アカデミー賞の作品賞の一覧。 歴代のオスカー受賞映画とノミネートの全リスト。(アワードウォッチ)
年 | 作品賞 | 詳細 |
---|---|---|
2025 | 「アノーラ(Anora)」 | 詳細▼ |
2024 | 「オッペンハイマー」 | 詳細▼ |
2023 | 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 | 詳細▼ |
2022 | 「コーダ あいのうた」 | 詳細▼ |
2021 | 「ノマドランド」 | 詳細▼ |
2020 | 「パラサイト 半地下の家族」 | 詳細▼ |
2019 | 「グリーンブック」 | 詳細▼ |
2018 | 「シェイプ・オブ・ウォーター」 | 詳細▼ |
2017 | 「ムーンライト」 | 詳細▼ |
2016 | 「スポットライト 世紀のスクープ」 | 詳細▼ |
2015 | 「バードマン」 | 詳細▼ |
2014 | 「それでも夜は明ける」 | 詳細▼ |
2013 | 「アルゴ」 | 詳細▼ |
2012 | 「アーティスト」 | 詳細▼ |
2011 | 「英国王のスピーチ」 | 詳細▼ |
2010 | 「ハート・ロッカー」 | 詳細▼ |
2009 | 「スラムドッグ$ミリオネア」 | 詳細▼ |
2008 | 「ノーカントリー」 | 詳細▼ |
2007 | 「ディパーテッド」 | 詳細▼ |
2006 | 「クラッシュ」 | 詳細▼ |
2005 | 「ミリオン・ダラー・ベイビー」 | 詳細▼ |
2004 | 「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」 | 詳細▼ |
2003 | 「シカゴ」 | 詳細▼ |
2002 | 「ビューティフル・マインド」 | 詳細▼ |
2001 | 「グラディエーター」 | 詳細▼ |
2000 | 「アメリカン・ビューティー」 | 詳細▼ |
1999 | 「恋におちたシェイクスピア」 | 詳細▼ |
1998 | 「タイタニック」 | 詳細▼ |
1997 | 「イングリッシュ・ペイシェント」 | 詳細▼ |
1996 | 「ブレイブハート」 | 詳細▼ |
1995 | 「フォレスト・ガンプ/一期一会」 | 詳細▼ |
1994 | 「シンドラーのリスト」 | 詳細▼ |
1993 | 「許されざる者」 | 詳細▼ |
1992 | 「羊たちの沈黙」 | 詳細▼ |
1991 | 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」 | 詳細▼ |
1990 | 「ドライビングMissデイジー」 | 詳細▼ |
1989 | 「レインマン」 | 詳細▼ |
1988 | 「ラスト・エンペラー」 | 詳細▼ |
1987 | 「プラトーン」 | 詳細▼ |
1986 | 「愛と哀しみの果て」 | 詳細▼ |
1985 | 「アマデウス」 | 詳細▼ |
1984 | 「愛と追憶の日々」 | 詳細▼ |
1983 | 「ガンジー」 | 詳細▼ |
1982 | 「炎のランナー」 | 詳細▼ |
1981 | 「普通の人々」 | 詳細▼ |
1980 | 「クレイマー・クレイマー」 | 詳細▼ |
1979 | 「ディア・ハンター」 | 詳細▼ |
1978 | 「アニー・ホール」 | 詳細▼ |
1977 | 「ロッキー」 | 詳細▼ |
1976 | 「カッコーの巣の上で」 | 詳細▼ |
1975 | 「ゴッドファーザーPARTⅡ」 | 詳細▼ |
1974 | 「スティング」 | 詳細▼ |
1973 | 「ゴッドファーザー」 | 詳細▼ |
1972 | 「フレンチ・コネクション」 | 詳細▼ |
1971 | 「パットン大戦車軍団」 | 詳細▼ |
1970 | 「真夜中のカーボーイ」 | 詳細▼ |
1969 | 「オリバー!」 | 詳細▼ |
1968 | 「夜の大捜査線」 | 詳細▼ |
1967 | 「わが命つきるとも」 | 詳細▼ |
1966 | 「サウンド・オブ・ミュージック」 | 詳細▼ |
1965 | 「マイ・フェア・レディ」 | 詳細▼ |
1964 | 「トム・ジョーンズの華麗な冒険」 | 詳細▼ |
1963 | 「アラビアのロレンス」 | 詳細▼ |
1962 | 「ウエスト・サイド物語」 | 詳細▼ |
1961 | 「アパートの鍵貸します」 | 詳細▼ |
1960 | 「ベン・ハー」 | 詳細▼ |
1959 | 「恋の手ほどき」 | 詳細▼ |
1958 | 「戦場にかける橋」 | 詳細▼ |
1957 | 「八十日間世界一周」 | 詳細▼ |
1956 | 「マーティ」 | 詳細▼ |
1955 | 「波止場」 | 詳細▼ |
1954 | 「地上(ここ)より永遠(とわ)に」 | 詳細▼ |
1953 | 「地上最大のショウ」 | 詳細▼ |
1952 | 「巴里(パリ)のアメリカ人」 | 詳細▼ |
1951 | 「イヴの総て」 | 詳細▼ |
1950 | 「オール・ザ・キングスメン」 | 詳細▼ |
1949 | 「ハムレット」 | 詳細▼ |
1948 | 「紳士協定」 | 詳細▼ |
1947 | 「我等の生涯の最良の年」 | 詳細▼ |
1946 | 「失われた週末」 | 詳細▼ |
1945 | 「我が道を往く」 | 詳細▼ |
1944 | 「カサブランカ」 | 詳細▼ |
1943 | 「ミニヴァー夫人」 | 詳細▼ |
1942 | 「わが谷は緑なりき」 | 詳細▼ |
1941 | 「レベッカ」 | 詳細▼ |
1940 | 「風と共に去りぬ」 | 詳細▼ |
1939 | 「我が家の楽園」 | 詳細▼ |
1938 | 「ゾラの生涯」 | 詳細▼ |
1937 | 「巨星ジーグフェルド」 | 詳細▼ |
1936 | 「戦艦バウンティ号の叛(はん)乱」 | 詳細▼ |
1935 | 「或る夜(あるよ)の出来事」 | 詳細▼ |
1934 | 「カヴァルケード」 | 詳細▼ |
1933 | 「グランド・ホテル」 | 詳細▼ |
1932 | 「シマロン」 | 詳細▼ |
1931 | 「西部戦線異状なし」 | 詳細▼ |
1930 | 「ブロードウェイ・メロディー」 | 詳細▼ |
1929 | 「つばさ」 | 詳細▼ |
歴代の作品賞
| 2025 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 |
(2020年代 | 2010年代↓)
インディー映画一筋のショーン・ベイカー監督の現代コメディ「アノーラ(Anora)」が大勝利。優れた作家性と深みのある娯楽性を両立させ、メジャースタジオの超大作や重厚な歴史ドラマを打ち破った。
部門 | 受賞 | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
作品賞 |
|
部門 | ノミネート | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
作品賞ノミネート |
|
作品賞 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年 | 受賞作品 | ノミネート | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2024 |
「オッペンハイマー」
![]() |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2023 |
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(略称:エブエブ)」
![]() (日本公開:2023年3月3日) 監督:ダニエルズ 史上初の主要6冠作品賞に加えて、監督、主演女優、助演男優、助演女優、脚本、編集賞の計7冠。 このうち編集賞を除く6部門が主要部門だった。 「羊たちの沈黙」「愛と追憶の日々」「クレイマー・クレイマー」「カッコーの巣の上で」「或る夜の出来事」「地上(ここ)より永遠(とわ)に」などの最多記録(主要5冠)を抜き、史上初の主要部門6冠に輝いた。ダントツの独創性と斬新さに熱烈な支持が集まった。インデペンデント映画ならではの発想力の勝利だった。 中華系移民のSF家族劇米国の中華系移民の家族が突然、人類を救う戦いに巻き込まれるSF活劇。母娘愛・夫婦愛を軸とする感動系の家族物語でもある。ミシェル・ヨー主演。若手オタクとA24新進気鋭の2人組監督ダニエルズの大出世作となった。ハリウッドで最も勢いのある新興映画会社「A24」にとって過去最大の興行収入を記録。米国の映画ファンの間で話題沸騰となった。若手オタクとA24オスカー前哨戦では、評論家系の賞で勝ち続けた後、映画業界の組合別の賞で圧勝した(PGA、DGA、SAG、WGAを完全制覇)。アジア系が大活躍主要キャストの大半はアジア系。さらに監督の1人は台湾系。メインのプロデューサーも台湾系。衣装デザイナーは日系人。アジア系の人材が大活躍した。奇抜な異色作のわりにアンチが少ないのも特徴。米国を支えてきた移民たちへの賛歌というメッセージ性もある。 歴代トップ級の奇想天外ぶりメジャー作品にはない手作り感とB級風味も持ち味となった。 オスカー作品賞史上、奇想天外ぶりにおいてトップレベルと受け止められている。少なくとも「お馬鹿映画ぶり」が歴代マックスであることは間違いない。8年ぶり7冠オスカー7冠達成は、2014年の「ゼロ・グラビティ」以来9年ぶり。 作品賞を含めた7冠以上となると、2009年に8冠に輝いた「スラムドッグ・ミリオネア」以来だった。一つの作品による独占が難しくなっていた近年のアカデミー賞において、久しぶりの完勝となった。俳優部門3冠は史上3作目また、俳優部門での3冠は46年ぶり。1977年「ネットワーク」、1953年「欲望という名の電車」に次いで史上3作目の快挙だった。「タイタニック」との勝ちぶりの違いアカデミー賞の最多受賞の記録は、「ベン・ハー」「タイタニック」「ロード・オブ・ザ・リング3/王の帰還」の13部門だが、これらの作品は技術部門で大量に稼いだ結果である。例えばタイタニックとロード・オブ・ザ・リング3は俳優部門は一つも獲っていない。一方、エブエブは技術部門の受賞は編集賞だけで、残りは「above the line」と呼ばれる主要8部門での勝利。主演男優と脚色はそもそも選考対象ではなかったことを考えると、主要部門は全て制覇したといえる。 続きを開く▼1年前の劇場公開は「羊たちの沈黙」以来本作が米国で劇場公開されたのは2022年3月だった。 オスカー授賞式の1年も前だ。 通常、公開から時間が経つとオスカーでは不利だが、本作に限っては勢いが衰えなかった。むしろ「見返すほど面白さが増す」との声が多く聞かれた。 公開時期の早さは、1991年2月に全米公開されて翌年の作品賞を獲った「羊たちの沈黙」以来の記録。サークル的なノリに共感賞レースでは、本作で20余年ぶりの奇跡的なカムバックを果たした元子役キー・ホイ・クァンが、感動的なスピーチで往年の映画ファンを泣かせた。 ミシェル・ヨーやジェイミー・リー・カーティスらお馴染みのスターたちも作品の魅力を訴え、ムードを盛り上げた。各授賞式やイベントでは、キャストやスタッフが若いオタク系監督を囲み、和気あいあいと祝福しあうサークル活動的なノリが共感を呼んだ。その輪の中には、祖父役を演じた94歳の超ベテラン中国系俳優ジェームズ・ホンの姿もあった。 包摂的(インクルーシブ)で楽しそうな光景が、映画自体のメッセージとも重なり合った。 逆風が吹かず賞レース終盤で「断トツの最有力候補」としてのポジションを固めたが、よくありがちなバッシングは起きなかった。 前哨戦で連勝しながら最終局面でアンチが増え、作品賞を逃した前年の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(Netflix)とは対照的だった。 ポジティブな人生賛歌という作風が、有利に働いたかも知れない。「A24」の圧勝インデペンデント系映画会社「A24」にとって、2017年の「ムーンライト」に続いて2度目の作品賞となった。 同じく本年度にA24が配給した「ザ・ホエール」は主演男優賞とメイク&ヘア賞を獲得した。 大手スタジオやNetflixを突き放し、会社別の受賞数で圧倒的なトップだった。A24は2012年創業。 映画投資会社出身のダニエル・カッツら3人が設立した。本社ニューヨーク。 「エブエブ」は設立10周年の作品であり、出資と配給を担当した。 A24はアート性と娯楽性を兼ね備えた作品づくりに定評がある。 「ムーンライト」以外の過去の作品賞ノミネートは、2016年の「ルーム」、2021年の「ミナリ」。
配給:A24 プロデューサー:ジョナサン・ウォン、ルッソ兄弟、ダニエルズほか 【配信:U-NEXT】 ![]() ■評点:ロッテン95%、IMDb8.0 ■米興収:7200万ドル→ ■製作費:1600万ドル 【前哨戦での受賞】 ・PGA(米プロデューサー組合賞) ・DGA(米監督組合賞) ・SAG(俳優組合)アンサンブル賞 ・クリティック・チョイス賞 その他▼・ロサンゼルス批評家賞・ワシントン批評家賞 ・フロリダ批評家賞 ・アトランタ批評家賞 ・ヒューストン批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 ・ゴッサム賞 ・独立系精神賞 ・WGA(米脚本家組合賞) <受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<主題歌「This Is A Life」▼><茶一郎の解説▼> <予告編▼> |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2022 |
「コーダ あいのうた」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:シアン・ヘダー 涙と笑いあふれる感動作。漁師一家の中でただ1人耳が聞こえる女子高生を主人公に、家族の絆や成長を描く。 2014年のフランス映画のリメイクながら、米国らしい陽気でエネルギッシュな脚色・演出により、突き抜けた一本になった。 コロナ禍で多くの人が辛い目にあっていた時代。温かみのあるストーリーが支持された。 役者たちの演技も絶賛された。主人公の家族のろう者3人は、いずれも聴覚にハンディのある俳優が演じた。 独立系(インデペンデント)の作品であり、当初は有力視されていなかった。 しかし、作品の知名度が高まるにつれて応援ムードが盛り上がり、前哨戦の終盤で急浮上。 大本命「パワー・オブ・ザ・ドッグ」を破った。 続きを開く▼▼<投票方式が有利に> 前哨戦で圧倒的に強かったパワー・オブ・ザ・ドッグは、芸術性は高いものの、好き嫌いが分かれる傾向にあった。 候補作10本に順位を付けさせる独特な投票方式が、「みんなに好かれる映画(嫌われない映画)」の典型といえる本作に有利に働いたようだ。 アート系の「ROMA/ローマ」が、大衆系の「グリーンブック」に敗れた2019年と類似する結末といえる。 <サンダンス映画祭> 本作の製作費は11億で、オスカー受賞映画としてはかなり小規模だった。(それでも前年の作品賞の「ノマドランド」の2倍ではある)。米インデペンデント系映画賞「サンダンス映画祭」で史上最多となる4冠を達成。ネット配信に参入して間もない米IT企業アップルが、これまたサンダンス史上最高となる26億円で配給権を買い取った。 サンダンス映画祭の出品作としても初の作品賞。ろう者が主な出演者となっている映画としても初めて。 配給元アップルは1999年にネット動画配信に参入したばかり。 アップルとして初の作品賞。ネット配信会社のオリジナル作品としても初めて。 先発組のNetflixとアマゾンの先を越した。 <90年ぶり> なお、3個以下のノミネートしか得ていない映画の作品賞受賞は、1932年(第5回)の「グランド・ホテル」以来90年ぶりとなった。
