ・ルーカス)
  • レイト・ショー(ロバート・ベントン)
脚色賞 ジュリア
(アルヴィン・サージェント)
  • エクウス(ピーター・シェイファー)
  • オー!ゴッド(ラリー・ゲルバート)
  • 欲望のあいまいな対象(ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール)
  • I Never Promised You a Rose Garden(ギャヴィン・ランバート、ルイス・ジョン・カリーノ)
外国語映画賞 これからの人生
(フランス)
  • イフゲニア(ギリシャ)
  • サンダーボルト救出作戦(イスラエル)
  • 特別な一日(イタリア)
  • 欲望のあいまいな対象(スペイン)
195

1977年(第49回)

  • ■ 作品賞:
    「ロッキー」
  • ■ 最多受賞:
    「大統領の陰謀」(4部門)
    「ネットワーク」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ネットワーク」(10個)
    「ロッキー」(10個)

アメリカ建国200周年の開催。秀作ぞろいの争いとなった。作品賞を制したのは、無名の俳優シルベスター・スタローン主演の低予算映画「ロッキー」。監督賞と編集賞も獲り、3冠。

作品賞を逃した「大統領の陰謀」と「ネットワーク」は、最多となる4部門で受賞した。

マーティン・スコセッシ監督の代表作となった「タクシードライバー」は、作品賞など4部門ノミネートながら無冠に終わった。

1978年↑ | 1977年 | 1976年↓

1977年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ロッキー」

ロッキー

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監督:ジョン・G・アビルドセン

アメリカン・ドリ一ム的な映画が、アメリカ建国200年の年のオスカーを制した。

落ち目のボクサーの挑戦を描くボクシング映画。

4回戦ボーイのボクサーが世界チャンピオンと対戦することになり、人生をかけてリングに上がる。

無名の俳優だったシルベスター・スタローンが、脚本を書き、映画会社に売り込んだ。映画会社は、有名な俳優を主演に起用することを望んだが、スタローンは自分が主演するという点を譲らなかった。

スタローンは公開当時30歳。製作費は100万ドルという低予算だったが、興行収入はその20倍以上の2億2500万ドルにのぼった。映画の成功物語が、そのままアメリカン・ドリ一ムの体現となった。

この年のオスカーは豊作だった。作品賞ノミネートの「大統領の陰謀」「タクシードライバー」「ネットワーク」はいずれも歴史的な名作として高い評価を得ている。

<予告編▼>


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監督賞 ジョン・G・アヴィルドセン
(ロッキー)
  • イングマール・ベルイマン(鏡の中の女)
  • リナ・ウェルトミューラー(セブン・ビューティーズ)
  • アラン・J・パクラ(大統領の陰謀)
  • シドニー・ルメット(ネットワーク)
主演男優賞 ピーター・フィンチ
(ネットワーク)
  • ジャンカルロ・ジャンニーニ(セブン・ビューティーズ)
  • ロバート・デ・ニーロ(タクシードライバー)
  • ウィリアム・ホールデン(ネットワーク)
  • シルヴェスター・スタローン(ロッキー)
主演女優賞 フェイ・ダナウェイ
(ネットワーク)
  • リヴ・ウルマン(鏡の中の女)
  • シシー・スペイセク(キャリー)
  • マリー=クリスティーヌ・バロー(さよならの微笑)
  • タリア・シャイア(ロッキー)
助演男優賞 ジェイスン・ロバーズ
(大統領の陰謀)
  • ネット・ビーティ(ネットワーク)
  • ローレンス・オリヴィエ(マラソンマン)
  • バージェス・メレディス(ロッキー)
  • バート・ヤング(ロッキー)
助演女優賞 ビアトリス・ストレイト
(ネットワーク)
  • パイパー・ローリー(キャリー)
  • リー・グラント(さすらいの航海)
  • ジェーン・アレクサンダー(大統領の陰謀)
  • ジョディ・フォスター(タクシードライバー)
脚本賞 ネットワーク
(パディ・チャイエフスキー)
  • ウディ・アレンの ザ・フロント(ウォルター・バーンスタイン)
  • さよならの微笑(ジャン=シャルル・タケラ、ダニエル・トンプソン)
  • セブン・ビューティーズ(リナ・ウェルトミューラー)
  • ロッキー(シルヴェスター・スタローン)
脚色賞 大統領の陰謀
(ウィリアム・ゴールドマン)
  • ウディ・ガスリー/わが心のふるさと(ロバート・ゲッチェル)
  • カサノバ(フェデリコ・フェリーニ、ベルナルディーノ・ザッポーニ)
  • さすらいの航海(スティーヴ・シェイガン、デヴィッド・バトラー)
  • シャーロック・ホームズの素敵な挑戦(ニコラス・メイヤー)
外国語映画賞 ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー
(コートジボワール)
  • 嘘つきヤコブ(東ドイツ)
  • さよならの微笑(フランス)
  • セブン・ビューティーズ(イタリア)
  • 夜と昼(ポーランド)

