年 | 作品賞 | 詳細 |
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2024 |
【現時点の最有力】
「オッペンハイマー」 |
予想→ |
2023 | 「エブエブ」 | 詳細→ |
2022 | 「コーダ あいのうた」 | 詳細▼ |
2021 | 「ノマドランド」 | 詳細▼ |
2020 | 「パラサイト」 | 詳細▼ |
2019 | 「グリーンブック」 | 詳細▼ |
2018 | 「シェイプ・オブ・ウォーター」 | 詳細▼ |
2017 | 「ムーンライト」 | 詳細▼ |
2016 | 「スポットライト」 | 詳細▼ |
2015 | 「バードマン」 | 詳細▼ |
2014 | 「それでも夜は明ける」 | 詳細▼ |
2013 | 「アルゴ」 | 詳細▼ |
2012 | 「アーティスト」 | 詳細▼ |
2011 | 「英国王のスピーチ」 | 詳細▼ |
2010 | 「ハート・ロッカー」 | 詳細▼ |
2009 | 「スラムドッグ・ミリオネア」 | 詳細▼ |
2008 | 「ノーカントリー」 | 詳細▼ |
2007 | 「ディパーテッド」 | 詳細▼ |
2006 | 「クラッシュ」 | 詳細▼ |
2005 | 「ミリオン・ダラー・ベイビー」 | 詳細▼ |
2004 | 「ロード・オブ・ザ・リング3 王の帰還」 | 詳細▼ |
2003 | 「シカゴ」 | 詳細▼ |
2002 | 「ビューティフル・マインド」 | 詳細▼ |
2001 | 「グラディエーター」 | 詳細▼ |
2000 | 「アメリカン・ビューティー」 | 詳細▼ |
1999 | 「恋におちたシェイクスピア」 | 詳細▼ |
1998 | 「タイタニック」 | 詳細▼ |
1997 | 「イングリッシュ・ペイシェント」 | 詳細▼ |
1996 | 「ブレイブハート」 | 詳細▼ |
1995 | 「フォレスト・ガンプ」 | 詳細▼ |
1994 | 「シンドラーのリスト」 | 詳細▼ |
1993 | 「許されざる者」 | 詳細▼ |
1992 | 「羊たちの沈黙」 | 詳細▼ |
1991 | 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」 | 詳細▼ |
1990 | 「ドライビング Miss デイジー」 | 詳細▼ |
1980年代 | 詳細▼ | |
1970年代 | 詳細▼ | |
1960年代 | 詳細→ | |
1950年代 | 詳細→ |
アカデミー賞は世界最高峰の映画賞です。通称「オスカー」。主催者は「映画芸術科学アカデミー」(アメリカ)。 ちなみに、日本アカデミー賞(日アカ)とは全く関係がありません。
2023年→ | 2022年→ | 2020年代 | 2010年代 | 2000年代 | 1990年代 | 1980年代 | 1970年代 | 1960年代 | 1950年代 | 1940年代 | 1930年代 | 作品賞(歴代)→ | ページの先頭↑ |
歴代の受賞者リスト
( 23年 | 22年↓)
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が作品賞を含む7冠を獲得。このうち6つは主要部門(作品・監督・俳優・脚本系)だった。主要部門での6冠はオスカー史上初めて。
【主要8部門】作品賞、 監督賞、 主演男優賞、 主演女優賞、 助演男優賞、 助演女優賞、 脚本賞、 脚色賞、 【ジャンル別部門】アニメ賞、 国際映画賞、 ドキュ賞
2023年 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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部門 | 受賞 | ノミネート | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
作品賞 |
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(略称:エブエブ)」
![]() (日本公開:2023年3月3日) 監督:ダニエルズ 史上初の主要6冠作品賞に加えて、監督、主演女優、助演男優、助演女優、脚本、編集賞の計7冠。 このうち編集賞を除く6部門が主要部門だった。 「羊たちの沈黙」「愛と追憶の日々」「クレイマー・クレイマー」「カッコーの巣の上で」「或る夜の出来事」「地上(ここ)より永遠(とわ)に」などの最多記録(主要5冠)を抜き、史上初の主要部門6冠に輝いた。ダントツの独創性と斬新さに熱烈な支持が集まった。インデペンデント映画ならではの発想力の勝利だった。 中華系移民のSF家族劇米国の中華系移民の家族が突然、人類を救う戦いに巻き込まれるSF活劇。母娘愛・夫婦愛を軸とする感動系の家族物語でもある。ミシェル・ヨー主演。若手オタクとA24新進気鋭の2人組監督ダニエルズの大出世作となった。ハリウッドで最も勢いのある新興映画会社「A24」にとって過去最大の興行収入を記録。米国の映画ファンの間で話題沸騰となった。若手オタクとA24オスカー前哨戦では、評論家系の賞で勝ち続けた後、映画業界の組合別の賞で圧勝した(PGA、DGA、SAG、WGAを完全制覇)。アジア系が大活躍主要キャストの大半はアジア系。さらに監督の1人は台湾系。メインのプロデューサーも台湾系。衣装デザイナーは日系人。アジア系の人材が大活躍した。奇抜な異色作のわりにアンチが少ないのも特徴。米国を支えてきた移民たちへの賛歌というメッセージ性もある。 歴代トップ級の奇想天外ぶりメジャー作品にはない手作り感とB級風味も持ち味となった。 オスカー作品賞史上、奇想天外ぶりにおいてトップレベルと受け止められている。少なくとも「お馬鹿映画ぶり」が歴代マックスであることは間違いない。8年ぶり7冠オスカー7冠達成は、2014年の「ゼロ・グラビティ」以来9年ぶり。 作品賞を含めた7冠以上となると、2009年に8冠に輝いた「スラムドッグ・ミリオネア」以来だった。一つの作品による独占が難しくなっていた近年のアカデミー賞において、久しぶりの完勝となった。俳優部門3冠は史上3作目また、俳優部門での3冠は46年ぶり。1977年「ネットワーク」、1953年「欲望という名の電車」に次いで史上3作目の快挙だった。「タイタニック」との勝ちぶりの違いアカデミー賞の最多受賞の記録は、「ベン・ハー」「タイタニック」「ロード・オブ・ザ・リング3/王の帰還」の13部門だが、これらの作品は技術部門で大量に稼いだ結果である。例えばタイタニックとロード・オブ・ザ・リング3は俳優部門は一つも獲っていない。一方、エブエブは技術部門の受賞は編集賞だけで、残りは「above the line」と呼ばれる主要8部門での勝利。主演男優と脚色はそもそも選考対象ではなかったことを考えると、主要部門は全て制覇したといえる。 続きを開く▼1年前の劇場公開は「羊たちの沈黙」以来本作が米国で劇場公開されたのは2022年3月だった。 オスカー授賞式の1年も前だ。 通常、公開から時間が経つとオスカーでは不利だが、本作に限っては勢いが衰えなかった。むしろ「見返すほど面白さが増す」との声が多く聞かれた。 公開時期の早さは、1991年2月に全米公開されて翌年の作品賞を獲った「羊たちの沈黙」以来の記録。サークル的なノリに共感賞レースでは、本作で20余年ぶりの奇跡的なカムバックを果たした元子役キー・ホイ・クァンが、感動的なスピーチで往年の映画ファンを泣かせた。 ミシェル・ヨーやジェイミー・リー・カーティスらお馴染みのスターたちも作品の魅力を訴え、ムードを盛り上げた。各授賞式やイベントでは、キャストやスタッフが若いオタク系監督を囲み、和気あいあいと祝福しあうサークル活動的なノリが共感を呼んだ。その輪の中には、祖父役を演じた94歳の超ベテラン中国系俳優ジェームズ・ホンの姿もあった。 包摂的(インクルーシブ)で楽しそうな光景が、映画自体のメッセージとも重なり合った。 逆風が吹かず賞レース終盤で「断トツの最有力候補」としてのポジションを固めたが、よくありがちなバッシングは起きなかった。 前哨戦で連勝しながら最終局面でアンチが増え、作品賞を逃した前年の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(Netflix)とは対照的だった。 ポジティブな人生賛歌という作風が、有利に働いたかも知れない。「A24」の圧勝インデペンデント系映画会社「A24」にとって、2017年の「ムーンライト」に続いて2度目の作品賞となった。 同じく本年度にA24が配給した「ザ・ホエール」は主演男優賞とメイク&ヘア賞を獲得した。 大手スタジオやNetflixを突き放し、会社別の受賞数で圧倒的なトップだった。A24は2012年創業。 映画投資会社出身のダニエル・カッツら3人が設立した。本社ニューヨーク。 「エブエブ」は設立10周年の作品であり、出資と配給を担当した。 A24はアート性と娯楽性を兼ね備えた作品づくりに定評がある。 「ムーンライト」以外の過去の作品賞ノミネートは、2016年の「ルーム」、2021年の「ミナリ」。
配給:A24 プロデューサー:ジョナサン・ウォン、ルッソ兄弟、ダニエルズほか 【配信:U-NEXT】 ![]() ■評点:ロッテン95%、IMDb8.0 ■米興収:7200万ドル→ ■製作費:1600万ドル 【前哨戦での受賞】 ・PGA(米プロデューサー組合賞) ・DGA(米監督組合賞) ・SAG(俳優組合)アンサンブル賞 ・クリティック・チョイス賞 その他▼・ロサンゼルス批評家賞・ワシントン批評家賞 ・フロリダ批評家賞 ・アトランタ批評家賞 ・ヒューストン批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 ・ゴッサム賞 ・独立系精神賞 ・WGA(米脚本家組合賞) <受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<主題歌「This Is A Life」▼><茶一郎の解説▼> <予告編▼> |
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監督賞 |
ダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 ![]() 30代半ばの精鋭コンビ。本作がコンビとして長編2作目。 多次元宇宙(マルチバース)、カンフーアクション、家族劇、哲学論など数々の要素がてんこ盛りになった重層的かつ壮大なストーリーを、一本筋の通った娯楽作に仕上げた。 古今東西の様々な映画文化を取り入れつつ、唯一無二の映像体験を実現した手腕は見事。 ベテラン俳優の起用で成功ベテラン俳優3人(ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティス)を起用し、そろって初のオスカーへと導いた功績も大きい。その千里眼とハイセンスな演出力については、映画界の重鎮たちも舌を巻いた。台湾系&ゴジラファン2人組のうち、ダニエル・クワンは中華系アメリカ人で米東部マサチューセッツ州出身。本作の登場人物(娘役)と同じようにアジア系移民2世(母親が台湾出身)。フェイバリット映画は「エターナル・サンシャイン」(2004年)。一方、 ダニエル・シャイナートは南部アラバマ州の出身。中流家庭で育った。子供のころゴジラの映画に熱中。兄(現在ゲーム・デザイナー)が仲間と自主制作した映像作品に触発され、映画監督への道を志したという。 音楽ビデオで成功し、映画へ2人はボストンの大学で映画を学んでいるときに出会った。卒業後、監督デュオとして音楽アーティストのビデオを手掛け、グラミー賞に2度ノミネートされた。続き▼その後、映画に参入し、「スイス・アーミー・マン」(2016年)でデビュー。サンダンス映画祭の監督賞などの賞に輝き、期待の新人として注目を浴びた。映画的知性の高さ若手とはいえ、かつてサム・メンデス監督がデビュー作「アメリカン・ビューティー」で作品賞と監督賞をダブル受賞した年齢(35歳)と変わらない。むしろ、若者らしからぬ地に足のついた言動と映画的知性の高さは、愛嬌のあるオタクキャラと相まって、広範囲な支持をもたらした。【前哨戦での受賞(監督部門)】 ・クリティック・チョイス賞 ・DGA(米監督組合賞) その他▼・アトランタ批評家賞・ワシントン批評家賞 ・シカゴ批評家賞 ・フロリダ批評家賞 ・ネバダ批評家賞 ・ヒューストン批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 <受賞スピーチ▼> |