<受賞スピーチ▼> <挿入歌▼> <予告編▼> (日本公開:2022年1月21日) |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2021 |
「ノマドランド」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:クロエ・ジャオ アメリカの雄大な原風景を背景に、 季節労働者たちの心のひだを見事に映し出した詩情的な作品。 コロナウイルス感染拡大で孤立感や喪失感が深まるなか、 人と人とのつながり、亡き伴侶への想い、自然との一体感を伝える静かな物語が、共感を呼んだ。 カメラクルーが半年間にわたって米国の田舎を転々としながら、 撮影を行った。 荒野、砂漠、森林、峡谷に主人公らが溶け込む様子を美しい映像で伝える。 過去数年のオスカー作品賞争いは、有力2作品による接戦が多かった。 しかし、本年度は、ノマドランドが前哨戦の序盤から独走を続け、 予想通りの受賞となった。 (公開:2021年3月26日) 説明ページ→ 字幕版(Amazon)→ 吹替版(Amazon)→ <受賞スピーチ▼> <予告編▼> |
※2021年の全部門→ |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2020 |
「パラサイト 半地下の家族」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ポン・ジュノ 韓国映画としてはもちろん、英語以外の映画として史上初の作品賞に輝いた。まさに歴史的な快挙だった。 「半地下住宅」という劣悪な生活環境で暮らす貧しい家族が主人公。 貧富の格差などがテーマ。ドラマ、コメディ、サスペンス、風刺、ホラー、悲劇、社会への問題提起など、 あらゆる要素がダイナミックに交錯する傑作との称賛を浴びた。 ポン・ジュノ監督は「母なる証明」「殺人の追憶」が世界で絶賛され、映画評論家や映画通の間では神的な存在ではあった。しかし、一般の米国人は知られておらず、当初は、本作の作品賞獲得を予想する声は少なかった。 アメリカ人は業界関係者であっても字幕で映画を見ることにそれほど慣れていない。字幕映画という点はやはり不利。しかし、芸術性だけでなく、シンプルな娯楽性という点において傑出した本作は、エンタメ映画として幅広い層から熱烈な支持を得ることに成功した。 終盤にはハリウッドの業界人の間でも応援団的な動きが出てきた。 過去数年で海外のアカデミー会員(日本でいえば北野武、是枝裕和)が増えたことも追い風になったようだ。 この後、韓国音楽グループ「BTS」、韓国ドラマ「イカゲーム」などが世界を席巻し、コンテンツ大国としての存在感を発揮することとなった。 (公開:2020年1月10日) 説明ページ→ 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 授賞式の発表の瞬間(動画)→ |
※2020年の全部門→ |
| 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 |
作品賞 | ||
---|---|---|
年 | 受賞作品 | ノミネート |
2019 | 「グリーンブック」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ピーター・ファレリー 黒人ピアニストと白人運転手の友情を描く。 実話に基づいた物語。心温まる内容。 時は1962年。 既にニューヨークを拠点に音楽界で大成功を収めていたシャーリーが、人種差別が悪質な米国南部へと演奏ツアーに向かう。 その専属運転手として、イタリア系の用心棒トニーが雇われる。 エリート教育を受けてきた知性派の黒人シャーリーと、 労働者階級の白人トニーのやり取りがコミカルに描写されている。 トニーの実の息子が50年の時を経て脚本を書いた。 ピーター・ファレリー監督は、「メリーに首ったけ」などコメディー映画で知られる。 いわゆるロードムービーであるとともに、クリスマス映画でもある。 ネットフリックスの白黒映画「ROMA/ローマ」との一騎打ちの展開。 事前予想ではローマが有力視されていた。 しかし、大衆的な面白味にあふれたグリーンブックが栄冠を手にした。 (公開:2019年3月1日) 説明ページ→ <受賞スピーチ▼> <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ |
※2019年の全部門→ |
2018 |
「シェイプ・オブ・ウォーター」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ギレルモ・デル・トロ 半魚人と女性のラブロマンス映画。ファンタジーもの。美しいおとぎ話である。 「怪獣もの映画として初のオスカー作品賞」とも言われる。 ヒレやウロコのある生々しい半魚人。最初は恐ろしい怪人に見えるが、だんだんとイケメンに見えてくる。 ヒロインの女性は発声に障害があり、口がきけない。簡単な手話や音楽で、半魚人と心を通わせていく。 監督は、メキシコ人のギレルモ・デル・トロ(当時53歳)。 怪獣や特撮を愛するオタク系であり、親日派。 特殊メイクの助手として映画界に入った。 「パンズ・ラビリンス」(2006年)でアカデミー賞3部門を獲得した。 前哨戦では、社会派ドラマ「スリー・ビルボード」と勝利を二分していた。 オスカーでは、華やかさや視覚的な芸術性で上回るシェイプ・オブ・ウォーターが勝利した。 (日本公開:2018年3月1日) 説明ページ→ <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ |
※2018年の全部門→ |
2017 | 「ムーンライト」
![]() 【配信:配信:アマゾン 監督:バリー・ジェンキンズ 製作費1.5億円という小規模予算。 正真正銘のインディー映画である。 主人公はゲイの黒人。 いじめ、差別、貧困に直面しながら生きる姿が、静かな語り口で描かれる。 子供時代、高校時代、大人時代の3部に分かれている。 美しい映像と音楽とともに、主人公の内面へ引き込む力が、高い評価を得た。 黒人のバリー・ジェンキンス監督は37歳。本作が長編2作目となった。 登場人物もほとんどが黒人。 このうち、麻薬の売人を演じるマハーシャラ・アリが助演男優賞を受賞した。 配給は、質の高いインディー映画で有名なアメリカの「A24」。 製作は、ブラッド・ピットが経営する「プランB」とA24が共同で手がけた。 事前予想では、ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」が最有力との声が圧倒的に多かった。 とはいえ、批評家からの評価は「ムーンライト」のほうが、やや上だった。 両作品とも、歴史に残る傑作として語り継がれている。 <受賞発表のハプニング映像> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 宇多丸の解説→ 説明ページ→ |
※2017年の全部門→ |
2016 | 「スポットライト 世紀のスクープ」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:トーマス・マッカーシー 米国のキリスト教会の聖職者による大規模な性的虐待を描いた。 事件をスクープした新聞社が舞台。 新聞記者たちの粘り強さが心を打つ。 この年のオスカーは秀作ぞろいだった。「マネー・ショート」や「レヴェナント」も有力視されていた。 現実の社会問題に対して、奇をてらずにまっすぐに取り組んだ「スポットライト」に軍配が上がった。 説明ページ→ <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ |
※2016年の全部門→ |
2015 | 「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
![]() 【配信:アマゾン 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 「バードマン」対「6才のボクが、大人になるまで」の一騎打ちと見られた。 過去の名作へのオマージュやハリウッドの内輪ネタがふんだんに盛り込まれたバードマンが勝利した。 バードマンは作り手の遊び心と挑戦があふれた実験的な作品。物語も、映像も、一筋縄ではいかない。 カット割りがなく、全編が一場面のような長回しの撮影。 そうかと思うと突然怪獣が出たり空を飛んだりのファンタジー。妄想と現実がない交ぜになっている。 かつて鳥人のヒーロー映画「バードマン」の主演でスターになり、その後落ちぶれた俳優が、ブロードウェーの舞台劇で一発逆転を夢見る。 説明ページ→ <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ |
|
2014 | 「それでも夜は明ける」
![]() 【配信:アマゾン 監督:スティーヴ・マックイーン 奴隷制度の冷酷さを、誠実に描いた歴史物語。 奴隷の輸入が禁止された後のアメリカにおいて、 米国内で自由に暮らす黒人を誘拐し、強制的に奴隷にしてしまう事件が多発した。 その被害者の一人の手記に基づく実話である。 監督スティーヴ・マックイーンはアフリカ系イギリス人。 黒人監督として史上初のアカデミー賞作品賞を受賞した。 SF映画の傑作「ゼロ・グラビティ」をおさえ、堂々の受賞。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
2013 | 「アルゴ」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ベン・アフレック 実話をベースにしたサスペンス劇。 1979年に起きたイランの米大使館人質事件で、大使館員6人がイラン国内に取り残された。 CIAは、ハリウッドの映画人が協力して、6人を救出する計画を立てる。 映画のロケハンを装って人命を救おうとする「ハリウッド礼賛」的な側面がある。 これが受賞の決め手となったと見られている。 正体がばれないかスリリングで、ドラマに緊張感がある。 監督賞にノミネートされなかった映画が作品賞を受賞するのは、1990年の「ドライビングMissデイジー」以来。 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 受賞スピーチ→ 説明ページ→ |
|
2012 | 「アーティスト」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ミシェル・アザナビシウス 無声映画。かつ白黒映画。 ハリウッド映画についての映画であり、全般にわたって映画愛が満ちている。 アカデミー会員は大喜び。 3D全盛の時代に、映画様式の原点に戻ったシンプルさが感動を呼んだ。 作品賞、監督賞、主演男優賞など、主要5部門を制した。 1920年代後半から30年代にかけて、無声映画(サイレント)から発声映画(トーキー)への過渡期のハリウッドが舞台となっている。 サイレント時代の終わりとともに、落ちぶれてゆくスター男優が主人公。 人気上昇中の新人女優と心を寄せ合う。 監督は45歳のフランス人、ミシェル・アザナビシウス。 出演者もフランス人たち。 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 受賞スピーチ→ 説明ページ→ |
|
2011 | 「英国王のスピーチ」
![]() 【配信:アマゾン 監督:トム・フーパー 内気で演説が苦手なイギリス国王が、歴史を左右するような重大なスピーチに臨むまでの実話を描いた。 感動的な歴史もの。 この年の作品賞争いは、本作と「ソーシャル・ネットワーク」との一騎打ちとなった。 ソーシャル・ネットワークはFacebookの創業をテーマにした意欲作。 新しい時代の空気をつかみ、斬新な映像で表現。年月を経ても色あせない普遍的な娯楽映画として、 その後も讃えられ続けた。 21世紀で最高の名作の一つとも言われる。 一方で、「英国王のスピーチ」は、それほど高い評価は得ていない。 この年の賞レースでも前哨戦の中盤まではソーシャル・ネットワークが優勢だった。 しかし、オスカー直前にタイムリーに現れた英国王のスピーチが猛追。 結局、王室ものゆえの格式が漂い、シニア層の共感も得やすい英国王のスピーチに軍配が上がった。 当時、絶頂期にあった大物プロデューサー、ハービー・ワインスタイン(後にセクハラ事件で業界追放)による巧妙なオスカー・キャンペーンも、英国王のスピーチに有利に働いたようだ。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
2010 | 「ハート・ロッカー」
![]() 【配信:アマゾン 監督:キャスリン・ビグロー 米国の対イラク戦争の最前線で爆弾を処理する兵士たちの人間ドラマ。 いつ命を失ってもおかしくない日々を送る爆弾処理員の緊迫した姿と心理を描く。ドキュメンタリーと間違えそうなリアリティーが話題となった。 キャスリン・ビグロー監督は、女性として初めてとなる監督賞も獲得した。計6冠。 ビグロー監督の元夫であるジェームス・キャメロン監督の超大ヒット作「アバター」との対決が注目された。 前哨戦では、ゴールデン・グローブ賞で「アバター」に敗れた。しかし、より重要度が高いPGA(全米プロデューサー組合賞)とクリティクス・チョイス賞で勝利していた。 ハート・ロッカーは製作費がアバターの約16分1の15億円。世界興行収入も約54分の1の48億円だったが、賞レースではハート・ロッカーに軍配が上がった。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
| 2009 | 2008 | 2007 | 2006 | 2005 | 2004 | 2003 | 2002 | 2001 | 2000 |
作品賞 | ||
---|---|---|
年 | 受賞作品 | ノミネート |
2009 | 「スラムドッグ$ミリオネア」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ダニー・ボイル インドを舞台にしたドラマ。舞台はインドの貧困街。言語の3分の1はヒンディー語だ。出演者の大半は、現地のスラムでスカウトされた。 イギリスの製作。アメリカ資本が入っていない映画の作品賞受賞は「ラストエンペラー」(伊英中の合作)以来、21年ぶりだった。監督は「トレインスポッティング」などを撮った英国人ダニー・ボイル。 物語の舞台はテレビのクイズ番組「クイズ$ミリオネア」。あと1問正解すれば、番組史上初のミリオネア(億万長者)になれるという少年が主人公。 収録スタジオ、警察での取り調べ、そして少年の生い立ちを交互に織り交ぜる。単なるサクセスストーリーに終わらず、インドの貧困層問題を浮き彫りにする。 作品賞のほか、監督賞など最多8部門に輝いた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