1976年(第48回)

  • ■ 作品賞:
    「カッコーの巣の上で」
  • ■ 最多受賞:
    「カッコーの巣の上で」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「カッコーの巣の上で」(9個)
  • ■ 日本人の受賞:
    黒澤明監督「デルス・ウザーラ」=外国語映画賞

「カッコーの巣の上で」が、作品賞を受賞した。監督、脚色、主演男優、主演女優も獲り、主要5部門の独占となった。1935年の「或る夜の出来事」以来、41年ぶりの快挙。

黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」(ソ連映画)が、外国語映画賞を受賞した。

スティーブン・スピルバーグ「ジョーズ」が作品賞にノミネート。編集、作曲、音響の3部門で受賞を果たした。

日本で初めて授賞式がテレビ放映された。 フジテレビによる首都圏だけの放送だった。1時間半の枠。しかも、授賞式から日数が経ってからの録画だった。アカデミー賞の認知度は低く、スポンサーがつかずに苦労したという。

1977年↑ | 1976年 | 1975年↓

1976年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「カッコーの巣の上で」

カッコーの巣の上で

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監督:ミロス・フォアマン

架空の精神病院を舞台に、管理社会の人間抑圧と支配、そしてそれに対する抵抗を描いた。

原作はケン・キージー(1935~2001年)の同名の小説。1962年に発表され、若者たちの支持を得てベストセラーになった。

ブロードウェー公演で主演した俳優のカーク・ダグラスが映画化権を獲得したが、精神病院を舞台にした映画会社が二の足を踏み、プロジェクトが難航した。権利を譲り受けた息子の俳優マイケル・ダグラスが、共同製作者になり、原作発表から13年後に映画が完成した。

ミロス・フォアマン監督は旧チェコスロバキア出身。ソ連(現ロシア)による強権支配を嫌い、アメリカに移住した。

ジャック・ニコルソンと冷酷な看護師長を演じたルイーズ・フレッチャーが、ともに主演賞を受賞。監督賞と脚色賞も獲り、主要5部門を独占した。1935年の「或る夜の出来事」以来、41年ぶりの快挙。

ノミネート作品も個性豊かな顔ぶれだった。

<予告編▼>


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監督賞 ミロシュ・フォアマン
(カッコーの巣の上で)
  • シドニー・ルメット(狼たちの午後)
  • ロバート・アルトマン(ナッシュビル)
  • スタンリー・キューブリック(バリー・リンドン)
  • フェデリコ・フェリーニ(フェリーニのアマルコルド)
主演男優賞 ジャック・ニコルスン
(カッコーの巣の上で)
  • アル・パチーノ(狼たちの午後)
  • ウォルター・マッソー(サンシャイン・ボーイズ)
  • ジェームズ・ホイットモア(Give'em Hell, Harry!)
  • マクシミリアン・シェル(The Man in the GlassBooth)
主演女優賞 ルイーズ・フレッチャー
(カッコーの巣の上で)
  • イザベル・アジャーニ(アデルの恋の物語)
  • アン=マーグレット(Tommy/トミー)
  • グレンダ・ジャクソン(Hedda)
  • キャロル・ケイン(Hester Street)
助演男優賞 ジョージ・バーンズ
(ニール・サイモンのサンシャイン・ボーイズ)
  • バージェス・メレディス(イナゴの日)
  • クリス・サランドン(狼たちの午後)
  • ブラッド・ドゥーリフ(カッコーの巣の上で)
  • ジャック・ウォーデン(シャンプー)
助演女優賞 リー・グラント
(シャンプー)
  • ブレンダ・ヴァッカロ(いくたびか美しく燃え)
  • シルヴィア・マイルズ(さらば愛しき女よ)
  • リリー・トムリン(ナッシュビル)
  • ロニー・ブレイクリー(ナッシュビル)
脚本賞 狼たちの午後
(フランク・ピアソン)
  • シャンプー(ウォーレン・ビーティ、ロバート・タウン)
  • フェリーニのアマルコルド(フェデリコ・フェリーニ、トニーノ・グエッラ)
  • マイ・ラブ(クロード・ルルーシュ、ピエール・ユイッテルヘーベン)
  • Lies My Father Told Me(テッド・アラン)
脚色賞 カッコーの巣の上で
(ローレンス・ホーベン、ボー・ゴールドマン)
  • 王になろうとした男(ジョン・ヒューストン、グラディス・ヒル)
  • サンシャイン・ボーイズ(ニール・サイモン)
  • バリー・リンドン(スタンリー・キューブリック)
  • Profumo di donna(ディノ・リージ、ルッジェロ・マッカリ)
外国語映画賞 デルス・ウザーラ
(ソ連)※監督は、日本の黒澤明
  • 女の香り(イタリア)
  • サンダカン八番娼館 望郷(日本)
  • 約束の土地(ポーランド)
  • Actas de Marusia(メキシコ)