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主演男優賞 |
ブレンダン・フレイザー
「ザ・ホエール」 ![]() 過食で体重270キロになった中年教師を演じた。54歳で演技派としての見事なカムバック。 かつて冒険アクション大作「ハムナプトラ」3部作(1999年~2008年)の主人公として大成功を収めた。オスカー作品賞「クラッシュ」でも渋い脇役を演じた。 しかし、その後、うつ病や離婚などが重なり活動が停滞。ハリウッド映画界の第一線から遠ざかった。 2021年に出演した「クライム・ゲーム」(スティーヴン・ソダバーグ監督)は批評家に好評だったが、話題にならなかった。 状況が激変したのは、2022年9月のベネチア国際映画祭。本作「ザ・ホエール」が出品されると、鬱積した感情を抱える中年ならではの演技に称賛の声が集まった。 その後の賞レースでは、若手オースティン・バトラーらと一進一退の星取ゲームを展開した。 続き▼フレイザーがかつて主催団体トップによるセクハラ問題を告発したゴールデングローブ賞では、バトラーに敗れた。しかし、重要度が高いクリティック・チョイス賞とSAGアワードでは勝利し、米国内での支持の厚さを示した。迎えたオスカーでは、同じくカムバック劇が話題となった助演男優賞のキー・ホイ・クァンとともに、栄冠を手にした。 【前哨戦での受賞】 ・SAGアワード(俳優組合賞) ・クリティック・チョイス賞 ・ネバダ批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 <受賞スピーチ▼> |
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主演女優賞 |
ミシェル・ヨー
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 ![]() アジア人として史上初の主演女優賞の受賞となった。非白人としては、2002年のハリ・ベリーに続いて史上2人目。 総決算の多面キャラ異色のインディーSFを大成功へと導いた立役者。幾多もの異次元宇宙を転々とし、それぞれの世界での「別の自分」を表現した。庶民からセレブ女優、カンフー格闘家、料理人まで、その多面的なキャラ変容は、まさに長いキャリアの総決算。娘や夫への感情表現や、未知なる世界との遭遇で見せる戸惑いと覚醒反応も、本作の魅力を格段に高めた。 香港アクション界からハリウッドへ1962年マレーシア生まれ。中華系。 1980年代から香港のアクション映画界で大活躍。「ポリス・ストーリー3」でジャッキー・チェンとの見事な格闘コンビを見せ、世界から注目を集めた。1997年の「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」でボンドガール役を務め、ハリウッドに進出。 「グリーン・デスティニー」で英国アカデミー賞候補に台湾・米国などの合作「グリーン・デスティニー」(2001年オスカー作品賞候補)の大成功によって、アジア系を代表する名女優として認知され、英国アカデミー賞にもノミネートされた。近年は、大ヒットコメディ「クレイジー・リッチ」(2018年)やマーベル映画を通じて若い世代にもお馴染み。 現場のリーダー役本作では、破天荒な脚本のポテンシャルにいち早く気づき、エグゼクティブ・プロデューサーの一人に名をつらねた。続き▼撮影現場では、アジアとハリウッドの映画界での豊富な経験を活かして若い監督に有益な助言を与えるなど、チームを引っ張ったという。候補入りは2人目アジア系の主演女優賞ノミネートは、1936年のマール・オベロンに続き史上2人目だった。本選では当初、ケイト・ブランシェットのほうが有利と予想されていたが、「エブエブ」ブームの白熱化とともに支持が拡大。 前哨戦の天王山となるSAGアワードを制し、その勢いに乗って大一番をものにした。 【前哨戦での受賞】 ・SAGアワード(俳優組合賞) ・米国映画評議会議(NBR) その他▼・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)・ボストン批評家賞 ・ネバダ批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 <受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<歴代の格闘シーン集▼><SAGの受賞スピーチ▼> |
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助演男優賞 |
キー・ホイ・クァン
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 ![]() 「グーニーズ」「インディ・ジョーンズ2~魔宮の伝説」で世界的に有名になったアジア系子役が、20年ぶりに俳優業に復帰。ハリウッドに旋風を巻き起こした。 人情味とクールさのギャップ気弱で頼りない中年男性から、地球を救う戦士、ダンディー伊達男などへと変貌する役柄。 コミカルな立ち振る舞い、キレのある格闘技アクション、心を打つ愛情表現により、観客の心をつかんだ。ベトナム移民ベトナム生まれの51歳。名前の正確な発音はキー・フイ・クァン。子役時代の芸名なジョナサン・キー。中華系。4歳だった1975年、混乱期のベトナムからボートで逃れ、香港の難民キャンプに1年滞在。米国へ移住した。 配役がなく裏方に10代前半でハリウッドスターに。しかし、アジア系向けの配役が少なかったこともあり、俳優の仕事に恵まれず、小さなオーディションにも落ちまくったという。続き▼技術を磨き続けるそれでも映画への情熱を捨てきれず、大学で映画学を専攻し、卒業後は裏方の仕事に従事した。カンフーなどの技術も磨き、スタント指導者や撮影現場の通訳、助監督として食いつないだ。 そんな元スターに、若き監督が目をつけ、うってつけの役をオファーした。愛されキャラ前哨戦で独走。一連の授賞式での感動的なスピーチは、世界の映画ファンを泣かせた。飾らずに喜怒哀楽を表わす「愛されキャラ」ぶりにも注目が集まり、本年度賞レースの好感度ナンバー1に。【前哨戦での受賞】 ・SAGアワード ・クリティック・チョイス賞 ・NY批評家賞 その他▼・ゴールデングローブ賞・ロサンゼルス批評家賞 ・全米映画批評家協会賞(NSFC) ・ボストン批評家賞 ・アトランタ批評家賞 ・ワシントン批評家賞 ・シカゴ批評家賞 ・フロリダ批評家賞 ・ネバダ批評家賞 ・ヒューストン批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 ・ゴッサム賞 <受賞スピーチ▼> <受賞後の会見▼> 動画集を開く▼<格闘シーン▼><子役時代▼> <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼> |
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助演女優賞 |
ジェイミー・リー・カーティス
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 ![]() 税務署の職員をコミカルに演じた。主演ミシェル・ヨーのカウンター役として独特な存在感を発揮。笑いと泣きのシーンに厚みをもたせ、娯楽性を高めた。 ホラー映画の金字塔「ハロウィン」(1978年)で女子高生役として銀幕デビューして以来、ホラーやコメディで活躍を続けてきた。今回初のオスカーノミネートを果たした。 賞レースでは、エブエブ組のチアリーダーとして陣営を大いに盛り上げた。64歳。両親ともに俳優の生粋ハリウッド人。 【前哨戦での受賞】 ・SAGアワード(俳優組合賞) ・ネバダ批評家賞 <受賞スピーチ▼> <SAGの受賞スピーチ▼> |
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脚本賞 |
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
![]() 脚本:ダニエルズ(兼監督) 2人の監督の頭の中から生まれた独創的アイデアの脚本。「家族」をめぐる日常的な話題を、多元宇宙(マルチバース)を舞台とする戦いに置き換え、娯楽性の高いストーリーとして成立させた。奇抜でめまぐるしい展開ながら、最後は本筋のテーマへと観客をひきこみ、心を動かす。英語と中国語の多言語脚本。 【前哨戦での受賞】 ・クリティック・チョイス賞 ・ワシントン批評家賞 ・ネバダ批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 ・WGA(米脚本家組合賞) |
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脚色賞 |
「ウーマン・トーキング 私たちの選択」
![]() 脚本:サラ・ポーリー ※カナダの女性作家による2018年の同名小説を、サラ・ポーリー監督が脚色した。原作小説は、南米ボリビアで起きた連続女性暴行事件から着想を得ているという。 女性パワーの結集がテーマとなっている。 サラ・ポーリー監督は「アウェイ・フロム・ハー君を想う」(2006年)でも脚色賞にノミネートされており、今回2度目のオスカー候補入りとなった。作品賞とのダブルノミネート。 44歳。カナダ人。もともとは人気俳優だったが、現在は監督・脚本業に専念している。ハリウッドにおける性差別問題を俳優引退の理由の一つに挙げている。熱心な活動家としても知られる。 【前哨戦での受賞】 ・クリティック・チョイス賞 ・シカゴ批評家賞 ・フロリダ批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 ・WGA(米脚本家組合賞) |
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アニメ賞 |
「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」
![]() 【配信:ネトフリ】 「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017年)でオスカー作品賞を受賞した鬼才ギレルモ・デル・トロによる最新版ピノキオ。ミュージカル。Netflixにとって初の長編アニメ賞となった。 ストップモーション・アニメ嘘をつくと鼻がのびる木の人形の冒険物語。人形や物体を少しずつ動かしながら撮影していく「ストップモーション・アニメ」の手法を用いた。独特な作風と完成度の高さが絶賛された。中止の危機をネトフリが救うトロ監督の個人的な情熱によってプロジェクトがスタート。何度も中止寸前に追い込まれたが、Netflixが資金を提供したことで製作にこぎつけた。ジブリの影響日本の怪獣やアニメなどをこよなく愛するトロ監督だが、本作をつくるにあたっては、ジブリのアニメ作品を意識したという。配給:Netflix 制作:Netflixアニメーションほか <前哨戦> ・クリティック・チョイス賞 ・英国アカデミー賞 ・アニー賞 ・シカゴ批評家賞 ・ゴールデングローブ賞 ・ヒューストン批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 |
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国際映画賞 |
「西部戦線異状なし」