2008 | 「ノーカントリー」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:コーエン兄弟(ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン) 米テキサス州を舞台に、凶悪犯罪の恐怖と不条理を描いたサスペンス。 コ―マック・マッカーシーの小説「血と暴力の国」を、「ファーゴ」のコーエン兄弟が映画化した。 米国社会が抱える暴力性を、緊張感あふれる演出であぶり出した。 悪役の殺し屋は冷酷無比。「映画史上、最も恐ろしいキャラクター」と評された。 この役で助演男優賞を受賞したハビエル・ベルデムの怪演が強烈。 作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞の4冠に輝いた。 【物語】アメリカとメキシコの国境地帯で、麻薬取引の大金をめぐる惨劇が起きる。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
2007 | 「ディパーテッド」
![]() 【配信:アマゾン 監督:マーティン・スコセッシ マフィアに潜入した捜査官と警察に潜入したマフィアの攻防を描く。香港映画「インファナル・アフェア」シリーズのリメーク。 州警察が犯罪組織と戦いを繰り広げるボストン南部が舞台。秘密捜査官ビリー(ディカプリオ)は、コステロ(ニコルソン)が仕切る犯罪組織への潜入捜査を命じられる。ビリーがコステロの信頼を得る一方で、クールな犯罪者コリン(デイモン)はコステロの内通者として警察に潜入し、特別捜査課で出世する。やがて2人は正体が暴かれる危機に直面する。 ブラッド・ピットがプロデューサーの一人として参加した。 香港映画「インファナル・アフェア」にハリウッドでいち早く注目し、映画化権を手にした。しかし、役柄などの問題で出演はせず、裏方に徹した。 この年の作品賞レースでは、ディパーテッドが当初から有力視されていたが、サーチライト配給のコメディ「リトル・ミス・サンシャイン」が猛追し、台風の目のような存在になりつつあった。「リトル・ミス・サンシャイン」は不器用な家族の姿を描いたロードムービー。製作費約10億円で、ハリウッド映画としては中小規模ながら、口コミで絶賛の声が広がり、興行収入100億円を超える大ヒットになっていた。前哨戦の天王山となるPGA(プロデューサー組合賞)で作品賞を獲り、SAGアワード(俳優組合賞)でも、豪華俳優陣がそろったディパーテッドをおさえ、最高賞のアンサンブル・キャスト賞を制した。 しかし、オスカーでは、スケール感の大きいディパーテッドが勝った。(有宗良治) <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
2006 | 「クラッシュ」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ポール・ハギス 人種間に横たわる差別感情を描いた群像劇。さまざまな人種が交わることなく暮らす大都会ロサンゼルスの日常風景を切り取った。 ポール・ハギス監督の初監督作 前哨戦で圧勝し、大本命と予想されていた「ブロークバック・マウンテン」を破り、世界を驚かせた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
2005 | 「ミリオン・ダラー・ベイビー」
![]() 【配信:アマゾン 監督:クリント・イーストウッド 孤独な高齢トレーナーと、貧しい女性ボクサーの絆を描く。 イーストウッド監督&主演のヒューマン・ドラマ。作品、監督、主演女優、助演男優賞の4冠に輝いた。 イーストウッド監督は本作以降、次々と秀作映画を生み出した。巨匠監督としての黄金時代を築いた。 【物語】小さなボクシング・ジムに入門を希望する31歳の女性マギー。 ジムの老トレーナーは最初は断わるものの、やがて才能を認め指導するようになる。 説明ページ→ <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ |
|
2004 | 「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ピーター・ジャクソン 11部門受賞。『ベン・ハー』『タイタニック』と並ぶ、最多受賞のタイ記録となった。 ノミネートされた全ての部門を制覇。10部門以上での完全制覇はオスカー史上初。9部門全勝だった「恋の手ほどき」(1958年)と「ラスト・エンペラー」(1987年)の記録を更新した。 3部作の完結編。シリーズものの続編が作品賞を獲得したのは1974年の「ゴッドファーザー2」以来29年ぶりだった。 英国人の作家トールキン原作の冒険ファンタジー『指輪物語』を、 40歳過ぎのニュージーランド人、ピーター・ジャクソン監督が3作まとめて映画化した。総製作費は340億円。 第1部『ロード・オブ・ザ・リング』と第2部『二つの塔』は世界中で大ヒット。第3部『王の帰還』は、それらを上回る収入と評価を得た。 3時間23分の超大作 前二作よりも、各登場人物の内面が深く描かれた。スケール感もひたすら大きい。 最新の撮影技術や特殊効果が駆使され、前作以上に迫力を増した驚異的な映像となった。 シリーズ3作連続で作品賞ノミネート。第1作は4部門、第2作は2部門で受賞したが、いずれも作品賞は逃していた。 ジャクソン監督は受賞スピーチで「ファンタジーを認めてくれたアカデミー賞と、撮影を行った母国・ニュージーランド政府へお礼を言いたい」と感謝した。 【あらすじ】第1部で始まった、異なる種族から集まった9人の仲間の旅は、第2部(二つの塔)で世界の運命を担う戦いへと導かれた。そして第3部ではついに、主人公フロド(イライジャ・ウッド)が指輪を葬り去る時がやってきた。そのフロドを見守り続けるサム(ショーン・アスティン)をはじめ、指輪の力に心をむしばまれていくフロドを勇気付ける仲間たち。その姿に見る、真の強さとは…。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
2003 | 「シカゴ」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ロブ・マーシャル 傑作ミュージカル。1920年代のシカゴで、愛人を殺したスターの卵(レネー・ゼルウィガー)が、スキャンダルを逆手に取ってのし上がる。キャサリン・ゼタ・ジョーンズが助演女優賞を受賞した。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
2002 | 「ビューティフル・マインド」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ロン・ハワード ノーベル賞学者が陥った悲劇をもとに描くヒューマンドラマ。13部門ノミネートのファンタジー大作「ロード・オブ・ザ・リング」をおさえ、堂々の受賞。 主人公は天才数学者。幻覚症状を抱える。前年に「グラディエーター」で主演男優賞を獲得したラッセル・クロウが主演。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
2001 | 「グラディエーター」
![]() 【配信:アマゾン 監督:リドリー・スコット 西暦180年の古代ローマ帝国が舞台。皇帝に家族を殺され、奴隷の身として流刑された元将軍の復讐劇。「ベンハー」「スパルタカス」を彷彿とさせる一大スペクタクルで、スケール感があふれる。 撮影のために巨大なコロシアムを建設。その中で繰り広げられる生死をかけた生身の男の闘いは、CGに頼らない映画の醍醐味を感じさせる。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
2000 | 「アメリカン・ビューティー」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:サム・メンデス 一般人たちの日常を題材にしながらも、斬新で独創的な一作。シニカルなコメディ。ありふれた中流家庭の崩壊をブラックユーモアを交えて描き、現代アメリカ社会を浮き彫りにした。作品賞のほか、監督賞、主演男優賞など最多5部門を制した。 サム・メンデス監督のデビュー作。英国出身のメンデス監督は舞台演出家として活躍していたが、巨匠スティーブン・スピルバーグ監督らのサポートや助言を受けて、本作を作りあげた。撮影前に脚本を読んだスピルバーグ監督は「一切リライトせず、この脚本通りに映画にするように」とアドバイスしたという。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
2020年代 | 2010年代 | 2000年代 | 1990年代 | 1980年代 | 1970年代 | 1960年代 | 1950年代 | 1940年代 | 1930年代 | 1920年代 | 2025年の全部門(特集ページ)→ | 2024年の全部門→ | ページの先頭↑ | トップページ→
| 1999 | 1998 | 1997 | 1996 | 1995 | 1994 | 1993 | 1992 | 1991 | 1990 |
作品賞 | ||
---|---|---|
年 | 受賞作品 | ノミネート |
1999 | 「恋におちたシェイクスピア」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ジョン・マッデン スランプに陥った作家シェイクスピアが、男装して接近してきた娘と熱愛し、新境地を開拓するというコミカルなラブストーリー。 男性しか舞台に立てなかった時代に、富豪の娘が男装をして役者になるという独創的な物語になっている。 日本の女性たちからも絶大な支持を得た。 事前予想では、作品賞は「プライベート・ライアン」との声が多かった。PGA(全米プロデューサー組合賞)やクリティクス・チョイス賞などの主要な前哨戦でも、プライベート・ライアンが連勝していた。 しかし、超有力プロデューサーだったハーベイ・ワインスタイン率いる配給会社ミラマックスの大規模なキャンペーンの末、恋におちたシェイクスピアがオスカーの最高峰を勝ち取った。さらに、グウィネス・パルトロウの主演女優賞に、英国の演技派ジュディ・デンチが助演女優賞に輝くなど、計7部門を制した。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1998 | 「タイタニック」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ジェームズ・キャメロン ロマンチックな大叙事詩。 作品賞、監督賞など11部門を制し、「ベン・ハー」に並ぶ最多賞記録を作った。 1912年に沈没した豪華客船タイタニック号を舞台に、ラブストーリーを描く超大作。 実話の事故と、フィクションの恋物語を組み合わせた。 日本でも絶大な支持を獲得。とりわけ1990年代を生きた大勢の女性たちにとって「永遠の名作」として心に刻まれている。 世界の興行記録を塗り替え、日本でも配給収入や観客動員数の新記録を樹立した。 レオナルド・ディカプリオが絶大な人気を博し、「レオ様」として崇められた。 ジェームズ・キャメロン監督はそれまで、 「ターミネーター1、2」「エイリアン2」といった傑作SFアクション映画を手掛けてきた。 完璧主義で知られるキャメロン監督は本作で、実物大のタイタニック号を建造してしまった。 製作費が膨れ上がり、ハリウッドの製作会社も逃げ出しそうになったが、監督は自宅を抵当に入れてまで、自分のこだわりを貫いた。 最新技術を駆使したスペクタクル映像。 セリーヌ・ディオンが歌うテーマ曲。 そして何より、ロマンチックで悲しい恋物語に、観客は酔いしれた。 タイタニック号の金庫に保管されていた1枚の女性の絵。モデルだった老女が当時の様子を語り始める。 17歳のローズ(ケイト・ウィンスレット)は、親の決めた結婚が嫌で船から投身自殺を図る。だが、画家志望のジャック(レオナルド・ディカプリオ)に助けられ、恋に落ちるが……。 2023年に3Dリマスター版が劇場公開され、満席が続出した。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1997 | 「イングリッシュ・ペイシェント」
![]() 【配信:アマゾン 監督:アンソニー・ミンゲラ 作品賞、監督賞など9部門で受賞した。 第二次世界大戦下を舞台に、砂漠で出会ったハンガリー人の探検家とイギリス人の人妻との悲恋が過去と現在を巧みに交差させて描かれる。 大戦の末期に飛行機事故で大やけどを負った探検家(レイフ・ファインズ)は、イタリアの野戦病院に運ばれてくる。 看護婦(ジュリエット・ビノシュ)の献身的な看病で男は断片的に記憶を取り戻していく。 自分はハンガリーの伯爵で、砂漠で会った英国人の人妻(クリスティン・スコット=トーマス)と激しい恋に落ちたこと、そして…。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1996 | 「ブレイブハート」
![]() 【配信:アマゾン 監督:メル・ギブソン イングランドの侵略に立ち向かったスコットランドの英雄ウィリアム・ウォレスの生涯を描いた壮大なスペクタクル史劇。 メル・ギブソンの監督2作目。 アメリカでも日本でも初公開時は大ヒットにいたらなかったが、正攻法の演出が高く評価された。 下馬評では「アポロ13」が有力と予想されていた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1995 | 「フォレスト・ガンプ/一期一会」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ロバート・ゼメキス 第二次世界大戦後のベイビー・ブームの真っ只中に生まれたフォレスト・ガンプが主人公。 知的障害をものともせず、アメフト選手として活躍。 ベトナム戦争従軍後は、卓球全米チームのメンバーに。 実業界としても大成功し、億万長者になった。 ロックンロールの1950年代、ヒッピーの1960年代、ベトナム戦争の1970年代と、 アメリカの戦後をたくましく生き抜くガンプ。 苦しいときも優しい心を大切にして純粋に生きる姿が感動を呼んだ。 ガンプ役のトム・ハンクスは、2年連続で主演男優賞を受賞した。 この年の作品賞ノミネートは、強豪ぞろいだった。 「ショーシャンクの空に」「パルプ・フィクション」という映画史に残る傑作が名をつらねた。 ただ、フォレスト・ガンプは、ハリウッド歴代4位にあたる3億1700万ドル(約285億円)を稼ぎ出し、一大センセーションを巻き起こしていた。前哨戦でも圧勝しており、作品賞はおおむね確実視されていた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1994 | 「シンドラーのリスト」