1975年(第47回)

  • ■ 作品賞:
    「ゴッドファーザーPARTⅡ」
  • ■ 最多受賞:
    「ゴッドファーザーPARTⅡ」(6部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「チャイナタウン」(11個)
    「ゴッドファーザーPARTⅡ」(11個)

「ゴッドファーザー・パート2」が作品、監督、脚色、助演男優(ロバート・デ・ニーロ)など6部門で受賞した。前作「パート1」に続く連続の作品賞という快挙。続編が作品賞を獲るのは史上初だった。

コッポラは前作「1」では監督賞を逃したが、今回は獲った。別の監督作品「カンバセーション…盗聴」でも作品賞にノミネートされ、絶好調だった。

1976年↑ | 1975年 | 1974年↓

1975年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ゴッドファーザーPARTⅡ」

ゴッドファーザーPARTⅡ

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監督:フランシス・フォード・コッポラ

前作「ゴッドファーザー」の続編。2年前のオスカーで圧勝したばかりの前作に続いて作品賞に輝いた。

続編の映画が作品賞を獲るのは初めてだった。この後も、「ロード・オブ・ザ・リング3(王の帰還)」しかない。

また、元の映画と続編の両方が作品賞になった例は、これ以降も存在しない。

前作から3年後の公開となった。前作の主人公(父親)の青年時代(ロバート・デ・ニーロ)と、その息子(アル・パチーノ)の人生を描く。すなわち前作の「前日譚(たん)」と「後日譚」を兼ねている。

前作を上回る一大叙事詩として高く評価された。

16年後に続編「パート3」が製作され、こちらも作品賞、監督賞にノミネートされたが、受賞は逸した。

<予告編▼>


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監督賞 フランシス・フォード・コッポラ
(ゴッドファーザーPART2)

※前作「1」では監督賞を逃したが、今回は獲った。
  • フランソワ・トリュフォー(映画に愛をこめてアメリカの夜)
  • ジョン・カサヴェテス(こわれゆく女)
  • ロマン・ポランスキー(チャイナタウン)
  • ボブ・フォッシー(レニー・ブルース)
主演男優賞 アート・カーニー
(ハリーとトント)
  • アルバート・フィニー(オリエント急行殺人事件)
  • アル・パチーノ(ゴッドファーザーPART2)
  • ジャック・ニコルソン(チャイナタウン)
  • ダスティン・ホフマン(レニー・ブルース)
主演女優賞 エレン・バースタイン
(アリスの恋)
  • ダイアン・キャロル(愛しのクローディン)
  • ジーナ・ローランズ(こわれゆく女)
  • フェイ・ダナウェイ(チャイナタウン)
  • ヴァレリー・ペリン(レニー・ブルース)
助演男優賞 ロバート・デ・ニーロ
(ゴッドファーザーPART2)
  • マイケル・V・ガッツォ(ゴッドファーザーPART2)
  • リー・ストラスバーグ(ゴッドファーザーPART2)
  • ジェフ・ブリッジス(サンダーボルト)
  • フレッド・アステア(タワーリング・インフェルノ)
助演女優賞 イングリッド・バーグマン
(オリエント急行殺人事件)
  • ダイアン・ラッド(アリスの恋)
  • ヴァレンティナ・コルテーゼ(映画に愛をこめてアメリカの夜)
  • タリア・シャイア(ゴッドファーザーPART2)
  • マデリーン・カーン(ブレージングサドル)
脚本賞 チャイナタウン
(ロバート・タウン)
  • アリスの恋(ロバート・ゲッチェル)
  • 映画に愛をこめて アメリカの夜(フランソワ・トリュフォー、ジャン=ルイ・リシャール、シュザンヌ・シフマン)
  • カンバセーション…盗聴…(フランシス・フォード・コッポラ)
  • ハリーとトント(ポール・マザースキー、ジョッシュ・グリーンフェルド)
脚色賞 ゴッドファーザーPARTII
(フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ)
  • オリエント急行殺人事件(ポール・デーン)
  • ヤング・フランケンシュタイン(ジーン・ワイルダー、メル・ブルックス)
  • レニー・ブルース(ジュリアン・バリー)
  • The Apprenticeship of Duddy Kravitz(モーデカイ・リッチラー、ライオネル・チェトウィンド)
外国語映画賞 フェリーニのアマルコルド
(イタリア)
  • 遠雷(ポーランド)
  • ルシアンの青春(フランス)
  • La Tregua(アルゼンチン)
  • Macskajáték(ハンガリー)