![]() 国:ドイツ ドイツ語の戦争映画。原作はドイツ生まれの作家エリッヒ・レマルクが1929年に出版したベストセラー小説。 ハリウッドのスタジオが92年前にも映画化しており、そのときはアカデミー作品賞(1931年)を受賞した。 今回、小説の母国ドイツでの初の映画化となった。第一次世界対戦の残忍さを世界に伝えた反戦ストーリーが、現代の最高レベルの映画技術で蘇った。 ドイツ軍の志願兵として戦線に乗り込んだ主人公が、塹壕(ざんごう)での毒ガス、機関銃、戦車など思いもかけなかった凄惨な経験を重ねる。 ロシアの対ウクライナ侵略戦争による悲劇が日々伝えられるなか、極めて生々しく、心に突き刺さる上質な一本として支持を集めた。 前年の「ドライブ・マイ・カー」(日本)のように、作品賞と国際映画賞のダブルノミネートを果たした。技術部門でも票を集め、計9部門での候補入り。このうち4部門で受賞した。 外国語映画として異例の強さを見せた。Netflixの本年度イチオシだった。 監督:エドワード・ベルガー 配給:ネットフリックス 【前哨戦での受賞】 ・英国アカデミー賞 非英語作品賞 【配信:ネトフリ】 |
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ドキュメンタリ賞 |
「ナワリヌイ」
![]() (日本公開:2022年6月) ロシアのプーチン政権を批判し、毒殺未遂で死にかけた弁護士アレクセイ・ナワリヌイ氏(46歳)の記録。 プーチン政権による毒殺未遂プーチン政権による毒殺計画は、2020年にロシア上空の旅客機内で実行された。何者かに毒をもられたナワリヌイは昏睡状態に陥り、飛行機は緊急着陸。病院に搬送された。カメラがとられた犯人特定の瞬間そこから、本作の取材班が密着する。移送先のドイツの病院で意識を取り戻したナワリヌイは、犯人の特定へと動き出す。旅客機の搭乗者名簿など数々のデータを手掛かりに、実行犯グループと思われる人物たちを割り出し、直接電話をかけて真相究明を図る。果敢な行動の一部始終をカメラがとらえた。 命の危険にさらされながらスパイ映画のような緊迫感と臨場感。命の危険にさらされながらもユーモアと笑顔を失わず前に進もうとするナワリヌイと、彼を支える家族やプロフェッショナルな仲間たちの姿が胸を打つ。監督はカナダ人のダニエル・ロアー(30歳)。日本でも劇場公開された「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」(2019年)で称賛された。 授賞式に妻が登壇オスカー授賞式では、監督らとともにナワリヌイ氏の妻が登壇。ロシアの刑務所に投獄されている夫の身の安全の確保を訴えた。【前哨戦での受賞】 ・PGA(全米プロデューサー組合賞) ・英国アカデミー賞 ・サンダンス映画祭フェイバリット賞 【配信:アマゾン】 <予告編▼> <監督とナワリヌイ氏の妻ユリア氏の受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<日テレのニュース▼><町山智浩の解説▼> |
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日本映画「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)が作品賞、監督賞、脚色賞、国際映画賞の4部門でノミネートされ、このうち国際映画賞を受賞しました。
作品賞ノミネートは邦画として史上初めて。脚色賞ノミネートも史上初でした。
作品賞は、前哨戦で圧倒的な強さを見せていた「パワー・オブ・ザ・ドッグ」が敗れ、「コーダ あいのうた」が受賞しました。
作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、 脚本賞、脚色賞、国際映画賞、アニメ賞
2022年 | ||||||||||||||||||||||||||
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部門 | 受賞 | ノミネート | ||||||||||||||||||||||||
作品賞 |
「コーダ あいのうた」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:シアン・ヘダー 涙と笑いあふれる感動作。漁師一家の中でただ1人耳が聞こえる女子高生を主人公に、家族の絆や成長を描く。 2014年のフランス映画のリメイクながら、米国らしい陽気でエネルギッシュな脚色・演出により、突き抜けた一本になった。 コロナ禍で多くの人が辛い目にあっていた時代。温かみのあるストーリーが支持された。 役者たちの演技も絶賛された。主人公の家族のろう者3人は、いずれも聴覚にハンディのある俳優が演じた。 独立系(インデペンデント)の作品であり、当初は有力視されていなかった。 しかし、作品の知名度が高まるにつれて応援ムードが盛り上がり、前哨戦の終盤で急浮上。 大本命「パワー・オブ・ザ・ドッグ」を破った。 続きを開く▼▼<投票方式が有利に> 前哨戦で圧倒的に強かったパワー・オブ・ザ・ドッグは、芸術性は高いものの、好き嫌いが分かれる傾向にあった。 候補作10本に順位を付けさせる独特な投票方式が、「みんなに好かれる映画(嫌われない映画)」の典型といえる本作に有利に働いたようだ。 アート系の「ROMA/ローマ」が、大衆系の「グリーンブック」に敗れた2019年と類似する結末といえる。 <サンダンス映画祭> 本作の製作費は11億で、オスカー受賞映画としてはかなり小規模だった。(それでも前年の作品賞の「ノマドランド」の2倍ではある)。米インデペンデント系映画賞「サンダンス映画祭」で史上最多となる4冠を達成。ネット配信に参入して間もない米IT企業アップルが、これまたサンダンス史上最高となる26億円で配給権を買い取った。 サンダンス映画祭の出品作としても初の作品賞。ろう者が主な出演者となっている映画としても初めて。 配給元アップルは1999年にネット動画配信に参入したばかり。 アップルとして初の作品賞。ネット配信会社のオリジナル作品としても初めて。 先発組のNetflixとアマゾンの先を越した。 <90年ぶり> なお、3個以下のノミネートしか得ていない映画の作品賞受賞は、1932年(第5回)の「グランド・ホテル」以来90年ぶりとなった。
<受賞スピーチ▼> <挿入歌▼> <予告編▼> (日本公開:2022年1月21日) |
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監督賞 |
ジェーン・カンピオン
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」 ![]() 1994年に「ピアノ・レッスン」で脚本賞を受賞して以来、2度目のオスカー獲得。 女性の監督賞は史上3人目。前年の「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督に続いて2年連続。 ニュージーランド出身のベテラン。しばらくテレビドラマに専念していたため、13年ぶりの映画製作となった。Netflixの資金を得て、細部にまでこだわり抜いた末に完成させた渾身の一作。 人間の深層心理を静かに掘り下げる西部劇。極めて精緻で完成度の高いドラマであり、かつスリラーとしても上質。前哨戦で圧勝し、最多12個のノミネートを獲得。作品賞も有力視されていたが、逃した。結局、受賞は監督賞のみだった。 【説明→】 【作品紹介→】 予告編(監督版)→ 作品一覧(wiki)→ <受賞スピーチ↓> |
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主演男優賞 |
ウィル・スミス
「ドリームプラン」 ![]() 3度目のノミネートにして初の受賞。過去に「ALI アリ」(2001年)、「幸せのちから」(2006年)でノミネートされた。黒人として5人目の主演男優賞。 女子テニスの世界トップに君臨した米国人ウィリアムズ姉妹の実在の父親を演じた。 アクの強さやひょうひょうとした立ち振る舞いを見事に再現。 同時に、スミスらしい茶目っ気を加えることで、観客にとって親しみやすいキャラクターを造形した。 自らプロデューサーの一人としても名をつらね、後見役のウィリアムズ姉妹らとともにプロジェクトを推進した。劇場公開と同時にネット配信されたことで、俳優たちの受け取る歩合報酬が減ったことから、自分のギャラの一部を他の出演者たちに回したという逸話もある。 前哨戦では、序盤の評論家系アワードでカンバーバッチに連敗していたが、記者系のゴールデングローブ賞で勝利。その後の映画業界人が選ぶ賞では連勝した。前哨戦での受賞スピーチも「さすがに上手い」と好意的に受け止められた。 受賞当時53歳。俳優歴32年。ラッパーとして芸能活動を開始し、俳優業に進出した。 「インデペンデンス・デイ」「メン・イン・ブラック」などの歴史的ヒット作を含め、 長年の超ドル箱スターとして業界への貢献度は申し分なかった。 オスカーはベテラン勢が有利であることを加味すれば、受賞は確実と予想されていた。 ところが、せっかくのオスカーで授賞式でコメディアンのジョークに立腹し、 生放送中に壇上で殴打する暴行事件を起こし、キャリアが一気にどん底に落ちることとなった。 「ビンタ事件」の顛末▼授賞式でウィル・スミスは、妻の病気を揶揄(やゆ)するジョークを飛ばしたコメディアンのクリス・ロック(57歳)に激怒。 ステージに駆け上がってビンタを食らわすという事件が起きた。 アカデミー賞の歴史に残る残念な出来事となった。 10年間の出席禁止に授賞式の後、スミスは映画芸術科学アカデミーから、今後10年間にわたる授賞式への出入り禁止処分を受けた。アカデミー会員の資格返上にも追い込まれた。 クリス・ロック殴られたクリス・ロック(コメディアン)はこの日、「ドキュメンタリー賞」の発表者(プレゼンター)として登壇していた。ロックは全米トップ級の人気コメディアンであり、アカデミー賞の司会(ホスト)も過去2回務めている(歴代の司会者→)。毒舌系で知られる。 脱毛症をネタにロックは受賞者を読み上げる前のトークで、招待席に座っていたセレブたちをいじるジョークを展開。その中で、スミスの妻ジェイダ・ピンケット・スミスに向かって「ジェイダ好きだよ。『GIジェーン 2』が楽しみだね」(Jada, I love you! "GI Jane 2", can't wait to see it. Alright?)と冗談を飛ばした。 ムッとするジェイダこれは、ジェイダが脱毛症のため髪を短くしていることを揶揄(やゆ)するものだった。人の病気を笑いのネタにするジョークであり、会場では笑いが起きたものの、聞いていたジェイダ本人がムッとするのがテレビ中継でも映し出された。隣のスミスは笑顔だったが、この後席を立ち、壇上へと向かった。身長188cmで強靭な肉体を持つスミスによる殴打シーンは、平手とはいえ、強いインパクトを与えた。 放送禁止用語を絶叫スミスはクリス・ロックにビンタをした後、席に戻り、放送禁止用語を用いながら、壇上のロックに「妻の名前を出すな!」と叫んだ。 日本のWOWOWを含む一部の国のテレビ放送局は、この暴言を無音声に切り替えずそのまま放送。お茶の間に衝撃を与えた。 受賞スピーチにも批判その後、スミスは主演男優賞を受賞した。受賞スピーチでは、ビンタ行為について泣きながら弁明した。しかし、自分の行為をむしろ正当化しようとする内容だったと受け止められ、米国内では批判が多く出た。殴ったクリス・ロックに対する謝罪も、この時点ではなかった。(スミスの受賞スピーチ動画→) 退場を拒否主催団体「映画芸術科学アカデミー」の声明によると、暴力行為の後、主催者側がスミスに退場を求めたが、スミスは拒否した。 警察が駆けつけるまた、授賞式のテレビ番組プロデューサーが後日ABC放送のインタビュー(動画→)で語ったところによると、現場にはロサンゼルス市警察(LAPD)が駆け付けた。 被害届を出さず警察は控室に戻ったクリス・ロックに対して、「スミス逮捕」を選択肢の一つとして提示した。そのうえで、被害届を出す意向があるか尋ねた。これに対して、クリス・ロックは被害届に否定的だったという。 