![]() 【配信:アマゾン 監督:スティーブン・スピルバーグ 第二次世界大戦下、ナチスドイツに占領されたポーランドが舞台。 強制収容所に連行されたユダヤ人の命を救った実在の事業家シンドラーを描いた。 救われた人数は1100人以上と言われる。 自身がユダヤ系であるスティーブン・スピルバーグ監督が構想に10年以上を費やして映画化した。 スピルバーグ監督は1975年に「ジョーズ」で大成功。 以来、「未知との遭遇」「レイダース」「E・T」「インディ・ジョーンズ」など、記録破りのヒット性とクオリティーを兼ねた名作を次々に生んできた。 しかし、その功績・実力に外部の評価が追い付かず、オスカー受賞を逃してきた。 8年前にも、「カラーパープル」が11部門でノミネートされたが、受賞ゼロに終わった。 本作でついに作品賞や監督賞を獲得した。 3時間15分もあるが、長さを感じさせない。 白黒作品の作品賞は、「アパートの鍵貸します」以来、33年ぶりだった。 <受賞スピーチ▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1993 | 「許されざる者」
![]() 【配信:アマゾン 監督:クリント・イーストウッド 重厚な西部劇。イーストウッドが、監督、主演、プロデューサーを務めた。初のオスカー受賞(作品賞、監督賞)となった。 老いて農夫となった元ならず者のマニーが、若いカウボーイから賞金稼ぎの話を持ちかけられ、かつての相棒ネッドと共に三人で無法者を追う。町の治安を守るために必死になる保安官と老いたガンマンとの決闘を描いた。 イーストウッドはこの栄誉に安住することなく、2000年代、2010年代にも傑作映画を撮り続けた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1992 | 「羊たちの沈黙」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ジョナサン・デミ 「スリラー映画はアカデミー賞で勝てない」というジンクスを久しぶりに打ち破った。 主要5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞)を独占。 「或る夜の出来事」(1935年)、「カッコーの巣の上で」(1975年)に次いで、アカデミー史上3作目の快挙だった。 ゴールデングローブ賞の作品賞(ドラマ部門)を獲得していた強敵候補「バグジー」に完勝した。 米国で公開されたのは、授賞式の約1年前の1991年2月。 早期に公開された作品は、印象が薄くなって不利になるというのが常識だった。 原作はトマス・ハリスのベストセラー小説。 女性FBI捜査官訓練生クラリスは、元精神科医でレクターを獄中に訪ね、異常連続殺人事件の犯人像のヒントを得ようとする。 殺人鬼レクターを演じたアンソニー・ホプキンスは、出演時間が20分以下なのに、助演でなく主演男優賞を受賞した。ジョディ・フォスターは2度目の主演女優賞を受賞。 また、「美女と野獣」がアニメ映画として史上初めて作品賞にノミネートされた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1991 | 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ケビン・コスナー 白人の北軍将校と、ネイティブ・アメリカン(先住民)スー族との交流を描いた一大叙事詩。 西部劇が作品賞を受賞したのは「シマロン」以来じつに60年ぶり。ケビン・コスナーは初監督にして監督賞受賞。レッドフォードやビーティのように俳優としてよりも先に監督賞のオスカーを手に入れた。長さ約3時間。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1990 | 「ドライビングMissデイジー」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ブルース・ベレスフォード 意地っぱりな南部の老未亡人と、おかかえ運転手が、白人と黒人、主人と使用人、男と女の枠を越えて、しだいに心を通わせていく。 南部の黒人差別の実態を、さりげなく物語に織りこんだ。 監督賞にノミネートされず作品賞を受賞した初めての例となった。 ジェシカ・タンディは史上最年長80歳にして主演女優賞を受賞。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
| 1989 | 1988 | 1987 | 1986 | 1985 | 1984 | 1983 | 1982 | 1981 | 1980 |
作品賞 | ||
---|---|---|
年 | 受賞作品 | ノミネート |
1989 | 「レインマン」
![]() 【配信:アマゾン 監督:バリー・レヴィンソン 心温まる物語。ロードムービー。自閉症で40年以上も入院していた兄と、ずっと疎遠だった弟が主人公。弟は金儲けしか頭にない人物。自閉症という硬派のテーマに正面から取り組んだ。 兄弟は遺産相続の手続きをするため、米中西部シンシナティから西海岸ロサンゼルスへと長い旅をする。 兄レイモンドに扮したダスティン・ホフマンが主演男優賞に輝いた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 動画配信(U-NEXT)→ ![]() 説明ページ→ |
|
1988 | 「ラスト・エンペラー」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ベルナルド・ベルトルッチ 英、伊、中国合作映画。作品賞のほか、監督、撮影、作曲など計9冠に輝いた。ノミネートされた9部門で全勝。このうち作曲賞では、テーマ曲を制作した坂本龍一氏が受賞者となった。 わずか3歳にして清朝最後の皇帝に任命された薄儀は、王朝崩壊以降も、大陸に侵略した日本軍によって満州国の傀儡皇帝として利用され、戦後は収容所生活を送る。 ベルトルッチ監督は、紫禁城に幽閉された男の物語というユニークな視点から彼の生涯を捉え、従来の大作とは一線を画した。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(U-NEXT)→ ![]() 説明ページ→ |
|
1987 | 「プラトーン」
![]() 【配信:アマゾン 監督:オリバー・ストーン ベトナム戦争に参戦したストーン監督が自己の体験を映画化した作品。最前線の兵士たちが極限状態の中でいかに理性を失っていくかをリアルに描いた。監督賞も受賞した。 受賞スピーチでストーン監督は「重要なことは真実を掘り出すこと。人はすでにベトナム戦争の真実と記憶を忘れ始めており、私はこれを掘り起こしたかった」と語った。 【物語】名門大学を中退してベトナム行きを志願し、最前線の戦闘小隊に配属された兵士が苛酷な戦場で見たものは、想像を上回る現実だった。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1986 | 「愛と哀しみの果て」
![]() 【配信:アマゾン 監督:シドニー・ポラック コーヒー園を経営するヒロインの恋と自立を描いた大河メロドラマ。 アフリカに魅せられたデンマークの女流作家アイザック・ディネーセンの自伝「アフリカの日々」に基づいている。 原作の出版は1937年。 オーソン・ウェルズら大物映画人が映画化を試みたが、あまりに叙事詩的過ぎて実現しなかった。 この難関に、 「ひとりぽっちの青春」「トッツィー」で2度オスカー監督賞にノミネートされたシドニー・ポラック監督が挑戦。大成功させた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1985 | 「アマデウス」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ミロス・フォアマン 35歳の若さで死んだ音楽家モーツァルトと、彼に嫉妬する宮廷作曲家サリエリの物語。天才と凡人の確執劇を、大胆に映画化した。 モーツァルトの数々の名曲をバックに、サリエリの独白という形でストーリーが展開。 「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」「魔笛」「レクイエム」などの名曲誕生の過程も描いた。 サリエリ役のF・マーリー・エイブラハム、モーツァルト役のトム・ハルスはいずれも無名の俳優だった。2人そろって主演男優賞にノミネートされ、サリエリ役のエイブラハムが受賞した。 ミロス・フォアマン監督は、「カッコーの巣の上で」に続いて2度目の作品賞受賞となった(同じく監督賞も2度目の受賞)。 撮影は、フォアマン監督の故郷でもあるチェコの古都プラハで行われた。舞台となる18世紀のウィーンを再現。本物の美術品や建造物も映像に収められた。 【物語】18世紀後半、オーストリアの宮廷に仕える作曲家サリエリの前に、青年モーツァルトが出現。 モーツァルトは軽薄ながら、天才的な作曲の才能が備わっていた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1984 | 「愛と追憶の日々」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ジェームズ・L・ブルックス 姉妹のように仲の良い母娘オーロラとエマの強い絆を描いた愛と感動のドラマ。主要部門だけで5冠に輝いた。 ジェームズ・L・ブルックス監督は当時43歳。テレビの脚本家として活躍したあと映画に参入し、本作で初めて映画監督に挑んだ。脚本(脚色)も自ら手掛けた。 母親役と娘役の2人が主演女優賞にノミネートされ、母役のシャーリー・マクレーンが初受賞した。 元・宇宙飛行士役で助演男優賞を受賞したジャック・ニコルソンの怪演も話題になった。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1983 | 「ガンジー」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:リチャード・アッテンボロー 非暴力主義を貫き、祖国インドを独立に導いたガンジーの生涯を壮大なスケールで描いた。「無抵抗・非服従」を通して人民の尊敬を一心に集めた偉人。 8部門を受賞。 主演男優賞を獲得したガンジー役のペン・キングズレーは映画デビュー作だった。本物とそっくりぶりが話題となった。 前年の「炎のランナー」に続いて、イギリス映画の作品賞となった。英国映画の作品賞は8度目。 対抗馬のSFファンタジー「E.T.」は興行収入の記録を塗り替える大ヒットを記録。世論の熱烈な支持を受けていた。しかし、大人の風格を好むアカデミー会員の総意には至らず、作品賞、監督賞、脚本賞を逃した。それでも技術部門で4つのオスカー(編集、作曲、視覚効果、音響効果)に輝いた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1982 |
「炎のランナー」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ヒュー・ハドソン 斬新な語り口のスポーツ映画、青春映画。感動もの。 2人の陸上選手の人生が交錯する。1924年パリ五輪出場を目指すユダヤ人青年と、キリスト教の聖職者の息子。 走る目的こそ違うが、あくまでもベストをつくす若者たちの姿を、新鋭ヒュー・ハドソン監督がドキュメント・タッチで描いた。 対抗馬の「レッズ」は12部門ノミネート、「黄昏」は9部門ノミネート。作品賞はこの2作の一騎打ちと予想されていた。ところが、7部門ノミネートの炎のランナーが作品賞をさらった。 プロデューサーは、敏腕デビッド・パットナム(英国人)。当時41歳。「小さな恋のメロディ」「ミッドナイト・エクスプレス」で既に大成功していたが、本作が代表作になった。この後も「キリング・フィールド 」「ミッション」などのオスカー関連作品を手掛けた。 <受賞スピーチ▼> 説明ページ→ 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ |
|
1981 | 「普通の人々」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ロバート・レッド・フォード 大スター俳優レッドフォードの監督デビュー作。アメリカの中流家庭の危機をテーマにしたシリアスなドラマ。 4人家庭の長男が事故死する。その兄の死に負い目を感じる弟、家族に冷たく接する母親、息子を心配する父親。家族関係が崩れていく。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1980 | 「クレイマー・クレイマー」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ロバート・ベントン 時代の風潮を巧みにとらえた家庭ドラマ。アメリカで急増し、社会現象化した「離婚」が題材。 子供の養育権をめぐる争いを描いた。 女性の自立に目覚めた妻に家出され、7歳の子供の世話と家事に振り回されることになった夫が奮闘する。 <受賞スピーチ(監督賞と作品賞)▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
2020年代 | 2010年代 | 2000年代 | 1990年代 | 1980年代 | 1970年代 | 1960年代 | 1950年代 | 1940年代 | 1930年代 | 1920年代 | 2025年の全部門(特集ページ)→ | 2024年の全部門→ | ページの先頭↑ | トップページ→
| 1979 | 1978 | 1977 | 1976 | 1975 | 1974 | 1973 | 1972 | 1971 | 1970 |
作品賞 | ||
---|---|---|
年 | 受賞作品 | ノミネート |
1979 | 「ディア・ハンター」
![]() 【配信:アマゾン 監督:マイクル・チミノ 戦争の狂気を容赦なく暴いた。3時間余の大作。 米ペンシルベニアの鉄工所で働く3人の若者たちが、ベトナム戦争に徴兵される。故郷での幸せな日々から一転、ベトナム戦争での恐ろしい体験を経て心を病んでいく若者たちの姿を描く。哀愁に満ちた叙事詩でもある。 ベトナム戦争の終結から3年後に公開された。同じく作品賞ノミネート「帰郷」、翌年の作品賞ノミネート「地獄の黙示録」(フランシス・コッポラ監督)とともに、本格的なベトナム戦争映画のパイオニアとなった。 1970年代のハリウッドで流行した「男たちのメロドラマ」(バディ・フィルム)の究極とも評された。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1978 | 「アニー・ホール」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ウディ・アレン 恋愛コメディ映画。際どいジョークやウイットに富んだ会話が魅力。アレン監督が主演も務めた。 作品賞のほか、監督、主演女優(ダイアン・キートン)、脚本を獲り、主要4部門を制した。 ニューヨークのユダヤ系コメディアンが主人公。アレン監督の分身のようなキャラクターだ。女優の卵で歌手を志すアニー・ホール(ダイアン・キートン)と出会い、同棲を始める。だが、うまくいかない。 アレン監督は1935年ニューヨーク生まれ。コメディアンから俳優となり、1960年代末から監督も務める。本作の公開当時42歳だった。他の代表作は「ハンナとその姉妹」「カイロの紫のバラ」など。 当時、アレン監督と主演ダイアン・キートンは私生活でも恋愛関係にあった。その後、アレンは女優ミア・ファローと恋愛関係となり、ローナン・ファローらの子供をもうけた。しかし、関係が破綻し、ファローとの間の養女だったスン・イーと1996年に結婚した。 この年は、革新的なSF映画の名作「スター・ウォーズ」も作品賞にノミネートされた。多くの映画ファンが応援したが、大人向けのアニー・ホールに軍配が上がった。それでもスター・ウォーズは7部門の最多勝利を収めた。 <予告編▼> U-NEXT→ ![]() 説明ページ→ |