1974年(第46回)

  • ■ 作品賞:
    「スティング」
  • ■ 最多受賞:
    「スティング」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「エクソシスト」(10個)
    「スティング」(10個)

痛快なペテン師映画「スティング」が作品賞、監督賞、脚本賞など7冠。

「エクソシスト」が、ホラー映画としては異例の10部門ノミネートを達成した。「スティング」と並ぶ最多ノミネートだった。作品賞と監督賞にもノミネートされた。このうち、脚色賞と音響賞に輝いた。

1975年↑ | 1974年 | 1973年↓

1974年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「スティング」

スティング

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監督:ジョージ・ロイ・ヒル

詐欺師たちの痛快なゲーム劇。ひねりの効いたストーリー展開が称賛された。悪党から金を奪うため、チンピラたちが次々と繰り出すアイデアも見どころ。大衆的な娯楽性と作家性の両立が素晴らしい。

「明日に向かって撃て!」で1970年作品賞にノミネートされたロイ・ヒルが監督を務めた。明日に向かって撃て!と同じく、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの黄金俳優コンビを起用した。

ファッション、セット、音楽など、あらゆる要素がスタイリッシュでおしゃれ。テーマ曲「エンターテイナー」も有名。

傑出した興行的成功を収めた。インフレ率などを加味した実質的な興行収入ランキングは、歴代の作品賞映画の中で、「風と共に去りぬ」「サウンド・オブ・ミュージック」「タイタニック」「ベン・ハー」に次いで堂々の4位。

【物語】1936年のシカゴが舞台。ギャングのボスに仲間を殺された詐欺師フッカー(ロバート・レッドフォード)は報復を決意。伝説の賭博師ゴンドーフ(ポール・ニューマン)の助けを借り、大掛かりないかさまに引きずり込んでいく…。

<予告編▼>


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監督賞 ジョージ・ロイ・ヒル
(スティング)

※米ミネアポリス生まれ。エール大で音楽を専攻。第2次世界大戦と朝鮮戦争に従軍した。新聞社勤務などを経て、舞台俳優となる。その後、テレビや舞台の脚本、演出家として活躍。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが主演した「明日に向って撃て!」(1969年)で一世を風靡。同作は「アメリカン・ニューシネマの傑作」として称賛され、オスカーの作品賞、監督賞にノミネートされた。

おしゃれな作風が特徴。

2002年12月、パーキンソン病の合併症のため、亡くなった。享年80歳だった。
  • ジョージ・ルーカス(アメリカン・グラフィティ)
  • ウィリアム・フリードキン(エクソシスト)
  • イングマール・ベルイマン(叫びとささやき)
  • ジョージ・ロイ・ヒル(スティング)
  • ベルナルド・ベルトルッチ(ラストタンゴ・イン・パリ)
主演男優賞 ジャック・レモン
(セイヴ・ザ・タイガー)
  • ジャック・ニコルソン(さらば冬のかもめ)
  • ロバート・レッドフォード(スティング)
  • アル・パチーノ(セルピコ)
  • マーロン・ブランド(ラストタンゴ・イン・パリ)
主演女優賞 グレンダ・ジャクソン
(ウィークエンド・ラブ)
  • エレン・バースティン(エクソシスト)
  • マーシャ・メイソン(シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛)
  • バーブラ・ストライサンド(追憶)
  • ジョアン・ウッドワード(Summer Wishes, Winter Dreams)
助演男優賞 ジョン・ハウスマン
(ペーパー・チェイス)
  • ジェイソン・ミラー(エクソシスト)
  • ランディ・クエイド(さらば冬のかもめ)
  • ジャック・ギルフォード(セイヴ・ザ・タイガー)
  • ヴィンセント・ガーディニア(バング・ザ・ドラム)
助演女優賞 テイタム・オニール
(ペーパー・ムーン)
  • キャンディ・クラーク(アメリカン・グラフィティ)
  • リンダ・ブレア(エクソシスト)
  • マデリーン・カーン(ペーパー・ムーン)
  • シルヴィア・シドニー(Summer Wishes, Winter Dreams)
脚本賞 スティング
(デヴィッド・S・ウォード)
  • アメリカン・グラフィティ(ジョージ・ルーカス、グロリア・カッツ、ウィラード・ハイク)
  • ウィークエンド・ラブ(メルヴィン・フランク、ジャック・ローズ)
  • 叫びとささやき(イングマール・ベルイマン)
  • セイヴ・ザ・タイガー(スティーヴ・シェイガン)
脚色賞 エクソシスト
(ウィリアム・ピーター・ブラッティ)
  • さらば冬のかもめ(ロバート・タウン)
  • セルピコ(ウォルド・ソルト、ノーマン・ウェクスラー)
  • ペーパー・チェイス(ジェームズ・ブリッジス)
  • ペーパー・ムーン(アルヴィン・サージェント)
外国語映画賞 映画に愛をこめて アメリカの夜
(フランス)
  • ルトガー・ハウアー/危険な愛(オランダ)
  • Der Fußgänger(西ドイツ)
  • Ha Bayit Berechov Chelouche(イスラエル)
  • L'Invitation(スイス)