映画の主人公キャラが非難声明授賞式の後、スミスの受賞作となった「ドリームプラン」で主人公のモデルとなったリチャード・ウィリアムズ(テニスのウィリアムズ姉妹の父親)は「自衛でもない限り、人を殴る行為は許されない」とする非難声明を出した。 授賞式でのスミスの受賞発表時の拍手喝采(スタンディング・オベーション)とはうってかわって、他の芸能人からも批判的なコメントが相次いだ。 パーティ動画の拡散も痛手に式典後のパーティでオスカー像を片手に上機嫌で歌って踊るスミスの動画が拡散したことで、さらに印象が悪くなった。 コメディアンに対する許容範囲が広いアメリカでは、日本と比べてジョークに対する許容範囲がはるかに広い。 ふだんは問題視されるような発言でも、コメディアンがジョークの一環として口にすると、許される風潮がある。(ただ、人種差別などにつながるようなジョークは厳しく対処される)。 発言はあまり問題視されず将来的には脱毛ネタのたジョークもデリケートに扱われるようになるのかも知れないが、この時点ではほとんど問題視されなかった。 授賞式への出席を10年間禁止アカデミーはスミスに対して、10年間にわたって授賞式への出席を禁止する処分を下した。また、スミスはアカデミー会員を辞任した。 ショーのチケットがバカ売れ事件を受けて、クリス・ロックの米国ツアーの人気はうなぎ上りとなった。アカデミーも声明でクリスに謝罪するとともに、異様な事態を冷静かつ巧みに収拾してくれたことに感謝の意を表わした。 作品説明を開く▼観客支持率トップの98%大多数の観客が称賛する一作。ロッテン・トマトの一般観客の評価スコアは候補作の中でトップの98%。実在の父親がモデルテニスの世界トップに君臨した姉妹(姉ビーナス・ウィリアムズ、妹セリーナ・ウィリアムズ)の父親の姿を描く。実話をベースにしている。オスカーになじみやすい家族物語であり、スポーツもの。 本年度の作品賞ノミネートの中で、最もアメリカン・ドリーム的なストーリーとなった。主人公リチャード・ウィリアムズはテニスの素人ながら、娘2人に幼少期からテニスを徹底指導。 娘が力をつけてくると、 経済的に貧しかったにもかかわらず、強引なやり方で超一流のコーチをつけることに成功し、鮮烈なプロデビューへと導いた。 伝説的な姉妹の大活躍の土台をつくった熱血パパとして知られる。 裕福な白人層が中心だった米国テニス界に風穴を開けた存在でもある。 「王様」のような立ち振る舞い本作は、リチャードの独特な「子育て法」に焦点があてられている。 目先のゲームや一時的な活躍よりも、娘たちの長期的な成功を優先させ、学問や人格形成を重視した教育に邁進する。 一方で、破天荒で独善的な態度により、周囲と様々な軋轢(あつれき)を起こしていく。 その立ち振る舞いはまるで「王様」。映画の原題も「王様リチャード(King Richard)」になっている。低所得層の苦闘少数派人種や低所得層の苦労・努力がテーマの一つ。 家族の団結や厚い信仰心もしっかりと描写されている。 米国で重視されがちな価値観が前面に出ており、 変化球のかたまりのような「パワー・オブ・ザ・ドッグ」とは対照的。一般観客が入りやすい作品であることが、作品賞レースで有利に働く可能性がある。 ただ、称賛の嵐の中で、「ややありがちな映画」との声も。監督は無名の若手主演ウィル・スミスの熱演に加えて、 助演女優賞ノミネートの妻役アーンジャニュー・エリスが、限られた見せ場で観客の心をわしづかみにした。 監督はほぼ無名の若手レイナルド・マーカス・グリーンが務めたが、名演出と堅実なまとめぶりが光る。 臨場感のあるテニスシーンも好評。ワーナーの「配信重視」路線米国では劇場公開と同時にネット配信された。 配給会社ワーナーが自社の配信サービス「HBOマックス」の加入者を増やすため、 2021年のすべての映画を「ネット同時公開」としたためだ。 この方針をめぐっては、映画界から強い反発が出た。 このため、本作は「親劇場派(反ネット配信業者派)」の票の受け皿としてやや説得力に欠ける面があった。【あらすじ】米国ロサンゼルス近郊の貧困地区コンプトンで暮らすリチャードはある日、 テレビで女子テニス選手が巨額の賞金を受け取るのを見て、 自分たちも娘をもうけ、彼女たちをプロテニス選手に育てることを決意する。 独自の教育論に基づく約80ページの「プラン(計画書)」を作成。 そのプランに基づいて夫婦で娘たちにテニスを教え始める。予告編→ インタビュー付き予告→ 作品一覧(wiki)→ 【配信:アマゾン】 予告編→ インタビュー付き予告→ 作品一覧(wiki)→ <受賞スピーチ↓> |
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主演女優賞 |
ジェシカ・チャステイン
「タミー・フェイの瞳」 ![]() 3度目のノミネートにして初のオスカー獲得。過去に「ヘルプ」(2011年)で助演に、「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)で主演女優賞にノミネートされた。 テレビで派手な布教活動を展開した実在の著名伝道師タミー・フェイを演じた。自らプロデューサーも務めた。 自分らしさをすっかり消し去り、別人に成りきる演技。 容姿、声、しぐさ、雰囲気、歌いぶり、ミネソタ訛りのしゃべり方に至るまで、米国民によく知られる個性的な人物像を見事に再現させた。 配給会社サーチライトの巧みな宣伝活動と、自らのキャンペーン活動が功を奏し、前哨戦で競り合ったニコール・キッドマンら他候補を抑えた。 44歳。父親は消防士。 【説明→】 予告編→ プレビュー→ 作品一覧(wiki)→ <受賞スピーチ↓> |
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助演男優賞 |
トロイ・コッツァー
「コーダ あいのうた」 ![]() ろう者の俳優としては2人目のオスカー受賞。1人目は本作で共演した女優マーリー・マトリンだった。男優としては初。 情熱的でやや破天荒なろう者の父親役をコミカルに演じた。 作品の中で最も笑わせ、泣かせる存在。 手話が分からない人にも喜怒哀楽をしっかりと豊かに伝える迫真の演技が、多数の観客の心をつかんだ。 今回の「コーダ旋風」の最大の立役者。助演賞争いの前哨戦の中盤までは「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のコディ・スミット・マクフィーの独走を許していたが、終盤のSAGアワード(全米俳優組合賞)で大勝利。 このときの手話によるエネルギッシュで濃密なスピーチが反響を呼び、さらに支持が広がった。その猛烈な勢いが、作品賞レースにも飛び火した。 53歳。生活費に苦慮しながらも、俳優業をやめなかった努力の人。 【説明→】 【作品紹介→】 予告編(トロイ・コッツァー版)→ 作品一覧(wiki)→ <受賞スピーチ↓> |
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助演女優賞 |
アリアナ・デボーズ
「ウエスト・サイド・ストーリー」 ![]() 1961年のオリジナル版で同じ役を演じたリタ・モレノに続く二代での受賞。 優れたキャスト陣の中でもひときわ輝く存在感。圧巻のダンスシーンは映画で最大の見せ場の一つとなり、挿入歌「アメリカ」の伝説を新しいステージへと引き上げた。 希望から悲しみへの感情の移ろいを見事に表現するとともに、本作のテーマの一つである「女性のたくましさ」を体現した。 31歳。これまでは主に舞台で活躍。本作が本格的な映画デビューとなった。 性的少数派(クィア)を公表している有色人種の女性として初めての受賞という。アフロ・ラテン系としても貴重な勝利となった。 【作品紹介→】 予告編(デボーズ版)→ 作品一覧(英語wiki)→ <受賞スピーチ↓> |
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脚本賞 |
「ベルファスト」
![]() 【配信:アマゾン】 (脚本家:ケネス・ブラナー) 作品一覧(wiki)→ キリスト教の宗派間闘争で荒れる北アイルランドを舞台に、日常を生き抜こうとする一般家族を描く。 9歳の少年を主人公に、両親、祖父母が織りなす3世代ファミリーの物語。ノスタルジックな白黒映像作(一部カラー)。 北アイルランド出身のケネス・ブラナー監督が、自らの少年期に基づいて脚本を書いた。 コロナ禍で自宅にこもっている間に執筆したという。 無邪気な子供の目線で身の回りの出来事をとらえつつ、大人たちの想いや苦悩も織り込み、普遍性の高いシナリオとなっている。とりわけ祖父母のさりげないセリフに重みがあり、胸を打つ。 ケネス・ブラナーは今回、脚本賞に加えて、作品賞、監督賞(2度目)にもノミネート。 過去には主演男優賞、助演男優賞、脚色賞、短編映画賞にもノミネートされたことから、「累計7つの異なる部門でノミネート」という新記録をつくった。 受賞は今回が初めて。 【作品紹介→】 |
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脚色賞 |
「コーダ あいのうた」
![]() (脚本家:シアン・ヘダー) 作品一覧(IMDB)→ フランス映画「エール!」(2015年)のリメイク。 女性監督シアン・ヘダーが自ら脚本を書き、受賞を果たした。 原作では主人公一家は酪農家という設定だったが、漁師に変更。 大まかなストーリーの流れを踏襲しながらも、細部をより丁寧に描き、完成度の高いシナリオとなった。 人間味あふれる人物像の描写や、手話と口頭での会話のかけあいも見事。 【作品紹介→】 |
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国際映画賞 |
「ドライブ・マイ・カー」
【日本】 ![]() (濱口竜介監督) 日本映画として2009年の「おくりびと」以来13年ぶりの受賞。通算5作目。(過去の日本映画の受賞作→) 作品賞、監督賞、脚色賞の主要3部門にもノミネートされており、国際映画賞での受賞は確実視されていた。 妻を亡くし、喪失心を抱える男の物語。同じく過去の傷を背負う若い女性運転手との友情ストーリーでもある。 コロナ禍で身近な人を失った世界の人たちの心をつかんだ。 アップテンポなコミック映画やアクション映画がハリウッドを席巻するなか、 静かにじっくりと、かつ深みのある言葉で伝える作風が称賛された。 仏カンヌ国際映画祭での脚本賞を皮切りに、英国アカデミー賞など海外の賞を次々と制覇した。 同じく2021年公開の濱口映画「偶然と想像」はベルリン国際映画祭の審査員グランプリに輝いており、世界の賞レースを席巻することとなった。 濱口監督は43歳。東日本大震災のドキュメンタリー映画を自主制作で3本撮るなど社会派として活動してきた。神戸の映画講座の一環として製作した「ハッピーアワー」(2015年)は、海外の映画賞を獲得した。(濱口監督のプロフィール→) 本作は、「寝ても覚めても」(2018年)に続く商業映画2本目。 【作品の紹介→】 【受賞歴→】 <受賞スピーチ↓> 予告編→ 【動画配信(アマゾン)→】 |
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長編アニメ賞 |
「ミラベルと魔法だらけの家」
(ディズニー) ![]() ディズニーの60作目の長編アニメ。傑作「ズートピア」の監督コンビによるミュージカル。米ミュージカル界の第一人者・リン・マニュエル・ミランダが音楽を手掛けた。 ディズニーらしい映像の質の高さ。本格ミュージカルとしての良質さも評価された。 【説明→】 吹替版(Amazon)→ 字幕版(Amazon)→ <予告編↓> (公開:2021年11月26日) |
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「ノマドランド」が作品賞を受賞しました。中国出身の若手女性監督による低予算の小規模作品ながら、現代アメリカの移動労働者(ノマド)の姿を美しい映像と詩的な語り口で描き、高い評価を得ました。
作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、アニメ賞 、脚本賞、脚色賞、国際映画賞