|
1977 | 「ロッキー」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ジョン・G・アビルドセン アメリカン・ドリ一ム的な映画が、アメリカ建国200年の年のオスカーを制した。 落ち目のボクサーの挑戦を描くボクシング映画。 4回戦ボーイのボクサーが世界チャンピオンと対戦することになり、人生をかけてリングに上がる。 無名の俳優だったシルベスター・スタローンが、脚本を書き、映画会社に売り込んだ。映画会社は、有名な俳優を主演に起用することを望んだが、スタローンは自分が主演するという点を譲らなかった。 スタローンは公開当時30歳。製作費は100万ドルという低予算だったが、興行収入はその20倍以上の2億2500万ドルにのぼった。映画の成功物語が、そのままアメリカン・ドリ一ムの体現となった。 この年のオスカーは豊作だった。作品賞ノミネートの「大統領の陰謀」「タクシードライバー」「ネットワーク」はいずれも歴史的な名作として高い評価を得ている。 <予告編▼> <テーマ曲▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1976 | 「カッコーの巣の上で」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ミロス・フォアマン 架空の精神病院を舞台に、管理社会の人間抑圧と支配、そしてそれに対する抵抗を描いた。 原作はケン・キージー(1935~2001年)の同名の小説。1962年に発表され、若者たちの支持を得てベストセラーになった。 ブロードウェー公演で主演した俳優のカーク・ダグラスが映画化権を獲得したが、精神病院を舞台にした映画会社が二の足を踏み、プロジェクトが難航した。権利を譲り受けた息子の俳優マイケル・ダグラスが、共同製作者になり、原作発表から13年後に映画が完成した。 ミロス・フォアマン監督は旧チェコスロバキア出身。ソ連(現ロシア)による強権支配を嫌い、アメリカに移住した。 ジャック・ニコルソンと冷酷な看護師長を演じたルイーズ・フレッチャーが、ともに主演賞を受賞。監督賞と脚色賞も獲り、主要5部門を独占した。1935年の「或る夜の出来事」以来、41年ぶりの快挙。 ノミネート作品も個性豊かな顔ぶれだった。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1975 | 「ゴッドファーザーPARTⅡ」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:フランシス・フォード・コッポラ 前作「ゴッドファーザー」の続編。2年前のオスカーで圧勝したばかりの前作に続いて作品賞に輝いた。 続編の映画が作品賞を獲るのは初めてだった。この後も、「ロード・オブ・ザ・リング3(王の帰還)」しかない。 また、元の映画と続編の両方が作品賞になった例は、これ以降も存在しない。 前作から3年後の公開となった。前作の主人公(父親)の青年時代(ロバート・デ・ニーロ)と、その息子(アル・パチーノ)の人生を描く。すなわち前作の「前日譚(たん)」と「後日譚」を兼ねている。 前作を上回る一大叙事詩として高く評価された。 16年後に続編「パート3」が製作され、こちらも作品賞、監督賞にノミネートされたが、受賞は逸した。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1974 | 「スティング」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ジョージ・ロイ・ヒル 詐欺師たちの痛快なゲーム劇。ひねりの効いたストーリー展開が称賛された。悪党から金を奪うため、チンピラたちが次々と繰り出すアイデアも見どころ。大衆的な娯楽性と作家性の両立が素晴らしい。 「明日に向かって撃て!」で1970年作品賞にノミネートされたロイ・ヒルが監督を務めた。明日に向かって撃て!と同じく、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの黄金俳優コンビを起用した。 ファッション、セット、音楽など、あらゆる要素がスタイリッシュでおしゃれ。テーマ曲「エンターテイナー」も有名。 傑出した興行的成功を収めた。インフレ率などを加味した実質的な興行収入ランキングは、歴代の作品賞映画の中で、「風と共に去りぬ」「サウンド・オブ・ミュージック」「タイタニック」「ベン・ハー」に次いで堂々の4位。 【物語】1936年のシカゴが舞台。ギャングのボスに仲間を殺された詐欺師フッカー(ロバート・レッドフォード)は報復を決意。伝説の賭博師ゴンドーフ(ポール・ニューマン)の助けを借り、大掛かりないかさまに引きずり込んでいく…。 <予告編▼> <テーマ曲▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1973 | 「ゴッドファーザー」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:フランシス・フォード・コッポラ 濃密な人間ドラマ。マフィア一族の凄絶な抗争と家族の絆を描いた。 コッポラ監督は公開当時32歳。3作ほどの映画で監督を務めたが、どれ一つとしてヒットしていなかった。 しかし、本作ではイタリア系米国人ならではの濃密な家族愛、憎しみの振幅や、後の世代の恋愛、父権、贖罪(しょくざい)意識などを通して、壮大かつ上質な叙情詩に仕上げた。 公開当初は暴力、惨殺シーンが批判を浴びた。その後の暴力映画に比べれば、おとなしいものだが、当時は大きな衝撃だった。 原作は、マリオ・プーゾーの小説。2000万部を超える大ベストセラーとなった。 マーロン・ブランドが主演男優賞。コッポラ個人も監督賞こそ逸したが、脚色賞を獲得した。 哀愁漂うニーノ・ロータ作曲のテーマ曲も人気を集め、一大流行現象になった。 <予告編▼> <テーマ曲▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 吹替版(Amazon)→ 説明ページ→ |
|
1972 | 「フレンチ・コネクション」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ウイリアム・フリードキン ※刑事アクション映画。手に汗握る緊迫感にあふれる秀作。すさまじいカーチェイスのシーンが有名。 作品賞に加えて、監督賞(ウィリアム・フリードキン)、主演男優賞(ジーン・ハックマン)など計5部門を受賞した。 1961年にニューヨークで実際に起きた史上最大の麻薬密輸事件を題材にした。映像がリアル。時間の流れもリアル。意外性のある展開で飽きさせない。ドキュメンタリー的な撮影・編集が見どころ。移動撮影も絶賛された。犯罪都市の一面を見事にえぐり出した。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ |
|
1971 | 「パットン大戦車軍団」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:フランクリン・J・シャフナー 戦争スペクタクル。第二次世界大戦の米国の英雄パットン将軍の伝記。 偏屈で激情家ながら、優れた戦略家として活躍した人物の人生をダイナミックに描いた。 若き日のコッポラが脚本に参加し、脚本賞を受賞した。本物の戦車や多数のエキストラを動員して撮った大ロケーションは迫力満点。 主演のジョージ・C・スコットは、ノミネートの段階から拒否していたが、それでも主演男優賞を受賞し、辞退して大きな話題になった。 【物語】第二次世界大戦中の1943年の北アフリカ・チュニジア。米軍は独軍との初戦に完敗し、新たな司令官に激情型のパットンを送り込む。パットンは副官に冷静沈着なブラッドリー将軍(カール・マルデン)を採用し、エル・ゲッターの戦い、シチリア島攻略で戦果をあげた。だが、ノイローゼの兵士を殴り、欧州上陸を前に司令官を解任される。その後、再び前線へと戻ったパットンは、破竹の勢いでベルリンを目指した。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1970 | 「真夜中のカーボーイ」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ジョン・シュレシンジャー 辛ロの青春ドラマ。勧善懲悪や大団円(ハッピーエンド)の伝統的映画とは一線を画す「アメリカン・ニューシネマ」の代表作。 カウボーイと詐欺師の2人の男が、都会からはじき出されていく様が、暗いトーンで語られる。 明るいタッチの有力作「明日に向って撃て!」をおさえた。 主演のジョン・ボイド、ダスティン・ホフマンのアンチヒーローぶりも見どころ。ニルソンの主題歌「うわさの男」もヒットした 【物語】テキサスの田舎町のカウボーイ青年ジョーは、「都会で金持ちの女たちに食わせてもらう」という夢を抱き、ニューヨークへやってくる。しかし、苦い現実に直面する。路上に立って同性愛者たちに身を売る“真夜中のカウボーイ”にまで転落してしまう。そんなとき、肺を病み、足の不自由なラッツォが手を差しのべる。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ |
|
| 1969 | 1968 | 1967 | 1966 | 1965 | 1964 | 1963 | 1962 | 1961 | 1960 |
作品賞 | ||
---|---|---|
年 | 受賞作品 | ノミネート |
1969 | 「オリバー!」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:キャロル・リード ミュージカル。英国と米国の合作。 孤児院を飛び出し、幸せをつかもうとする少年オリバーの冒険。 「第三の男」「落ちた偶像」で監督賞にノミネートされた英国出身の巨匠キャロル・リード監督にとって、初めてミュージカル。 ディケンズの古典『オリバー・ツイスト』を、巧みな映像と演出で新鮮なミュージカルに仕上げた。 「最後の華麗なミュージカル映画」と呼ばれた。1960年代の映画界では、「サウンド・オブ・ミュージック」「ウエスト・サイド物語」「マイ・フェア・レディ」の大成功に象徴されるように、ミュージカルの大作が多く撮られた。しかし、1960年代末になると、その商業的な失敗作が相次ぎ、衰退が始まった。実際、本作オリバー!を最後に、2003年の「シカゴ」までミュージカルが作品賞を獲ることはなかった。 例年に比べて、やや低レベルの争いだったと評されている。 <挿入歌「Where Is Love?」▼> <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1968 | 「夜の大捜査線」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ノーマン・ジュイソン 良質の犯罪捜査ミステリーであるとともに、人種差別の実像を描く社会派ドラマ。 黒人刑事が、米国南部ミシシッピ州で差別と闘いながら殺人事件を解決しようとする。 シドニー・ボアチエふんする理知的な黒人刑事と、ロッド・スタイガー演じる粗野な白人警官が主人公。殺人捜査の過程で人種偏見の壁を越えて協調する。 ロッド・スタイガーが主演男優賞を受賞した。しかし、シドニー・ポワチエは、ノミネートもされなかった。 ポワチエは、4年前に「野のユリ」で黒人男優として初めてオスカー主演男優賞を獲得。この作品での風格ある演技で、大スターの地位を不動のものとした。 やはりポワチエ主演で人種差別問題を扱った「招かれざる客」も作品賞にノミネートされた。この年のポワチエはさらに「いつも心に太陽を」でも主演として好演を見せており、票が割れたと言われている。 ジュイソン監督は「シンシナティ・キッド」「屋根の上のバイオリン弾き」「月の輝く夜に」「ザ・ハリケーン」などの名匠。 <予告編▼> Amazon(Blu-ray)→ 説明ページ→ |
|
1967 | 「わが命つきるとも」
![]() 【配信:アマゾン 監督:フレッド・ジンネマン 重厚で格調高い歴史劇。16世紀イギリスの思想家トーマス・モアを描く。絶対権力者の国王ヘンリー8世に屈せず、信念を貫いたモアの人物像に焦点を当てた。 ジンネマン監督は、「地上(ここ)より永遠(とわ)に」(1953年)に続く作品賞&監督賞となった。 英国の舞台劇の映画化。モア役で主演男優賞を受賞したポール・スコフィールドは、根っからの舞台人であり、映画界では無名に近い存在だった。イギリス演劇界の底力を見せつけた。 夫婦喧嘩劇「バージニア・ウルフなんかこわくない」が本命視されていたが、オーソドックスな歴史劇に軍配が上がった。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1966 | 「サウンド・オブ・ミュージック」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ロバート・ワイズ ミュージカル映画の最高傑作の一つ。「ドレミの歌」「エーデルワイス」などおなじみの曲がいっぱい。家族向け映画の最高峰。 「ウエスト・サイド物語」でミュージカル映画に新風を吹き込んだワイズ監督が、再び一大巨編をつくりあげた。 第2次大戦前夜のオーストリアが舞台。ナチス・ドイツの魔手を逃れ、トラップー家の7人の子供たちを連れてスイスに脱出した家庭教師マリアの物語。子供たちに歌を教える。 1956年にもドイツで映画化されたが、本作は、ロジャース&ハ一マスタインの名コンビによるブロードウェイ・ミュージカル化の映画版。 アルプスでの壮大なロケも見どころ。 <ドレミの歌▼> <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1965 | 「マイ・フェア・レディ」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ジョージ・キューカー ミュージカル大作。シンデレラ・ストーリーの代表的な映画として語り継がれている。豪華絢爛(けんらん)で楽しい。 オードリー・ヘプバーン演じる貧しい花売り娘が主人公。ロンドンの下町なまりを言語学者の指導で上品な英語に直し、貴婦人(フェア・レディ)に変身する。 アラン・ジェイ・ラーナーが脚本と作詞を、フレデリック・ロウが作曲を担当した。「運が良けりゃ」「踊り明かそう」など数々の名曲に彩られる。競馬場や舞踏会などのセットも称賛された。 英国の作家バーナード・ショーの戯曲「ピグマリオン」を基にした米ブロードウェーの舞台劇を、ハリウッドが映画化した。 巨額の資金で映画化権を獲得したワーナーブラザース社は、舞台でイライザ役だったジュリー・アンドリュースではなく、ヘプバーンを起用した。 ヘプバーンならではの美しさに、観客は魅了された。 <挿入歌「一晩中踊れたら」▼> <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1964 | 「トム・ジョーンズの華麗な冒険」