1973年(第45回)

  • ■ 作品賞:
    「ゴッドファーザー」
  • ■ 最多受賞:
    「キャバレー」(8部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「キャバレー」(10個)

世紀の傑作「ゴッドファーザー」が作品賞に輝いた。主演男優賞(マーロン・ブランド)、脚色賞も獲った。

ゴッドファーザーの対抗馬と見られたミュージカル「キャバレー」も健闘し、最多となる8部門を受賞した。

1974年↑ | 1973年 | 1972年↓

1973年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ゴッドファーザー」

ゴッドファーザー

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監督:フランシス・フォード・コッポラ

濃密な人間ドラマ。マフィア一族の凄絶な抗争と家族の絆を描いた。

コッポラ監督は公開当時32歳。3作ほどの映画で監督を務めたが、どれ一つとしてヒットしていなかった。

しかし、本作ではイタリア系米国人ならではの濃密な家族愛、憎しみの振幅や、後の世代の恋愛、父権、贖罪(しょくざい)意識などを通して、壮大かつ上質な叙情詩に仕上げた。

公開当初は暴力、惨殺シーンが批判を浴びた。その後の暴力映画に比べれば、おとなしいものだが、当時は大きな衝撃だった。

原作は、マリオ・プーゾーの小説。2000万部を超える大ベストセラーとなった。

マーロン・ブランドが主演男優賞。コッポラ個人も監督賞こそ逸したが、脚色賞を獲得した。

哀愁漂うニーノ・ロータ作曲のテーマ曲も人気を集め、一大流行現象になった。

<予告編▼>


<テーマ曲▼>


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監督賞 ボブ・フォッシー
(キャバレー)
  • ヤン・トロエル(移民者たち)
  • フランシス・フォード・コッポラ(ゴッドファーザー)
  • ジョセフ・L・マンキウィッツ(探偵<スルース>)
  • ジョン・ブアマン(脱出)
主演男優賞 マーロン・ブランド
(ゴッドファーザー)
  • ポール・ウィンフィールド(サウンダー)
  • ローレンス・オリヴィエ(探偵<スルース>)
  • マイケル・ケイン(探偵<スルース>)
  • ピーター・オトゥールTheRulingClass)
主演女優賞 ライザ・ミネリ
(キャバレー)
  • リヴ・ウルマン(移民者たち)
  • シシリー・タイソン(サウンダー)
  • ダイアナ・ロス(ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実)
  • マギー・スミス(Travels with My Aunt)
助演男優賞 ジョエル・グレイ
(キャバレー)
  • ジェームズ・カーン(ゴッドファーザー)
  • ロバート・デュヴァル(ゴッドファーザー)
  • アル・パチーノ(ゴッドファーザー)
  • エディ・アルバート(ふたり自身)
助演女優賞 アイリーン・ヘッガート
(バタフライはフリー)
  • ジェラルディン・ペイジ(おかしな結婚)
  • スーザン・ティレル(ゴングなき戦い)
  • ジーニー・バーリン(ふたり自身)
  • シェリー・ウィンタース(ポセイドン・アドベンチャー)
脚本賞 候補者ビル・マッケイ
(ジェレミー・ラーナー)
  • 好奇心(ルイ・マル)
  • 戦争と冒険(カール・フォアマン)
  • ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実(テレンス・マックロイ、クリス・クラーク、スザンヌ・ド・パッシー)
  • ブルジョワジーの秘かな愉しみ(ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール)
脚色賞 ゴッドファーザー
(フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ)
  • 移民者たち(ヤン・トロエル、ベント・フォルスランド)
  • おかしな結婚(ジュリアス・J・エプスタイン)
  • キャバレー(ジェイ・プレッソン・アレン)
  • サウンダー(ロン・エルダー三世)
外国語映画賞 ブルジョワジーの秘かな愉しみ
(フランス)
  • A zori zdes tikhie(ソビエト連邦)
  • Ani Ohev Otach Rosa(イスラエル)
  • Mi querida señorita(スペイン)
  • Nybyggarna(スウェーデン)