2021年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 |
「ノマドランド」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:クロエ・ジャオ アメリカの雄大な原風景を背景に、 季節労働者たちの心のひだを見事に映し出した詩情的な作品。 コロナウイルス感染拡大で孤立感や喪失感が深まるなか、 人と人とのつながり、亡き伴侶への想い、自然との一体感を伝える静かな物語が、共感を呼んだ。 カメラクルーが半年間にわたって米国の田舎を転々としながら、 撮影を行った。 荒野、砂漠、森林、峡谷に主人公らが溶け込む様子を美しい映像で伝える。 過去数年のオスカー作品賞争いは、有力2作品による接戦が多かった。 しかし、本年度は、ノマドランドが前哨戦の序盤から独走を続け、 予想通りの受賞となった。 (公開:2021年3月26日) 説明ページ→ 字幕版(Amazon)→ 吹替版(Amazon)→ <受賞スピーチ▼> <予告編▼> |
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監督賞 |
クロエ・ジャオ
「ノマドランド」 ![]() 女性として史上2人目の監督賞。2010年のキャスリン・ビグロー(ハート・ロッカー)以来、11年ぶり。 1982年北京生まれの中国籍。 アメリカで映画を学び、そのまま米国に住みついた。 本作が長編3作目。38歳。 前年のポン・ジュノ監督(韓国人、パラサイト)に続いて、2年連続のアジア人の監督賞受賞。 前々年はメキシコ人のアルフォンソ・キュアロンが獲得しており、 3年連続の外国人の受賞となった。 作品一覧→ ![]() 作品の特別映像→ レビューや過去作の紹介動画(シネコト)→ 受賞スピーチ→ |
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主演男優賞 |
アンソニー・ホプキンス
「ファーザー」 ![]() 83歳での栄冠。アカデミー賞の最高齢受賞の記録を塗り替えた。 1992年に「羊たちの沈黙」で同じ部門を受賞して以来29年ぶり2度目。 ノミネートは、助演部門を含めると今回で6度目だった。 アルツハイマーの高齢者を演じた。 自らの存在が足元から崩れる恐怖や怒り、葛藤といった複雑な感情を見事に表現した。 長いキャリアの中でも最高級と称賛された。 当初は、大腸がんで亡くなったチャドウィック・ボーズマンが最有力と予想されていたが、 賞レース終盤でホプキンスが英国アカデミー賞を獲るなど、追い上げた。 英国人。シェークスピア劇の出身。 作品一覧→ ![]() 1992年の受賞スピーチ→ <受賞スピーチ↓> |
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主演女優賞 |
フランシス・マクドーマンド
「ノマドランド」 ![]() 1997年「ファーゴ」、2018年「スリー・ビルホード」に続いて、3度目の受賞。 メリル・ストリープ、イングリッド・バーグマンら映画史に残る大御所たちに並んだ。 「主演」部門だけでの3度受賞となると、 4回のキャサリン・ヘプバーンと、3回のダニエル・デイ・ルイス(男優)に続く3人目の快挙。 本作では、物静かで地味な役柄を、説得力あふれるリアル感で演じた。 表情やしぐさによる繊細な演技が絶賛された。 共同プロデューサーとして作品賞も手にした。 原作となる本を読んで感銘を受け、 仲間とともに映画化権を取得。 ほとんど無名だった若手監督(クロエ・ジャオ)を指名し、プロジェクトを大成功へと導いた。 作品一覧→ ![]() 本編映像→ 受賞スピーチ→ |
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助演男優賞 |
ダニエル・カルーヤ
「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」 ![]() 「ゲット・アウト」(2018年)での主演男優賞ノミネート以来2度目の候補入りにして初のオスカー獲得となった。 黒人運動の指導者フレッド・ハンプトンを演じた。 スピーチ場面などでの言葉の説得力や、本人が乗り移ったかのようなカリスマ性は圧巻。 静かなシーンでもしっかりと魅せ、表現力の幅広さを証明した。 他のキャストとともに、 演技で魅了する秀作を実現。 なぜか「主演」のスタンフィールドまで、一緒に「助演」賞に一緒にノミネートされるというオマケもついた。 作品一覧→ ![]() 動画(スピーチのシーン)→ レビュー動画(シネコト)→ 受賞スピーチ→ |
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助演女優賞 |
ユン・ヨジョン
「ミナリ」 ![]() 韓国映画界の発展を長年にわたって引っ張ってきた大物女優。 本作では、破天荒なおばあちゃん役を演じた。 韓国語にブロークン英語を交えたコミカルな芝居。 顔の表情やしぐさも含めて、超ベテランならではの名演で笑いと涙を誘った。 韓国人として俳優部門での初受賞。 前年のポン・ジュノ監督(パラサイト)に続く韓国映画界の栄冠。 アジア人の俳優部門の受賞は、1985年にハイン・ニョール(カンボジア人)が「キリング・フィールド」で助演男優賞を受賞して以来、36年ぶり。 授賞式でのスピーチも好評だった。 作品一覧→ ![]() 映画のシーン→ 受賞スピーチ→ |
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長編アニメ賞 |
「ソウルフル・ワールド」
(ピクサー) ![]() ピクサーの歴史の残る傑作の一つと称賛された。 事故で命をおとし、ソウル(魂)になった男性が主人公。 彼は音楽教師で、長年の夢だった音楽家としての演奏デビューのチャンスが目前に迫っていた。 現世に戻る冒険の中で、生命と向き合う。 コロナの影響で劇場公開されなかった。 (公開:2020年12月25日、ディズニープラス配信) 予告編→ 字幕版(Amazon)→ 吹替版(Amazon)→ 動画配信(ディズニープラス)→ 受賞スピーチ→ レビュー動画(ツッチ)→ |
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脚本賞 |
「プロミシング・ヤング・ウーマン」
(脚本家:エメラルド・フェネル) ![]() 受賞スピーチ→ レビューと脚本解説(シネコト)→ |
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脚色賞 |
「ファーザー」
(脚本家:クリストファー・ハンプトン、フロリアン・ゼレール) ![]() 受賞スピーチ→ 解説動画(シネコト)→ |
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国際映画賞 |
「アナザーラウンド」 (デンマーク) ![]() ※デンマークを代表するトマス・ヴィンターベア監督の作品。 酒の魔力にのめり込む男たちの物語。 主人公の高校教師が、同僚3人と「アルコール摂取によって人生を劇的に良くする」という理論の実践を試みる。 すると、冷え切った家族関係が改善し、授業も絶好調になった。男たちはさらなる効果を求め、強い酒に手を出す。 日本からは「朝が来る」(河瀬直美監督)が出品されたが、ノミネート候補作品(ショートリスト)に入らなかった。 (公開:2021年9月3日) 予告編→ 受賞スピーチ→ 町山ラジオ解説→ |
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2020年の全部門の一覧は特集ページ→へ。
韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が作品賞を受賞。英語以外の映画として史上初の快挙となりました。監督賞や脚本賞なども獲り、最多4冠に輝きました。
2020年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 |
「パラサイト 半地下の家族」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ポン・ジュノ 韓国映画としてはもちろん、英語以外の映画として史上初の作品賞に輝いた。まさに歴史的な快挙だった。 「半地下住宅」という劣悪な生活環境で暮らす貧しい家族が主人公。 貧富の格差などがテーマ。ドラマ、コメディ、サスペンス、風刺、ホラー、悲劇、社会への問題提起など、 あらゆる要素がダイナミックに交錯する傑作との称賛を浴びた。 ポン・ジュノ監督は「母なる証明」「殺人の追憶」が世界で絶賛され、映画評論家や映画通の間では神的な存在ではあった。しかし、一般の米国人は知られておらず、当初は、本作の作品賞獲得を予想する声は少なかった。 アメリカ人は業界関係者であっても字幕で映画を見ることにそれほど慣れていない。字幕映画という点はやはり不利。しかし、芸術性だけでなく、シンプルな娯楽性という点において傑出した本作は、エンタメ映画として幅広い層から熱烈な支持を得ることに成功した。 終盤にはハリウッドの業界人の間でも応援団的な動きが出てきた。 過去数年で海外のアカデミー会員(日本でいえば北野武、是枝裕和)が増えたことも追い風になったようだ。 この後、韓国音楽グループ「BTS」、韓国ドラマ「イカゲーム」などが世界を席巻し、コンテンツ大国としての存在感を発揮することとなった。 (公開:2020年1月10日) 説明ページ→ 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 授賞式の発表の瞬間(動画)→ |
※歴代の受賞作(作品賞)→ |
監督賞 |
ポン・ジュノ
「パラサイト 半地下の家族」 韓国人として初の監督賞。アジア人としてはアン・リー監督(台湾)以来、2人目。 強烈なオリジナリティにあふれる作品をつくったことが、 大絶賛された。 オスカー前哨戦の授賞式や受賞スピーチでの落ち着きと愛嬌を備えた振る舞いも好感された。 作品一覧→ 受賞スピーチ(動画)と日本語訳→ |
歴代の受賞者(監督賞)→ |
主演男優賞 |
ホアキン・フェニックス
「ジョーカー」 初のオスカー獲得。 過去に「グラディエーター」「ウォーク・ザ・ライン」「ザ・マスター」でノミネートされた。 作品「ジョーカー」に対しては好き嫌いがはっきり分かれたが、フェニックスの演技に対しては賛美一色となった。 作品一覧→ ![]() |
※歴代の主演男優賞→ |
主演女優賞 |
レネー・ゼルウィガー
「ジュディ 虹の彼方に」 伝説のミュージカル女優を見事に演じきった。 しばらくトップ女優の座とは縁遠かったが、見事なカムバックを果たした。2004年に「コールド・マウンテン」で助演女優賞を受賞して以来、 16年ぶり2度目のオスカー獲得となった。 17歳にして一躍スターダムに駆け上がるものの、47歳の死まで波乱の女優人生を送ったジュディの最期の日々と、起死回生を懸けたラスト・ステージの裏側を描く。ゼルウィガーは、圧倒的なパフォーマンスで全曲を自ら歌い上げた。さらに、女性としての苦悩も表現した。 作品一覧→ ![]() レッドカーペット→ 受賞発表とスピーチ(動画)→ |
※歴代の主演女優賞→ |
助演男優賞 |
ブラッド・ピット
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」 55歳にしてキャリア最高の演技を見せた。 主演のレオナルド・ディカプリオも名演だったが、 強烈な存在感とカッコよさで老若男女を絶句させたブラピには、 絶賛の嵐が沸き起こった。 過去にプロデューサーとして「それでも夜は明ける」で作品賞を受賞。 役者としては4度目のノミネートで初の受賞となった。 作品一覧→ ![]() |
※歴代の助演男優賞→ |
助演女優賞 |
ローラ・ダーン