![]() 監督:トニー・リチャードソン 恋と冒険の人生喜劇 愛妻物語。自由奔放で義侠心あふれるトム・ジョーンズの恋の遍歴を描いた。 18世紀が舞台。大地主の邸宅に棄てられた男の子がトム・ジョーンズと名付けられ、養子として育てられる。 リチャードソン監督は、1960年代イギリス映画界の「フリー・シネマ」(怒れる若者たち)の代表的な存在だった。 歯切れのいいカッティングが心地好い。 2年連続でイギリス映画が作品賞をとった。原題は「Tom Jones」。 <予告編▼> Amazon(DVD)→ 説明ページ→ |
|
1963 | 「アラビアのロレンス」
![]() 【配信:アマゾン 監督:デヴィッド・リーン だれもが認める傑作。70ミリ映画が到達した究極の芸術作品として評価されている。「奇跡の映画」(スティーブン・スピルバーグ監督)とも呼ばれる。オスカー作品賞の歴代ランキング上位の常連。 英国映画。アラブの人たちから英雄とうたわれたイギリス人の波乱の半生を、大画面に描写した。第一次大戦下のアラビアを舞台に、将校ロレンスがアラブ民族統一のために奔走する。アラブとイギリスの間で板挟みとなる理想主義者の苦悩と挫折が描かれる。歴史物語としてだけでなく、人間ドラマとしても秀逸。 砂漠を捉えた神秘的な映像美と演出が絶賛された。主役ピーター・オトゥールなどの演技陣も圧巻。音楽も見事。 リーン監督に2度目の監督賞が与えられ、撮影賞、美術・装置賞など7部門で受賞した。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1962 | 「ウエスト・サイド物語」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス ミュージカル映画の最高傑作の一つ。 『ロミオとジュリエット』をニューヨークに置き換え、大胆にアレンジした。 下町の若者群像を活写。ハリウッドに新しい息吹を吹き込んだ。 大都会で人種的対立をする若者たちというテーマは、今なお古びることのない今日的なテーマ。 2021年に名匠スピルバーグ監督によって再び映画化された。 日本の若者たちにも絶大な影響を与えた。この映画を見て、ミュージカルの道を目指した人も多い。 「トゥナイト」や「アメリカ」などの歌は日本でも大ヒットした。最初の日本公開時は、銀座の映画館で1年以上の記録的なロングランとなった。 1960年代はミュージカル映画の黄金期だった。1970年代に入ると映画は特撮やCGの時代へ突入した。進化したリアリズムに、ファンタジーを描くミュージカルが合わなくなり、制作数も激減した。 しかし、1990年代から2000年代にかけて「エビータ」「シカゴ」「ムーランルージュ」などが大ヒットし、復調した。 <挿入歌「アメリカ」▼> <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1961 | 「アパートの鍵貸します」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ビリー・ワイルダー サラリーマン・コメディ。昇進を目的に自分の部屋を上司の浮気用に貸し出すサラリーマンの、悲哀とおかしさを描いた。 ビリー・ワイルダー監督は、2度目の監督賞を受賞。プロデューサーとして作品賞、共同執筆者として脚本賞も獲り、計3つのオスカーを授与された。 <予告編▼> Amazon(Blu-ray)→ 説明ページ→ |
|
1960 | 「ベン・ハー」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ウィリアム・ワイラー 史上最強のスペクタクル映画。 オスカー史上最多の11部門の受賞という金字塔を打ち立てた。現在も「タイタニック」「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」と共に最多記録を保持している。 ワイラー監督は3度目の監督賞。そのほか、主演男優賞(チャールトン・ヘストン)、助演男優賞も獲っており、技術部門にとどまらない勝ちぶりも見事。 古代ローマが舞台。ローマ帝国に支配されるユダヤ王族の若い当主ベン・ハー(架空の人物)の波乱に満ちた生涯を描いた。約3時間半の超大作。 ワイラー監督は、それまでのスケールだけ大きい史劇ではなく、カメラのフレームに収まるすべてに細心の注意を払い、リアリティーを出すことに成功した。 当時として史上最大の製作費が投じられており、全てがケタ違い。CGが発達していない時代であり、生身の人間がすべてをこなす。ロケによる撮影ならの生々しさと説得力は凄まじい。 とくに有名なのが、馬が牽引する「古代戦車」の競争シーン。主人公ベン・ハーが、復讐とプライドを懸けて宿敵メッサラと激突する。映画史上の不朽の一こまとして知られている。7.3ヘクタールの競技場は1年半かけて建設した。本番と練習用に戦車を18台つくった。動員したエキストラは延べ12万5000人。8分41秒のシーンのために、3カ月半の撮影を行った。 「グラディエーター」「スター・ウォーズ/エピソード1」などにも影響を与えた。 ベン・ハーと同時代に生きたイエス・キリストの受難劇とが、並行して描かれるのがポイント。一大宗教の誕生前夜の胎動が、観客に強烈な印象を残す。 【興行収入】米国の興行収入は1959年、1960年の2年連続で年間1位になった。 日本では1959年に7位、1960年は1位だった。 【あらすじ】ローマ帝国の支配下にあったユダヤの都エルサレム。この街の王族で若き大富豪のベン・ハーと、ローマ帝国の指揮官メッサラは幼なじみだった。しかし、権力欲に走ったメッサラによってベン・ハーは反逆罪のぬれぎぬを着せられ奴隷船に。母と妹まで投獄され、怒りに燃えたベン・ハーはメッサラに復讐を誓う。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
2020年代 | 2010年代 | 2000年代 | 1990年代 | 1980年代 | 1970年代 | 1960年代 | 1950年代 | 1940年代 | 1930年代 | 1920年代 | 2025年の全部門(特集ページ)→ | 2024年の全部門→ | ページの先頭↑ | トップページ→
| 1959 | 1958 | 1957 | 1956 | 1955 | 1954 | 1953 | 1952 | 1951 | 1950 |
作品賞 | ||
---|---|---|
年 | 受賞作品 | ノミネート |
1959 | 「恋の手ほどき」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ヴィンセント・ミネリ MGMミュージカル黄金期を築いた名製作者アーサー・フリード最後のミュージカル作品。生粋のパリジェンヌと金持ちの伊達男の恋を描いた。 10部門のオスカーを獲得した。この年は『手錠のままの脱獄』や『熱いトタン屋根の猫』など力作がそろい、乱戦模様だった。 <予告編▼> <タイトル曲「Gigi(ジジ)」▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1958 | 「戦場にかける橋」
![]() 【配信:アマゾン 監督:デビッド・リーン 『西部戦線異状なし』以来、27年ぶりに戦争映画が作品賞を受賞した。 監督賞、脚色賞、主演男優なども獲り、計7冠。このほか、日本人俳優の早川雪洲(せっしゅう)が助演男優賞にノミネートされた。 太平洋戦争中の日本軍による鉄道橋工事をめぐる物語。日本軍と、捕虜になったイギリス兵が反目しながら工事を進める。 【背景】戦時下の1942年、日本軍は東南アジアで415キロの鉄道建設を強行。タイ、ミャンマー国境を結ぶ「泰緬(たいめん)鉄道」である。 ジャングルの中、シンガポールなどから英、蘭、豪の捕虜6万5000人が連行され、タイ、インドネシア、マレー半島の30万の労働者とともに強制労働させられた。 酷使と伝染病などで連合軍捕虜1万2000人以上、アジア人労働者5万人以上が死亡したといわれる。「南京大虐殺」「バターン死の行進」と並んで日本軍3大蛮行といわれる。 作曲賞に輝いたテーマ曲「クワイ河のマーチ」も有名。 <予告編▼> <早川雪洲の出演シーン▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1957 | 「八十日間世界一周」
![]() 【配信:アマゾン 監督:マイケル・アンダーソン 大冒険コメディ映画。飛行機もない時代に「80日間で世界一周できる」と2万ポンドを賭けた英国紳士とお供の物語。 原作は、1873年の名作小説。プロデューサーの一人であるマイケル・トッドの名前が冠された「トッドAOシステム」という最先端の大画面スクリーンが採用された。上映時間約3時間で世界観光を体験してもらう、というコンセプトだった。「ワイド・スクリーン」の映画で初の作品賞となった。 40人を越える当時の大スターたちが競演した。ホセ・グレコのフラメンコ・ダンスや、闘牛士ルイス・ドミンゲンの至芸も登場。ファンサービスぶりが大喝采を浴びた。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1956 | 「マーティ」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:デルバート・マン 庶民の恋愛ドラマ。心理のニュアンスをユーモラスな味付けで浮かび上がらせた秀作。 テレビのドラマが原作。デルバート・マン監督もテレビ出身。テレビ業界の映画への進出を示す事例となった。 ニューヨークのブロンクスで肉屋を営むイタリア系男性マーティと、女性教師が主人公。2人の独身を通じて、等身大の人たちの生活を浮き彫りにする。 長さ90分。それまでの作品賞で最も短い映画となった。 映画会社はこの作品を税金対策の一環として赤字を出すつもりで制作したが、試写で大好評だったため、製作費を上回る宣伝費を投じて大々的に売り出した。 カンヌ国際映画祭の最高賞「パルムドール」も受賞した。 オスカー作品賞とカンヌ最高賞の両方を獲得するのは極めて珍しく、 この後は、2020年に韓国の「パラサイト 半地下の家族」が達成するまで例がなかった。 <予告編▼> Amazon(DVD)→ 説明ページ→ |
|
1955 | 「波止場」
![]() 【配信:アマゾン 監督:エリア・カザン マーロン・ブランド主演。 8部門で受賞。「風と共に去りぬ」「地上より永遠に」が持つ歴代最多記録(当時)に並んだ。 1950年代のアメリカ映画界を代表する傑作として評価されている。歴代オスカー作品賞のベスト投票ランキングでもトップ10に入ることが多い。 マーロン・ブランドは主演男優賞を獲得。4年連続でのノミネートにして、初の受賞となった。 波止場で働くボクサーくずれのテリーが、暴力で支配する顔役に兄を殺される。怒りに燃えた彼は、労働者を組織し顔役に立ち向かう。 カザン監督は赤狩りの時代、共産党員の仲間の名前を公表して映画監督の地位を確保し、批判を浴びた。 赤狩りは、米ソ冷戦下の1950年代、マッカーシー上院議員らが推し進めた共産主義者排斥運動。文化的影響の強いハリウッドの映画関係者にも疑いの目を向け、324人をリストアップしたブラックリストを作成。喜劇王チャーリー・チャプリンら映画人を次々と米映画界から追放した。 1952年4月、自身が共産党員だったカザンは「ハリウッドにおける共産主義者の破壊活動調査」のために開かれた連邦議会下院の非米活動委員会・聴聞会で「転向」を表明。さらに、かつての演劇仲間や映画関係者のうち自分が党員だったと信じる者8人の名前を挙げたのだった。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
|
1954 | 「地上(ここ)より永遠(とわ)に」
![]() 【配信:アマゾン 監督:フレッド・ジンネマン 「風と共に去りぬ」と並ぶ8冠のタイ記録を成し遂げた。 性、売春、不倫、軍の腐敗など、当時のアメリカ映画ではタブーとされていたテーマを恐れずに描いた。 ハリウッドがより成熟したトピックに取り組む先例となった。 8冠のうち5つは主要部門(作品、監督、助演男優、助演女優、脚色)だった。 さらに主演男優賞も有力視されていたが、2人がノミネートされたこともあり、共倒れに終わってしまった。 本作で助演男優賞に輝いたフランク・シナトラは、キャリア低迷期が続いていたが、見事なカムバックを果たした。 日本軍による真珠湾攻撃が間近の1941年のハワイが舞台。米軍の兵舎内での人間ドラマを通して、軍隊組織の非人間性を暴く。 原作は1951年のベストセラー小説。 ジェームズ・ジョーンズ(当時30歳)が自ら兵舎駐在の経験に基づいて書いた。 政府機関への批判がご法度に近かったマッカーシー時代(赤狩り時代)にあって、 軍の矛盾をあぶりだす内容は、 センセーションを巻き起こした。 コロンビア(現ソニー・ピクチャーズ)の豪腕社長ハリー・コーンは、 赤狩りに臆することなく、大金を投じてこの小説の映画化権を取得。 アート系監督と見られていたフレッド・ジンネマンを監督として雇った。 【あらすじ】1941年夏、ハワイのスコフィールド米軍基地に、プルーイット2等兵(モンゴメリー・クリフト)が転属してくる。 ボクシングの名選手だった彼は、中隊長のホームズ大尉(フィリップ・オーバー)にボクシング部入りを勧誘されるが、断る。リングで友人を失明させて、やめると決意していたからだ。 これがきっかけで、プルーイットへのいじめが始まる。かばってくれるのは、同僚のマジオ(フランク・シナトラ)と、中隊長付のウォーデン曹長(バート・ランカスター)だけだった…。 閉鎖的な男社会の中の人間ドラマ。プルーイットとウォーデンのそれぞれの恋。この二つを軸に物語が進行する。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1953 | 「地上最大のショウ」