1972年(第44回)

  • ■ 作品賞:
    「フレンチ・コネクション」
  • ■ 最多受賞:
    「フレンチ・コネクション」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「屋根の上のバイオリン弾き」(8個)
    「フレンチ・コネクション」(8個)
    「ラスト・ショー」(8個)

刑事アクション劇「フレンチ・コネクション」が作品賞に輝いた。監督、主演男優(ジーン・ハックマン)、脚色、編集も獲って5冠。

キューブリック監督が「2001年宇宙の旅」の次に撮った「時計じかけのオレンジ」が、作品賞など4部門にノミネートされたが、無冠だった。

1973年↑ | 1972年 | 1971年↓

1972年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「フレンチ・コネクション」

フレンチ・コネクション

【配信:アマゾン

監督:ウイリアム・フリードキン

※刑事アクション映画。手に汗握る緊迫感にあふれる秀作。すさまじいカーチェイスのシーンが有名。

作品賞に加えて、監督賞(ウィリアム・フリードキン)、主演男優賞(ジーン・ハックマン)など計5部門を受賞した。

1961年にニューヨークで実際に起きた史上最大の麻薬密輸事件を題材にした。映像がリアル。時間の流れもリアル。意外性のある展開で飽きさせない。ドキュメンタリー的な撮影・編集が見どころ。移動撮影も絶賛された。犯罪都市の一面を見事にえぐり出した。

<予告編▼>


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監督賞 ウイリアム・フリードキン
(フレンチ・コネクション)
  • スタンリー・キューブリック(時計じかけのオレンジ)
  • ジョン・シュレンジャー(日曜日は別れの時)
  • ノーマン・ジュイソン(屋根の上のバイオリン弾き)
  • ピーター・ボグダノヴィッチ(ラスト・ショー)
主演男優賞 ジーン・ハックマン
(フレンチ・コネクション)
  • ウォルター・マッソー(コッチおじさん)
  • ピーター・フィンチ(日曜日は別れの時)
  • ジョージ・C・スコット(ホスピタル)
  • トポル(屋根の上のバイオリン弾き)
主演女優賞 ジェーン・フォンダ
(コールガール)
  • ジュリー・クリスティ(ギャンブラー)
  • ヴァネッサ・レッドグレイヴ(クイン・メリー/愛と悲しみの生涯)
  • ジャネット・サズマン(ニコライとアレクサンドラ)
  • グレンダ・ジャクソン(日曜日は別れの時)
助演男優賞 ベン・ジョンスン
(ラスト・ショー)
  • リチャード・ジャッケル(オレゴン大森林/わが緑の大地)
  • ロイ・シャイダー(フレンチ・コネクション)
  • レナード・フレイ(屋根の上のバイオリン弾き)
  • ジェフ・ブリッジス(ラスト・ショー)
助演女優賞 クロリス・リーチマン
(ラスト・ショー)
  • アン=マーグレット(愛の狩人)
  • バーバラ・ハリス(ケラーマン)
  • マーガレット・レイトン(恋)
  • エレン・バースティン(ラスト・ショー)
脚本賞 ホスピタル
(パディ・チャイエフスキー)
  • おもいでの夏(ハーマン・ローチャー)
  • コールガール(アンディ・ルイス、デイヴ・ルイス)
  • 殺人捜査(ウーゴ・ピロ、エリオ・ペトリ)
  • 日曜日は別れの時(ペネロープ・ギリアット)
脚色賞 フレンチ・コネクション
(アーネスト・タイディマン)
  • 暗殺の森(ベルナルド・ベルトルッチ)
  • 悲しみの青春(ヴィットリオ・ボニチェリ、ウーゴ・ピロ)
  • 時計じかけのオレンジ(スタンリー・キューブリック)
  • ラスト・ショー(ピーター・ボグダノヴィッチ、ラリー・マクマートリー)
外国語映画賞 悲しみの青春
(イタリア)
  • 移民者たち(スウェーデン)
  • チャイコフスキー(ソビエト連邦)
  • どですかでん(日本)
  • Ha Shoter Azulai(イスラエル)

1971年(第43回)

  • ■ 作品賞:
    「パットン大戦車軍団」
  • ■ 最多受賞:
    「パットン大戦車軍団」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「大空港」(10個)
    「パットン大戦車軍団」(10個)