「マリッジ・ストーリー」 離婚専門の攻撃的な弁護士を、リアルに演じた。 モデルとなったセレブご用達の離婚弁護士ローラ・ワッサーの百戦錬磨ぶりを見事に表現した。 とりわけ最初の法律相談や法廷でのシーンの演技は極めて評判が良い。 俳優の組合活動にも熱心で、業界内部での信頼が厚い。 作品一覧→ ![]() |
※歴代の助演女優賞→ |
長編アニメ賞 |
「トイ・ストーリー4」
※ロッテン・トマトで「97」という驚異の高スコアを獲得。 前作の「トイ・ストーリー3」ほどではないが、やはりピクサーの歴史に名を残す秀作として称賛された。 アニー賞で「クロース」に敗れた。 ゴールデングローブ賞では「ミッシング・リンク」に敗北を喫した。 それでもPGA(プロデューサー組合賞)などの前哨戦で勝利した。 同じディズニーの「アナと雪の女王2」がノミネートから漏れたことで、ディズニー陣営も危機感を抱き、 必死に賞獲りに乗り出した。 字幕版(Amazon)→ 吹替版(Amazon)→ |
※歴代のアニメ賞→ |
国際映画賞(外国語映画賞) |
「パラサイト 半地下の家族」
(韓国) 公開:2020年1月10日 予告編→ 字幕版(Amazon)→ 吹替版(Amazon)→ ![]() |
※歴代の国際映画賞→ |
脚本賞 |
「パラサイト 半地下の家族」
ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン |
※歴代の脚本賞→ |
脚色賞 | 「ジョジョ・ラビット」
タイカ・ワイティティ |
※歴代の脚色賞→ |
衣装賞 | 「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
(ジャクリーン・デュラン) 解説動画(英語)→ |
※歴代の衣装賞→ |
| 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 |
「グリーンブック」が、最有力候補と見られていた「ROMA/ローマ」を破り、作品賞を獲得しました。日本で超大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディ」は主演男優賞など最多4部門を獲得しました。
2019年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「グリーンブック」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ピーター・ファレリー 黒人ピアニストと白人運転手の友情を描く。 実話に基づいた物語。心温まる内容。 時は1962年。 既にニューヨークを拠点に音楽界で大成功を収めていたシャーリーが、人種差別が悪質な米国南部へと演奏ツアーに向かう。 その専属運転手として、イタリア系の用心棒トニーが雇われる。 エリート教育を受けてきた知性派の黒人シャーリーと、 労働者階級の白人トニーのやり取りがコミカルに描写されている。 トニーの実の息子が50年の時を経て脚本を書いた。 ピーター・ファレリー監督は、「メリーに首ったけ」などコメディー映画で知られる。 いわゆるロードムービーであるとともに、クリスマス映画でもある。 ネットフリックスの白黒映画「ROMA/ローマ」との一騎打ちの展開。 事前予想ではローマが有力視されていた。 しかし、大衆的な面白味にあふれたグリーンブックが栄冠を手にした。 (公開:2019年3月1日) 説明ページ→ <受賞スピーチ▼> <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ |
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監督賞 | アルフォンソ・キュアロン 「ROMA/ローマ」 ※メキシコ人。 |
歴代の受賞者→ |
主演男優賞 | ラミ・マレック 「ボヘミアン・ラプソディ」 クイーンのフレディ・マーキュリーを演じた。アラブ人で初の主演男優賞となった。 作品一覧→ ![]() 受賞スピーチ→ |
歴代の受賞者→ |
主演女優賞 | オリビア・コールマン 「女王陛下のお気に入り」 受賞スピーチ→ |
歴代の受賞者→ |
助演男優賞 | マハーシャラ・アリ 「グリーンブック」 |
歴代の受賞者→ |
助演女優賞 | レジーナ・キング 「ビール・ストリートの恋人たち」 |
歴代の受賞者→ |
長編アニメ賞 | 「スパイダーマン:スパイダーバース」 (公開:2019年3月8日) 予告編(字幕版、Amazon)→ 予告編(吹替版、Amazon)→ |
歴代の受賞作→ |
外国語映画賞 | 「ROMA/ローマ」 (メキシコ) (公開:2018年12月からNetflixで配信) 予告編→ Netflix→ アルフォンソ・キュアロン監督が、自身の少年期を投影して製作したNetflixオリジナルのヒューマンドラマ。中産階級の家で家政婦をする女性を通して、政治的混乱の渦中にあった1970年初頭のメキシコでの1年を描く。アカデミー賞では、外国語映画賞のほか、監督賞など計3部門を受賞した。主演は本作で女優デビューを果たしたヤリッツァ・アパリシオ。 |
歴代の受賞作→ |
脚本賞 | 「グリーンブック」 ピーター・ファレリー ニック・バレロンガ ブライアン・クリー 予告編→ |
歴代の受賞作→ |
脚色賞 | 「ブラック・クランズマン」 スパイク・リー デヴィッド・ラビノウィッツ ケヴィン・ウィルモット チャーリー・ワクテル 受賞スピーチ(動画)→ |
歴代の受賞作→ |
衣装デザイン賞 | 「ブラックパンサー」 (ルース・E・カーター) 解説動画(英語)→ |
歴代の受賞作→ |
長編ドキュメンタリー賞 | 「Free Solo(原題)」 (監督:エリザベス・チャイ・バサヒリー、ジミー・チン) 予告編(字幕なし)→ |
歴代の受賞作→ |
「シェイプ・オブ・ウォーター」と「スリー・ビルホード」の一騎打ちとなりました。前哨戦で熾烈な争いを展開していた2作品。オスカーでは、ダークな社会ドラマである「スリー・ビルホード」でなく、ゴージャスなファンタジー「シェイプ・オブ・ウォーター」に軍配が上がりました。
2018年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 |
「シェイプ・オブ・ウォーター」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ギレルモ・デル・トロ 半魚人と女性のラブロマンス映画。ファンタジーもの。美しいおとぎ話である。 「怪獣もの映画として初のオスカー作品賞」とも言われる。 ヒレやウロコのある生々しい半魚人。最初は恐ろしい怪人に見えるが、だんだんとイケメンに見えてくる。 ヒロインの女性は発声に障害があり、口がきけない。簡単な手話や音楽で、半魚人と心を通わせていく。 監督は、メキシコ人のギレルモ・デル・トロ(当時53歳)。 怪獣や特撮を愛するオタク系であり、親日派。 特殊メイクの助手として映画界に入った。 「パンズ・ラビリンス」(2006年)でアカデミー賞3部門を獲得した。 前哨戦では、社会派ドラマ「スリー・ビルボード」と勝利を二分していた。 オスカーでは、華やかさや視覚的な芸術性で上回るシェイプ・オブ・ウォーターが勝利した。 (日本公開:2018年3月1日) 説明ページ→ <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ |
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長編アニメ賞 | 「リメンバー・ミー」 |
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監督賞 | ギレルモ・デル・トロ (シェイプ・オブ・ウォーター) |
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主演男優賞 | ゲイリー・オールドマン (ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男) |
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主演女優賞 | フランシス・マクドーマンド 「スリー・ビルボード」 受賞スピーチ→ |
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助演男優賞 | サム・ロックウェル (スリー・ビルボード) |
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助演女優賞 | アリソン・ジャニー (アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル) |
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脚本賞 |
「ゲット・アウト」 (ジョーダン・ピール) 予告編(Amazon)→ |
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脚色賞 | 「君の名前で僕を呼んで」
(ジェームズ・アイボリー) 予告編(Amazon)→ |
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外国語映画賞 | 「ナチュラルウーマン」 (チリ) 予告編(Amazonビデオ字幕版)→ |
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長編ドキュメンタリー賞 | 「イカロス」 Netflix→ 予告編→ |
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衣装デザイン賞 | 「ファントム・スレッド」 (マーク・ブリッジス) 予告編(Amazon)→ |
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メイクアップ&ヘアスタイリング賞 | 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」 (辻一弘、デヴィッド・マリノフスキ、ルーシー・シビック) |
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ハリウッド的な華々しさに満ちた傑作ミュージカル「ラ・ラ・ランド」が作品賞の最有力候補と見られていました。 ただ、黒人男性の半生記「ムーンライト」も、映画評論家から絶大な支持を受けており、勢いがありました。 結果は、骨太で時代性を濃く反映させたムーンライトの勝利となりました。ムーンライトの製作費は1.5億ドルで、ラ・ラ・ランドの20分の1。 製作・配給は、新興の独立系「A24」。米国映画界のダイナミズムを示す歴史的な勝利となりました。
2017年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「ムーンライト」
![]() 【配信:配信:アマゾン 監督:バリー・ジェンキンズ 製作費1.5億円という小規模予算。 正真正銘のインディー映画である。 主人公はゲイの黒人。 いじめ、差別、貧困に直面しながら生きる姿が、静かな語り口で描かれる。 子供時代、高校時代、大人時代の3部に分かれている。 美しい映像と音楽とともに、主人公の内面へ引き込む力が、高い評価を得た。 黒人のバリー・ジェンキンス監督は37歳。本作が長編2作目となった。 登場人物もほとんどが黒人。 このうち、麻薬の売人を演じるマハーシャラ・アリが助演男優賞を受賞した。 配給は、質の高いインディー映画で有名なアメリカの「A24」。 製作は、ブラッド・ピットが経営する「プランB」とA24が共同で手がけた。 事前予想では、ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」が最有力との声が圧倒的に多かった。 とはいえ、批評家からの評価は「ムーンライト」のほうが、やや上だった。 両作品とも、歴史に残る傑作として語り継がれている。 <受賞発表のハプニング映像> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 宇多丸の解説→ 説明ページ→ |