![]() 【配信:アマゾン 監督:セシル・B・デミル サーカスの舞台裏を描いた。80年の歴史を誇り、1400人の座員を抱える世界最大の一座の人間ドラマ。 観客を理屈抜きに楽しませる娯楽映画の王道。スペクタクル大作。移動列車が転覆するシーンが有名。サーカス団による華麗なショーも魅力。テレビの台頭に対抗するため、映画ならではの派手さを前面に出した。 ただ、歴代の作品賞の受賞作の中でワーストの駄作という意見もある。 事前の予想では「真昼の決闘」が最有力と見られていた。オスカー歴史に残る番狂わせ(大どんでん返し)として有名。 作品賞以外では原案賞のみの受賞。作品賞受賞作が2冠のみという例は、2016年の「スポットライト」まで出てこなかった。 【あらすじ】年間興行ツアーの出発30分前を迎え、動物や機械などを次々と列車に積み込んでいくサーカス団。そこに突然、白バイを引き連れた高級車が登場する。乗っていたのは、世界一の空中曲芸師・大セバスチャン(コーネル・ワイルド)だった。 迎えたのは、座長ブラッド(チャールトン・ヘストン)。ブラッドは「何度かスターは出迎えたが、護衛付きは初めてだ」と呆れ顔で彼を受け入れ、座員に彼の交通違反の罰金を立て替えるように指示した。 経営陣は不況下での興行短縮を考えた。ショーの存在価値と座員の生活を守ろうとする座長ブラッドは、大セバスチャンの加入と黒字の限り続けることを条件に8カ月の巡業を、経営陣に認めさせる。 だが、そのためにはブラッドが愛する花形空中曲芸師ホリー(ベティ・ハットン)をトップスターの座から降ろす必要があった。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1952 | 「巴里(パリ)のアメリカ人」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ビンセント・ミネリ ミュージカル。「雨に唄えば」とともに、ジーン・ケリーが主演するミュージカル映画の傑作と評される。 ケリーが名誉賞を受賞し、計7冠に輝いた。 「風と共に去りぬ」以来12年ぶりにカラー作品が作品賞を獲った。 アメリカの誇る作曲家の一人、ジョージ・ガーシュイン(1898~1973)が、1928年にヨーロッパ旅行中のパリの印象を綴った管弦楽曲「巴里のアメリカ人」。本作はこの名曲を中心に、ガーシュインのメロディーの数々を全編に散りばめた。 大戦後6年を経て活気を取り戻しつつある躍動するパリのイメージを、音楽、色彩、舞踊が一体となって描き出していく。ルノワール、ユトリロ、ゴッホ、ロートレック、ルソーなどの名画をバックに17分も踊りまくる幻想バレエのシーンは見事 本作がデビューのレスリー・キャロンは、主演ジーン・ケリーがパリでスカウトした。 【あらすじ】第二次世界大戦中、パリに駐屯したことのあるアメリカ人、ジェリー・マリガン(ジーン・ケリー)は、画家になりたい一心でパリを訪れる。 彼は美しいバレリーナ、リズ(レスリー・キャロン)に心を奪われるが、皮肉にも彼女はジェリーの友人アンリ(ジョルジュ・ゲタリー)のフィアンセだった。パリジェンヌと生っ粋のアメリカ人の恋は実るのか?。 <予告編▼> <挿入歌「アイ・ガット・リズム」▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1951 | 「イヴの総て」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ ブロードウェイの演劇界の内幕を描いた。 過去最多となる14個のノミネートを獲得。「風と共に去りぬ」の13ノミネートの記録を塗り替えた。 このうち、作品、監督、助演男優賞など6部門で受賞した。 主演女優賞では、本作から大本命のベティ・デイビスと、イヴ役のアン・バクスターの2人がノミネートされた。 支持票が割れたためか、どちらも受賞ならず。「ボーン・イエスタデイ」のジュディ・ホリデイにさらわれるどんでん返しが起きた。 マンキーウィッツ監督は、2年連続の監督賞という快挙。さらに、前年の脚本賞に続いて脚色賞を獲った。 【あらすじ】ブロードウェーのトップ女優マーゴに憧れ、近づいた女優志願の若い女性イヴが、策を弄(ろう)して、その座を奪い取ろうとする。 追い詰めるイヴ。感情のバランスを壊していくマーゴ。緊迫した心理サスペンスに、イヴの才能と下心をともに見抜いて近づく演劇評論家や、2人の運命の重要な鍵を握る劇作家夫婦などがからみ、物語が進行する。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1950 | 「オール・ザ・キングスメン」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ロバート・ロッセン 政治権力の暗部をえぐった秀作。 政治家の腐敗を批判して州知事になった男が、次第に独裁者になっていく物語。参謀になった元新聞記者の苦悩を通して描かれる。 作品賞、主演男優賞、助演女優賞の3冠。ロバート・ロッセン監督は本作で見せた批判精神によって保守派からにらまれ、監督賞ノミネートから外された。恐怖の「赤狩り時代」が、ハリウッドに本格的に到来しようとしていた。 【モデルは実在の政治家】主人公のモデルは、ヒューイ・ロングという実在のアメリカの政治家である。 1929年10月から大恐慌に突入したアメリカでは白人中産階級でさえもが職を失い飢え始めた。そんな時期にロングは南部のルイジアナ州知事になり、次に民主党の上院議員になって大統領を目指すようになる。 1932年の大統領選では、はじめは同じ民主党のフランクリン・ルーズベルトを支持したが、ルーズベルトが当選すると「反ニューディール」の姿勢を明らかにする。 「石油財閥による政治支配をやめさせよ。ニューヨークの大富豪たちによる独占体制を打ち倒せ」と激しく訴えて国民の熱烈な支持を受けた。いわゆる「ポピュリスト」である。 すべての作品賞ノミネートが白黒作品だった最後の年となった。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
| 1949 | 1948 | 1947 | 1946 | 1945 | 1944 | 1943 | 1942 | 1941 | 1940 |
作品賞 | ||
---|---|---|
年 | 受賞作品 | ノミネート |
1949 | 「ハムレット」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ローレンス・オリビエ シェークスピア劇の映画化の最高傑作と評される。 イギリス映画。ハリウッド・スタジオ以外の映画として初めて作品賞を受賞した。主演男優賞も獲り、計4冠。 英国史上最強の名優の一人、ローレンス・オリビエが自ら監督と主演を務め、プロデューサーも単独で務めた。オリビエによるシェークスピア3部作「ヘンリー五世」(1945年)、「リチャード三世」(1955年)の一つ。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1948 | 「紳士協定」
![]() 【配信:アマゾン 監督:エリア・カザン 人種差別と偏見について探求する社会派ドラマ。 舞台はニューヨーク。主人公(グレゴリー・ペック)は、ユダヤ人であることを隠して上流階級のホテルで働くことになる。ホテルの社交界に入り込みながら、差別や偏見に直面する。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1947 | 「我等の生涯の最良の年」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ウィリアム・ワイラー 戦場から戻ってきた3人の男を描いた。第二次世界大戦に勝利した米国だったが、元兵士たちは家庭や職場で様々な悩みや問題を抱えてきた。 爆撃手だった青年フレッド、元銀行員の陸軍軍曹のアル、両手を失った若い水兵のホーマー。戦勝国が負った深い傷を浮き彫りにした。 ワイラー監督は既にオスカーに輝いていた大物映画人だったが、記録映画撮影のために従軍した。戦争の恐ろしさを身をもって経験し、復員後の一作目として本作に挑んだ。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1946 | 「失われた週末」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ビリー・ワイルダー 映画史上初めて、アルコール依存症という問題に正面から向き合った作品と言われる。 中毒患者の心理と行動を緻密に緊迫感あふれるタッチで描いたことが評価された。 明るいハッピーエンド作品が映画の主流だった時代。酔っ払いといえば、笑いを誘う滑稽な存在だった。 名匠ビリー・ワイルダー監督に、初めてのオスカーをもたらした。 当時39歳。すでに脚本家として4度ノミネートされ、さらに前作「深夜の告白」は作品賞、監督賞にもノミネートされていた。 本作では、作品賞に加えて、監督賞、脚本賞も獲った。 ワイルダー監督はこの12年前の1934年にナチ台頭のドイツを逃れ、アメリカに亡命した。 本作の後も20年にわたって「サンセット大通り」「アパートの鍵貸します」などのワイルダー作品がオスカーをにぎわせた。 【あらすじ】物語の舞台はニューヨーク。売れない作家ドンは重度のアルコール依存症に陥っている。3年来の恋人の女性ヘレンは、懸命に彼を世話し、立ち直らせようとする。しかし、ドンは口実をつくってはバーに入り浸り、買った酒は巧みに隠した。やがて倒れて中毒患者の収容所に入れられる。怖くなって逃げだすが、禁断症状と幻覚に苦しめられる。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1945 | 「我が道を往く」
![]() 【配信:アマゾン 監督:レオ・マッケリー 主演:ビング・クロスビー ニューヨークの下町のオンボロ教会の神父が、近所の悪童連中を合唱やスポーツで善導していく。ヒューマニズムの映画作家レオ・マッケリー監督が最も円熟味を発揮した一作と評されている。 ささやかな庶民の生き方や牧師の善意、目標のために全身全霊を傾ける姿が共感を呼んだ。戦時下の観客に心なごむ一瞬を与えた。 敗戦後の荒廃した日本でも1946年に公開され、若者らの胸を打った。 【あらすじ】ニューヨーク下町の貧乏な教会に着任したオマリー神父は、不良少年を集めて聖歌隊を組織する。自作楽譜の出版など教会再建に向けて次々と打つ手は成功する。教会が火災に遭うという危機にも、神父はめげない。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1944 | 「カサブランカ」
![]() 【配信:アマゾン 監督:マイケル・カーティス ※誰もが認める歴史的名作であり、永遠のラブロマンス。珠玉の名セリフでも知られる。 恋愛映画の史上ナンバー1に選ばれ続けている。オスカー作品賞の受賞作ランキングでも、「ゴッドファーザー」などと常に歴代1位を争っている。脚本も秀逸で、米脚本家組合(WGA)が2006年に選んだ歴代の脚本ランキングで1位になった。 オスカーでは作品賞に加えて、監督賞、脚色賞、アービング・G・サルバーグ賞を受賞し、計4冠。 第二次大戦下のモロッコを舞台に、揺れ動く男女の愛と勇気を描いた。ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン主演。 【物語】1940年、フランス領モロッコの首都カサブランカ。酒場を経営する米国人リック(ハンフリー・ボガート)は、パリで別れた恋人イルザ(イングリッド・バーグマン)と再会する。だが、彼女はレジスタンスのリーダー(ポール・ヘンリード)の妻だった。 <予告編▼> <挿入歌「時の過ぎゆくままに」▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ |
|
1943 | 「ミニヴァー夫人」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ウィリアム・ワイラー 第二次世界大戦下のイギリスの銃後生活を描いた。 ナチスドイツ軍の空襲を受けるロンドンで、 夫人がさまざまな不安や不自由を抱えながら、 めげずにしっかりと生きている姿をドラマ化した。 原作は、英国の新聞に連載された随筆。 戦意高揚に役立つとして、米ルーズベルト大統領は公開を急がせたという。 実際、リアルな描写もあいまって、戦争中のムードにはまって大成功した。 若き名匠としてハリウッドを支えていたウィリアム・ワイラー監督は、 本作でついに初のオスカーを獲得した。 当時40歳ながら、すでに6本の作品賞ノミネートを出しており、 受賞が待望されていた。 ワイラー監督は、本作の後の1942年に米陸軍に加わった。 帰還後、戦争の「負」の面を描いた「我等の生涯の最良の年」で再びオスカーを総なめすることになる。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1942 | 「わが谷は緑なりき」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ジョン・フォード 「市民ケーン」が作品賞をとれなかった年として有名だ。市民ケーンのモデルとなった新聞王ハーストのネガティブ・キャンペーンによって、「わが谷は緑なりき」が漁夫の利を得たというイメージが強い。 とはいえ、「わが谷は緑なりき」も、映画史上最大の巨匠ジョン・フォードの傑作群の一つとして当時から讃えられていたのも事実。 ジョン・フォードは生涯において、7個のオスカーを獲得した。 このうち監督賞の受賞回数は4回であり、史上最多記録を保持ている。 しかし、作品賞となると、受賞したのは本作だけだった。西部劇の傑作「駅馬車」も、戦後の代表作となる「静かなる男」も、作品賞はノミネートどまりだった。 そんな本作は、フォードの得意分野として知られる西部劇ではなく、郷土劇。19世紀末のウェールズが炭鉱町が舞台。平凡な一家の人生を、静かなタッチで情感豊かに描いた。 「家族の団結」というテーマ性も、戦時中のムードと相性が良かった。 なお、監督賞は、前年に続きジョン・フォードの2年連続受賞となった。 <ジョン・フォード>アイルランド系米国人。1895年2月1日、米メーン州生まれ。本名ショーン・アロイシャス・オフィーニー。大道具係、俳優、助監督を経て、2017年に監督に。デビュー作から遺作「荒野の女たち」(1966年)まで監督作はなんと137本。すべては職人技のたまもの。1973年、癌により死去。享年78歳。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1941 | 「レベッカ」