アメリカの第二次世界大戦の英雄を描く「パットン大戦車軍団」が、作品賞、監督賞、主演男優賞など7冠。圧勝だった。

前哨戦のゴールデングローブ賞ではドラマ作品賞を「ある愛の詩(うた)」、コメディ作品賞を「マッシュ」が獲っており、混戦模様だった。

1972年↑ | 1971年 | 1970年↓

1971年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「パットン大戦車軍団」

パットン大戦車軍団

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監督:フランクリン・J・シャフナー

戦争スペクタクル。第二次世界大戦の米国の英雄パットン将軍の伝記。 偏屈で激情家ながら、優れた戦略家として活躍した人物の人生をダイナミックに描いた。

若き日のコッポラが脚本に参加し、脚本賞を受賞した。本物の戦車や多数のエキストラを動員して撮った大ロケーションは迫力満点。

主演のジョージ・C・スコットは、ノミネートの段階から拒否していたが、それでも主演男優賞を受賞し、辞退して大きな話題になった。

【物語】第二次世界大戦中の1943年の北アフリカ・チュニジア。米軍は独軍との初戦に完敗し、新たな司令官に激情型のパットンを送り込む。パットンは副官に冷静沈着なブラッドリー将軍(カール・マルデン)を採用し、エル・ゲッターの戦い、シチリア島攻略で戦果をあげた。だが、ノイローゼの兵士を殴り、欧州上陸を前に司令官を解任される。その後、再び前線へと戻ったパットンは、破竹の勢いでベルリンを目指した。

<予告編▼>


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  • 「ある愛の詩(うた)」
    監督:アーサー・ヒラー
    ※日本でも大成功した純愛映画。甘美な音楽も人気を集めた。
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  • 「M★A★S★H マッシュ」
    監督:ロバート・アルトマン
    ※風刺のきいた戦争コメディ
  • 「大空港」
    監督:ジョージ・シートン
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    ※旅客機パニック劇。豪華キャスト。
  • 「ファイブ・イージー・ピーセス」
    監督:ボブ・ラフェルソン
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監督賞 フランクリン・J・シャフナー
(パットン大戦車軍団)
  • アーサー・ヒラー(ある愛の詩)
  • ケン・ラッセル(恋する女たち)
  • フェデリコ・フェリーニ(サテリコン)
  • ロバート・アルトマン(M★A★S★Hマッシュ)
主演男優賞 ジョージ・C・スコット
(パットン大戦車軍団)
  • ライアン・オニール(ある愛の詩)
  • メルヴィン・ダグラス(父の肖像)
  • ジャック・ニコルソン(ファイブ・イージー・ピーセス)
  • ジェームズ・アール・ジョーンズ(ボクサー)
主演女優賞 グレンダ・ジャクソン
(恋する女たち)
  • アリ・マッグロー(ある愛の詩)
  • ジェーン・アレクサンダー(ボクサー)
  • サラ・マイルズ(ライアンの娘)
  • キャリー・スノッドグレス(わが愛は消え去りて)
助演男優賞 ジョン・ミルズ
(ライアンの娘)
  • ジョン・マーレイ(ある愛の詩)
  • チーフ・ダン・ジョージ(小さな巨人)
  • ジーン・ハックマン(父の肖像)
  • リチャード・カステラーノ(ふたりの誓い)
助演女優賞 ヘレン・ヘイズ
(大空港)
  • モーリン・ステイプルトン(大空港)
  • カレン・ブラック(ファイブ・イージー・ピーセス)
  • サリー・ケラーマン(M★A★S★Hマッシュ)
  • リー・グラント(真夜中の青春)
脚本賞 パットン大戦車軍団
(フランシス・フォード・コッポラ、エドマンド・H・ノース)
  • ある愛の詩(エリック・シーガル)
  • ジョー(ノーマン・ウェクスラー)
  • ファイブ・イージー・ピーセス(ボブ・ラフェルソン、エイドリアン・ジョイス)
  • モード家の一夜(エリック・ロメール)
脚色賞 M★A★S★Hマッシュ
(リング・ラードナー・Jr)
  • 恋する女たち(ラリー・クレイマー)
  • 大空港(ジョージ・シートン)
  • 父の肖像(ロバート・アンダーソン)
  • ふたりの誓い(レニー・テイラー、ジョセフ・ボローニャ、デヴィッド・Z・グッドマン)
外国語映画賞 殺人捜査
(イタリア)
  • 哀しみのトリスターナ(スペイン)
  • 初恋(スイス)
  • ホア・ビン(フランス)
  • Paix sur les champs(ベルギー)

1970年(第42回)

  • ■ 作品賞:
    「真夜中のカーボーイ」
  • ■ 最多受賞:
    「明日に向って撃て!」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「1000日のアン」(10個)

テキサスからニューヨークにやって来た若者の挫折を描いた「真夜中のカーボーイ」が、作品賞を受賞した。有力候補「明日に向って撃て!」をおさえての勝利だった。監督賞、脚色賞も獲って3冠だった。「明日に向って撃て!」は脚本賞など最多7冠に輝いた。