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長編アニメ賞 | 「ズートピア」 予告編(Amazonビデオ字幕版)→ 吹替版(Amazonビデオ)→ |
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監督賞 | デミアン・チャゼル (ラ・ラ・ランド) オリジナルの曲と脚本で、廃れつつあった古典ミュージカルのスタイルを復活させた。 学生時代から構想を温めていたという。当時32歳。史上最年少の受賞となった。 |
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主演男優賞 | ケイシー・アフレック (マンチェスター・バイ・ザ・シー) |
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主演女優賞 | エマ・ストーン 「ラ・ラ・ランド」 作品一覧→ ![]() 受賞スピーチ→ |
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助演男優賞 | マハーシャラ・アリ (ムーンライト) |
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助演女優賞 | ビオラ・デイビス (フェンス) |
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脚本賞 | 「マンチェスター・バイ・ザ・シー」 (ケネス・ロナーガン) |
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脚色賞 | 「ムーンライト」 (バリー・ジェンキンス、タレル・アルビン・マクレイニー) |
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外国語映画賞 | 「セールスマン」 (イラン) 予告編(Amazonビデオ字幕版)→ |
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長編ドキュメンタリー賞 | 「O.J.:メイド・イン・アメリカ」 (監督:エズラ・エデルマン) 予告編(字幕なし)→ |
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衣装デザイン賞 | 「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」 (コリーン・アトウッド) Netflix→ |
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豊作の年でした。作品賞は「スポットライト」「レヴェナント」「マネー・ショート」による三つ巴の争い。さらに「マッドマックス」「オデッセイ」も強力な候補でした。
前哨戦のPGAではマネー・ショートが勝ち、ゴールデングローブ賞ではレヴェナントが勝利。
有力紙LAタイムズはマネー・ショートを予想していました。
結局、大混戦を制したのは「スポットライト」でした。社会的なインパクトの大きさがアカデミー会員に幅広く評価されたと見られます。脚本賞とのわずか2部門での受賞だったことが、この年の豊作ぶりを物語っています。
そして何といってもレオナルド・ディカプリオ(レヴェナント)がついにオスカーを獲得した年として記憶されています。
2016年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「スポットライト 世紀のスクープ」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:トーマス・マッカーシー 米国のキリスト教会の聖職者による大規模な性的虐待を描いた。 事件をスクープした新聞社が舞台。 新聞記者たちの粘り強さが心を打つ。 この年のオスカーは秀作ぞろいだった。「マネー・ショート」や「レヴェナント」も有力視されていた。 現実の社会問題に対して、奇をてらずにまっすぐに取り組んだ「スポットライト」に軍配が上がった。 説明ページ→ <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ |
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監督賞 | アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ (レヴェナント 蘇えりし者) |
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主演男優賞 | レオナルド・ディカプリオ (レヴェナント 蘇えりし者) |
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主演女優賞 | ブリー・ラーソン 「ルーム」 作品一覧→ ![]() 受賞スピーチ→ |
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助演男優賞 | マーク・ライランス (ブリッジ・オブ・スパイ) |
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助演女優賞 | アリシア・ヴィキャンデル (リリーのすべて) |
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脚本賞 | スポットライト 世紀のスクープ (ジョシュ・シンガー、トム・マッカーシー) |
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脚色賞 | マネー・ショート 華麗なる大逆転 (チャールズ・ランドルフ、アダム・マッケイ) |
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衣装デザイン賞 | マッドマックス 怒りのデス・ロード (ジェニー・ビーバン) |
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アニメ映画賞(長編) | 「インサイド・ヘッド」 予告編(Amazonビデオ字幕版)→ Amazonビデオ吹替版→ |
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外国語映画賞 | 「サウルの息子」 (ハンガリー) 予告編(Amazonビデオ字幕版)→ |
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最多9部門でノミネートされたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督のダークコメディー「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」が作品賞を獲得した。
前年の「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロンに続くメキシコ出身監督の躍進となった。
バードマンに継ぐ有力候補と見られていた「6才のボクが、大人になるまで」は、助演女優賞のみにとどまった。同じキャストが演じる家族の日常を12年間にわたって撮り重ねた秀作で、映画評論家の評価ではバードマンを上回っていた。
長編アニ賞にノミネートされたスタジオジブリの高畑勲監督(当時79歳)の「かぐや姫の物語」は受賞を逃した。
2015年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
![]() 【配信:アマゾン 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 「バードマン」対「6才のボクが、大人になるまで」の一騎打ちと見られた。 過去の名作へのオマージュやハリウッドの内輪ネタがふんだんに盛り込まれたバードマンが勝利した。 バードマンは作り手の遊び心と挑戦があふれた実験的な作品。物語も、映像も、一筋縄ではいかない。 カット割りがなく、全編が一場面のような長回しの撮影。 そうかと思うと突然怪獣が出たり空を飛んだりのファンタジー。妄想と現実がない交ぜになっている。 かつて鳥人のヒーロー映画「バードマン」の主演でスターになり、その後落ちぶれた俳優が、ブロードウェーの舞台劇で一発逆転を夢見る。 説明ページ→ <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ |
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監督賞 | アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ (バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)) |
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主演男優賞 | エディ・レッドメイン (博士と彼女のセオリー) |
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主演女優賞 | ジュリアン・ムーア 「アリスのままで」 作品一覧→ ![]() 受賞スピーチ→ |
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助演男優賞 | J・K・シモンズ (セッション) |
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助演女優賞 | パトリシア・アークエット (6才のボクが、大人になるまで。) |
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脚本賞 | バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) (アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、 ニコラス・ヒアコボーネ、アレクサンダー・ディネラリス・Jr、アルマンド・ボー) |
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脚色賞 | イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 (グラハム・ムーア) |
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衣装デザイン賞 | グランド・ブダペスト・ホテル (ウェス・アンダーソン) |
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アニメ映画賞(長編) | 「ベイマックス」 予告編(Amazonビデオ字幕版)→ Amazonビデオ吹替版→ |
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外国語映画賞 | イーダ (ポーランド・デンマーク) |
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「それでも夜は明ける」が作品賞など3部門を受賞した。米国の奴隷制度を題材に、黒人男性の壮絶な体験を映画化した。
スティーブ・マックイーン監督(当時44歳)は、黒人監督として初の作品賞を獲得。
プロデューサーを務めたブラッド・ピット(当時50歳)も初めてオスカーを手にした。