![]() 【配信:アマゾン 監督:アルフレッド・ヒッチコック スリラーの巨匠ヒッチコック監督のサイコ・スリラー映画。有力候補だったチャップリン監督の「独裁者」に競り勝った。 不安にさいなまれる女性の心理を、ヒッチコックが様々な小道具とリアクション撮影で描いていく。 ゆったりとしたシーンの中にショック演出を加え、ドキンとさせられる。 ヒッチコック監督は生涯、個人として5回オスカーにノミネートされた。 いずれも監督賞だったが、本作「レベッカ」が最初だった。 惜しくも監督賞の受賞は逃したが、作品賞は獲った。 (ただし、本作ではプロデューサーを兼務していなかったため、『受賞者』にはならなかった) 英国人のヒッチコックは26歳で監督デビューし、1934年「暗殺者の家」で成功してからスリラー専門となった。 1938年、イギリスから黄金期の米国ハリウッドへと拠点を移した。本作が米国での第1弾の作品だった。 第2弾となる「海外特派員」も本年の作品賞にノミネートされた。 映画評論家の淀川長治さんによれば「ヒッチコックはアメリカで自分をお披露目するにあたり、美と恐怖の隣り合わせの疑惑とロマンを『レベッカ』で、連続アクション風のアクションを『海外特派員』で鮮やかに見せた」という。 プロデューサーのデビッド・セルズニックは、前年の「風と共に去りぬ」に続く受賞で作品賞2連覇となった。 <アルフレッド・ヒッチコック>1899年、ロンドン郊外レインストーンで生まれる。15歳で父を失い、働きながらロンドン大美術学部聴講生となった。20歳で字幕デザイナーとして映画界に入った。1980年死去。享年80歳。 【あらすじ】米国の若い女性が、イギリスの富豪と出会い、2度目の妻となる。 彼の荘園に行くと、邸内には前妻レベッカの思い出に満ちていた。 不気味な家政婦から嫌がらせを受け、レベッカの従兄につきまとわれる。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1940 | 「風と共に去りぬ」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ヴィクター・フレミング 「不朽の名作」といえば、この映画を思い浮かべる人も多いだろう。 アメリカに限らず世界で「感動映画」の代名詞のように語り継がれてきた。アカデミー賞は10部門受賞。 大物プロデューサー、デビッド・O・セルズニックが、小説家マーガレット・ミッチェル女史から映画化権を獲得。 ビクター・フレミングを監督に起用し、当時としては破格の製作費600万ドルを投じて作り上げた。 南北戦争が始まる直前の南部ジョージア州。 大農場主の娘スカーレットの波乱万丈の人生が圧倒的スケールで描かれた。 野性的なバトラーを演じたクラーク・ゲーブル、そしてスカーレット役ビビアン・リーの名演。 アトランタ市街の大炎上など見せ場シーンの迫力も圧巻。 カラーの彩色技術も称賛された。 マックス・スタイナーの音楽なども見事にマッチ。 インフレ率を加味した興行収入(北米)は、歴代1位を維持している。 1939年の作品だが、日本で最初に公開されたのは戦後の1952年。 多くの人たちが、豪華な衣装やビビアン・リーの美しさに魅了された。 その後も数年おきに映画館で再上映。 1967年のリバイバルでは、東京の映画館に連日長蛇の列ができた。 洋画の代表的な名作として記憶に残された。 <予告編▼> <劇伴「タラのテーマ」▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
| 1939 | 1938 | 1937 | 1936 | 1935 | 1934 | 1933 | 1932 | 1931 | 1930 |
作品賞 | ||
---|---|---|
年 | 受賞作品 | ノミネート |
1939 | 「我が家の楽園」
![]() 【配信:アマゾン 監督:フランク・キャプラ 社会風刺のきいた喜劇。ハメを外した滑稽さの中に、ヒューマニズムが貫かれている。 軍需景気を見越して、今で言う地上げに乗り出している男と、買収に応じない頑固な老人一家のテンヤワンヤを描いた。個性派ぞろいのファミリーが笑いを誘う。ドタバタながらおおらか。同時に現代社会の矛盾をつく。 フランク・キャプラは本作で3度目の監督賞に輝いた。キャプラ監督の理想主義や平等主義が反映されている。 <フランク・キャプラ>1897年、イタリアのシチリア島生まれ。6歳の時に家族とともに米国へ移住した。新聞の売り子や酒場でバンジョーをひいたりしながら、苦学して、カリフォルニア工科大学を卒業。1921年映画界に入る。喜劇の監督などをへて「或る夜の出来事」(1934年)でアカデミー監督賞を受賞した。以後も「オペラ・ハット」と本作で計3度同賞を受賞した。 このほか、ジェームス・スチュアートを主役とした「スミス都へ行く」「素晴らしき哉、人生!」など社会風刺とヒューマニズムを感じさせる多くの作品を撮り、米国映画に一時代を築いた。 1991年9月3日、老衰のため、カリフォルニア州ラキンタの自宅で死去した。享年94歳。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1938 | 「ゾラの生涯」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ウィリアム・ディターレ フランス文豪エミール・ゾラの伝記。ゾラは19世紀から20世紀初頭に活躍した自然主義作家。 とくに、ゾラが深くかかわった「ドレフュス事件」にスポットがあてられている。 ドレフュス事件は、フランスで起きた冤罪事件。 1894年、フランス陸軍のユダヤ人将校アルフレッド・ドレフュスが、スパイ容疑で逮捕され、軍事裁判で終身刑を言い渡された。 背景にはユダヤ人への差別があった。 怒ったゾラは、大統領を弾劾する声明を出す。 ゾラを中心とする「人権擁護派・共和派」と、 「軍部・反ユダヤ主義者」らの間で論争が起きた。フランス世論を二分する対立に発展した。 本作は、ファシズムとの戦いがテーマになっている。 公開された1937年は、日独伊防共協定が締結され、ファシズムの脅威が広がっていた。 米国はこの時点では孤立主義を続けていたが、第二次世界大戦の危機は迫っていた。 こうした世相もあって、本作に対する票が集まった面もあるようだ。 【あらすじ】パリの屋根裏で、画家セザンヌと共同生活をしていた。 娼婦を描いた小説がベストセラーとなる。 その後もヒット作を連発する。 しかし、参謀将校ドレフェスがスパイ容疑で投獄されると、 彼の妻の依頼で擁護活動を行い、軍から圧迫を受ける。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1937 | 「巨星ジーグフェルド」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ロバート・Z・レナード ニューヨーク劇場街ブロードウェイの超大物フローレンツ・ジーグフェルドの伝記。 豪華ミュージカル。23曲の歌曲がちりばめられている。見どころたっぷり。3時間の大作。 カーニバルのサイドショーから始めたジーグフェルドが、ブロードウェイに進出し、華やかな舞台を創り上げる。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1936 | 「戦艦バウンティ号の叛乱」
![]() 【配信:アマゾン 監督:フランク・ロイド 超大作。当時としては破格の製作費200万ドルが投じられた。 イギリス海軍の武装輸送船「バウンティ号」を舞台にした船員たちの反乱事件を描く。 原作は同名のベストセラー小説。実際に起きた事件に基づいている。 1789年、南太平洋を航行中のイギリスの帆船で反乱が起きた。 副艦長以下17人の乗組員たちは艦長の横暴に耐えかねて、艦長らを小型ボートで追放。 自分たちはタヒチで女性を含む現地人を船に乗り込ませ、安住の地を求めて南太平洋をさまよい、ピトケアン島にたどり着いた。 日本における公開当時の邦題は「南海征服」だった。軍国主義によって「叛乱」という言葉が使えなかった。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1935 | 「或(あ)る夜の出来事」
![]() 【配信:アマゾン 監督:フランク・キャプラ おしゃれでさわやかなラブコメディー。「ロマンチック・コメディー」というジャンルの流行のきっかけをつくった。 クラーク・ゲーブル演じる新聞記者とクローデット・コルベールがふんする富豪の娘が、バスで隣り合わせたばかりに巻き起こるあれこれ。 折しも世界は、長い大恐慌のトンネルを抜け出したあと。音楽が浮き浮きしたスイング時代を迎えたように、人々は明るい夢を求めていた。映画が時代にこたえたとも、時代を先取りしたとも言える。 作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞の主要5部門を獲得した。 主要5部門の独占は、本作が初めて。その後のアカデミー賞の長い歴史の中でも、「カッコーの巣の上で」(1975年)と「羊たちの沈黙」(1991年)しかない。 日本では戦前の1934年に公開された。さまざまに焼き直されて、新しい日本映画を生む原動力になったことで知られている。 とりわけ山中貞雄監督のトーキー第一作「雁太郎街道」(1934年)は有名。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1934 | 「カヴァルケード(大帝国行進曲)」
![]() 【配信:アマゾン 監督:フランク・ロイド 叙事的な感動ドラマ。人気のある舞台劇の映画化。 ロンドンに住む裕福な家庭の三十数年間の生活を描く。 主人公夫妻、子供たち、友人、使用人たちの視点で、 20世紀が幕を明ける1899年大晦日から1933年元日までの日々を追う。 ビクトリア女王の死、タイタニック号の沈没、第一次世界大戦など、いくつかの歴史的な出来事が取り上げられ、 登場人物たちの生活に影響を与えていく様子も描写される。 「すべてのシーンに細部への細やかな注意が払われている」と称賛された。 フランク・ロイド監督は、本作で初めての作品賞と2度目の監督賞を獲得した。 日本で最初に公開された時の邦題は「大帝国行進曲」だった。 <予告編▼> Amazon(DVD)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1933 | 「グランド・ホテル」
![]() 【配信:アマゾン 監督:エドマンド・グールディング 作品賞だけにノミネートされ、作品賞だけを獲った唯一の映画として有名。 様々な過去を持ち、様々な状況下におかれた人物たちが、たまたま同じホテルに泊まり合わせたことによって起こる人間模様。 24時間の出来事を流暢なタッチで描いた。 後に「グランド・ホテル型」と呼ばれるようになった。舞台はベルリンのホテル。 MGM黄金時代を象徴する豪華キャスト。商業的にも大成功した。 1989年のミュージカル「グランド・ホテル」の基になった。同作はトニー賞を受賞した。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1932 | 「シマロン」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ウェズリー・ラッグルズ 壮大な西部劇。大胆さと冒険が宿るドラマ。 1889年から1929年までの40年間を舞台にしている。 オクラホマの初期開拓から現在までの歴史を描写。 オクラホマ入植が解禁され、開拓者が殺到した「ランドラッシュ」の再現が見どころ。 西部劇として初めてオスカー作品賞を受賞した。この後は、1990年の「ダンス・ウィズ・ウルブズ」まで西部劇の受賞はなかった。 高額な製作費を投じたが、大恐慌の影響もあって、最初の劇場公開では経費を回収することができなかった。ただし、1935年の再上映で稼いだ。 アクション、共感、スリル、コメディが詰まった秀作として称賛された。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1931 | 「西部戦線異状なし」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ルイス・マイルストン ※戦場での兵士たちの日々を描いた。反戦映画のスタイルを決定付けた記念碑的作品となった。 原作は、ドイツの同名ベストセラー小説。ドイツのジャーナリストとして従軍した第1次大戦にエーリヒ・マリア・レマルクが、1929年に自らの体験に基づいて書いた。 マイルストン監督は、敗れたドイツ軍を通して、戦争の非情さをリアルに見極め、反戦を強く訴えた。マイルストン監督は、サイレント末期からトーキー初期にかけて、華やかに活躍した。コメディー、アクションもこなす器用な監督。本作が生涯の代表作となった。「美人国二人行脚」(1927年)で第1回アカデミー賞の喜劇監督賞に輝いており、本作は2度目の受賞となった。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
1930 | 「ブロードウェイ・メロディー」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ハリー・ボーモント ミュージカル。1929年から1930年にかけて多数のミュージカル映画が映画館に登場するきっかけとなった作品。 前年の第1回アカデミー賞はサイレント映画が作品賞を受賞したが、本作は音声付き映画(トーキー映画)。 ハリウッドで最初の全編トーキーのミュージカルでもあった。「トーキー革命」の先導役の一つとして評価されている。 ブロードウェイ劇場街(ニューヨーク市)の公演の舞台裏を描いている。華やかな楽屋風景が見どころ。「舞台裏ミュージカル」というジャンルのハシリともなった。姉妹の恋の譲り合いがテーマのメロドラマでもある。 商業的にも大ヒット。1929年の年間の興行収入1位だった。 製作は、ハリウッドのメジャースタジオ「MGM」(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)。 MGMは本作を大成功させたのを受けて、次々と大作ミュージカルを手掛け、1930年代、40年代に映画業界の王者に君臨することになった。 劇中の曲が親しみやすい。「君は僕のために生まれてきた(You Were Meant For Me)」「Give My Regards to Broadway(ブロードウェイによろしく)」などが有名。 製作陣は、より良い音声の録音方法を求めて、試行錯誤を重ねたという。 音質を改善するためにセットが変更され、何度もシーンが撮り直された。 俳優たちにとって長時間の撮影スケジュールとなった。 <劇中歌「君は僕のために生まれてきた」▼> <劇中歌「Give My Regards to Broadway」▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
|
2020年代 | 2010年代 | 2000年代 | 1990年代 | 1980年代 | 1970年代 | 1960年代 | 1950年代 | 1940年代 | 1930年代 | 1920年代 | 2025年の全部門(特集ページ)→ | 2024年の全部門→ | ページの先頭↑ | トップページ→
| 1929 |
(1930年代↑ | 1920年代)
作品賞 | ||
---|---|---|
年 | 受賞作品 | ノミネート |
1929 | 「つばさ」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ウィリアム・A・ウェルマン 記念すべき第1回目の作品賞。 サイレント映画。戦争叙事詩。リアルで爽快な航空戦シーンが絶賛された。飛行機映画の古典として映画史に輝いている。原題は「Wings」(翼)。 作品賞ノミネートは5本すべてサイレント映画だった。 アカデミー作品賞をサイレント映画が受賞したのは、本作と、85年後の「アーティスト」(2011年)だけだ。 ウェルマン監督は、第一次世界大戦の戦闘パイロットの経験を持つハリウッドで唯一の監督だった。 それが、起用された理由の一つだったという。 空中シーンは、セットでのごまかしではなく、すべて本物の空中で撮影した。 撮影には300人以上のパイロットが参加。20数台ものカメラが使われた。米軍の航空隊の全面的な協力を得た。 流れ雲を効果的に使うといったテクニックも画期的だった。 青春ロマンスのムードもたっぷり。 【あらすじ】第一次世界大戦で空軍に入った若者ジャックとデビッドは、一人の女性をめぐって仲たがいする。 敵の偵察気球の破壊に出動したとき、デビッドは撃墜されるが一命をとりとめ、敵の飛行機を奪って帰途につくが・・・。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ |
|