「真夜中のカーボーイ」「明日に向って撃て!」はいずれも、1960年代後半から盛り上がった「アメリカン・ニューシネマ」の代表作。

1971年↑ | 1970年 | 1969年→

1970年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「真夜中のカーボーイ」

真夜中のカーボーイ

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監督:ジョン・シュレシンジャー

辛ロの青春ドラマ。勧善懲悪や大団円(ハッピーエンド)の伝統的映画とは一線を画す「アメリカン・ニューシネマ」の代表作。

カウボーイと詐欺師の2人の男が、都会からはじき出されていく様が、暗いトーンで語られる。

明るいタッチの有力作「明日に向って撃て!」をおさえた。

主演のジョン・ボイド、ダスティン・ホフマンのアンチヒーローぶりも見どころ。ニルソンの主題歌「うわさの男」もヒットした

【物語】テキサスの田舎町のカウボーイ青年ジョーは、「都会で金持ちの女たちに食わせてもらう」という夢を抱き、ニューヨークへやってくる。しかし、苦い現実に直面する。路上に立って同性愛者たちに身を売る“真夜中のカウボーイ”にまで転落してしまう。そんなとき、肺を病み、足の不自由なラッツォが手を差しのべる。

<予告編▼>


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  • 「明日に向って撃て!」
    監督:ジョージ・ロイ・ヒル
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  • 「Z」
    監督:コンスタンタン・コスタ=ガヴラス
     予告編(字幕なし)→
  • 「1000日のアン」
    監督:チャールズ・ジャロット
  • 「ハロー・ドーリー!」
    監督:ジーン・ケリー
監督賞 ジョン・シュレシンジャー
(真夜中のカーボーイ)

※1926年、英国ロンドン生まれ。オックスフォード大を卒業。英国人らしい繊細で知的なタッチの作品群でユニークな地位を築いた。 膨大な予算とハッピーエンドといったハリウッド型の大作とは一線を画し、社会の暗部や人間味を描き通した。同性愛者として知られる。享年77歳。
  • ジョージ・ロイ・ヒル(明日に向って撃て!)
  • アーサー・ペン(アリスのレストラン)
  • コスタ=ガヴラス(Z)
  • シドニー・ポラック(ひとりぼっちの青春)
主演男優賞 ジョン・ウェイン
(勇気ある追跡)
  • リチャード・バートン(1000日のアン)
  • ピーター・オトゥール(チップス先生さようなら)
  • ジョン・ヴォイト(真夜中のカーボーイ)
  • ダスティン・ホフマン(真夜中のカーボーイ)
主演女優賞 マギー・スミス
(ミス・ブロディの青春)
  • ライザ・ミネリ(くちづけ)
  • ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド(1000日のアン)
  • ジーン・シモンズ(ハッピーエンド/幸せの彼方に)
  • ジェーン・フォンダ(ひとりぼっちの青春)
助演男優賞 ギグ・ヤング
(ひとりぼっちの青春)
  • ジャック・ニコルソン(イージー・ライダー)
  • ルパート・クロス(華麗なる週末)
  • アンソニー・クエイル(1000日のアン)
  • エリオット・グールド(ボブ&キャロル&テッド&アリス)
助演女優賞 ゴールディ・ホーン
(サボテンの花)
  • キャシー・バーンズ(去年の夏)
  • スザンナ・ヨーク(ひとりぼっちの青春)
  • ダイアン・キャノン(ボブ&キャロル&テッド&アリス)
  • シルヴィア・マイルズ(真夜中のカーボーイ)
脚本賞 明日に向って撃て!
(ウィリアム・ゴールドマン)
  • イージー・ライダー(ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー、テリー・サザーン)
  • 地獄に堕ちた勇者ども(ルキノ・ヴィスコンティ、ニコラ・バダルッコ、エンリコ・メディオーリ)
  • ボブ&キャロル&テッド&アリス(ポール・マザースキー、ラリー・タッカー)
  • ワイルドバンチ(サム・ペキンパー、ウォロン・グリーン、ロイ・N・シックナー)
脚色賞 真夜中のカーボーイ
(ウォルド・ソルト)
  • さよならコロンバス(アーノルド・シュルマン)
  • 1000日のアン(ジョン・ヘイル、ブリジット・ボランド、リチャード・ソコラヴ)
  • Z(コスタ=ガヴラス、ホルヘ・センプラン)
  • ひとりぼっちの青春(ジェームズ・ポー、ロバート・E・トンプソン)
外国語映画賞 Z
(アルジェリア)
  • カラマーゾフの兄弟(ソビエト連邦)
  • ネレトバの戦い(ユーゴスラビア)
  • モード家の一夜(フランス)
  • Ådalen '31(スウェーデン)

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