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で主演男優賞候補となり、アカデミー賞4度目のノミネートとなったレオナルド・ディカプリオ(当時39歳)は、またも受賞を果たせなかった。
長編アニメ賞にノミネートされていたジブリの宮崎駿監督(当時73歳)による「風立ちぬ」は受賞を逃した。
短編アニメ賞の候補だった森田修平監督の「九十九」も受賞ならず。
2014年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「それでも夜は明ける」
![]() 【配信:アマゾン 監督:スティーヴ・マックイーン 奴隷制度の冷酷さを、誠実に描いた歴史物語。 奴隷の輸入が禁止された後のアメリカにおいて、 米国内で自由に暮らす黒人を誘拐し、強制的に奴隷にしてしまう事件が多発した。 その被害者の一人の手記に基づく実話である。 監督スティーヴ・マックイーンはアフリカ系イギリス人。 黒人監督として史上初のアカデミー賞作品賞を受賞した。 SF映画の傑作「ゼロ・グラビティ」をおさえ、堂々の受賞。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | アルフォンソ・キュアロン (ゼロ・グラビティ) |
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主演男優賞 | マシュー・マコノヒー (ダラス・バイヤーズクラブ) |
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主演女優賞 | ケイト・ブランシェット 「ブルージャスミン」 作品一覧→ ![]() 受賞スピーチ→ |
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助演男優賞 | ジャレッド・レト (ダラス・バイヤーズクラブ) |
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助演女優賞 | ルピタ・ニョンゴ (それでも夜は明ける) |
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脚本賞 | her/世界でひとつの彼女 (スパイク・ジョーンズ) |
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脚色賞 | それでも夜は明ける (ジョン・リドリー) |
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衣装デザイン賞 | 華麗なるギャツビー (キャサリン・マーティン) |
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アニメ映画賞(長編) | 「アナと雪の女王」 予告編(Amazonビデオ字幕版)→ Amazonビデオ吹替版→ |
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外国語映画賞 | 追憶のローマ (イタリア) |
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下馬評では、リンカーン大統領の伝記映画「リンカーン」(スピルバーグ監督)が最有力と予想されていた。授賞式で作品賞の発表者を務めたのは、現職オバマ大統領のミシェル・オバマ夫人。
ホワイトハウスからのライブ中継で出演だった。奴隷解放宣言を行い、歴史上最も偉大な大統領と評価されているリンカーンの映画が受賞すれば、見事な演出となるところだった。しかし、受賞したのはアルゴだった。
ウサマ・ビンラディン容疑者殺害の真相に迫り、捕虜虐待の場面が波紋を呼んだ「ゼロ・ダーク・サーティ」は音響編集賞にとどまった。
2013年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「アルゴ」
![]() 【配信:アマゾン】 監督:ベン・アフレック 実話をベースにしたサスペンス劇。 1979年に起きたイランの米大使館人質事件で、大使館員6人がイラン国内に取り残された。 CIAは、ハリウッドの映画人が協力して、6人を救出する計画を立てる。 映画のロケハンを装って人命を救おうとする「ハリウッド礼賛」的な側面がある。 これが受賞の決め手となったと見られている。 正体がばれないかスリリングで、ドラマに緊張感がある。 監督賞にノミネートされなかった映画が作品賞を受賞するのは、1990年の「ドライビングMissデイジー」以来。 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 受賞スピーチ→ 説明ページ→ |
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監督賞 | アン・リー (ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日) 台湾出身。「ブロークバック・マウンテン」に続いて2度目の監督賞となった。 本作では、極限状態におかれた人間の想像力に迫った。 |
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主演男優賞 | ダニエル・デイ・ルイス (リンカーン) 3度の主演男優賞の受賞。史上初めて。米映画史に刻まれる名優となった。米国で歴史上最も尊敬されるリンカーン大統領を、深い陰影で演じた。 |
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主演女優賞 | ジェニファー・ローレンス 「世界にひとつのプレイブック」 心のバランスを失った女性を力強く演じた。22歳での受賞。 作品一覧→ ![]() 受賞スピーチ→ |
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助演男優賞 | クリストファー・ヴァルツ (ジャンゴ 繋がれざる者) |
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助演女優賞 | アン・ハサウェイ (レ・ミゼラブル) |
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脚本賞 | ジャンゴ 繋がれざる者 (クエンティン・タランティーノ) |
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脚色賞 | アルゴ (クリス・テリオ) |
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衣装デザイン賞 | アンナ・カレーニナ (ジャクリーン・デュラン) |
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アニメ映画賞(長編) | 「メリダとおそろしの森」 予告編(Amazonビデオ字幕版)→ 吹替版(Amazonビデオ)→ |
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外国語映画賞 | 愛、アムール (オーストリア) |
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10部門で候補だった白黒・無声映画「アーティスト」が、作品、監督、主演男優など主要5部門を制した。無声映画(サイレント映画)の作品賞は第1回の「つばさ」以来、83年ぶり。フランス映画としても初受賞となった。最多11部門ノミネートの3Dファンタジー「ヒューゴの不思議な発明」との対決となったが、ハリウッドや映画草創期への愛に満ちた作風が支持された。
主演女優賞は「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」のメリル・ストリープ(当時62歳)で、助演女優賞を含め3度目のオスカー。「人生はビギナーズ」で助演男優賞のクリストファー・プラマーは82歳で、演技賞の最高齢記録を更新した。
東日本大震災の被災地の宮城県気仙沼市などで撮影され、短編ドキュメンタリー賞候補だった米作品「津波そして桜」は受賞を逃した。
2012年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「アーティスト」
![]() 【配信:アマゾン 監督:ミシェル・アザナビシウス 無声映画。かつ白黒映画。 ハリウッド映画についての映画であり、全般にわたって映画愛が満ちている。 アカデミー会員は大喜び。 3D全盛の時代に、映画様式の原点に戻ったシンプルさが感動を呼んだ。 作品賞、監督賞、主演男優賞など、主要5部門を制した。 1920年代後半から30年代にかけて、無声映画(サイレント)から発声映画(トーキー)への過渡期のハリウッドが舞台となっている。 サイレント時代の終わりとともに、落ちぶれてゆくスター男優が主人公。 人気上昇中の新人女優と心を寄せ合う。 監督は45歳のフランス人、ミシェル・アザナビシウス。 出演者もフランス人たち。 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 受賞スピーチ→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ミシェル・アザナヴィシウス (アーティスト) ハリウッド映画界の愛や葛藤を、無声(サイレント)の白黒映像で描いた。 監督は当時45歳。カラー映画で育った世代である。製作にあたり、 数百本の無声映画を研究した。チャールズ・チャプリンの「街の灯」(1931年)からはメロドラマでありながらユーモアもある二面性を取り込んだ。 脚本執筆時、こういう映画を撮ることに価値があるのか自信が揺らいだこともあったという。 |
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主演男優賞 | ジャン・デュジャルダン (アーティスト) |
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主演女優賞 | メリル・ストリープ 「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」 作品一覧→ ![]() 受賞スピーチ→ |
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助演男優賞 | クリストファー・プラマー (人生はビギナーズ) |
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助演女優賞 | オクタヴィア・スペンサー (ヘルプ~心がつなぐストーリー~) |
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脚本賞 | ミッドナイト・イン・パリ (ウッディ・アレン) |
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脚色賞 | ファミリー・ツリー (アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ) |
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アニメ映画賞(長編) | 「ランゴ」 予告編(Amazonビデオ字幕版)→ 吹替版(Amazonビデオ)→ |
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外国語映画賞 | 別離 (イラン) |
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吃音(きつおん)のジョージ6世の王位即位を描いた「英国王のスピーチ」が4部門を受賞した。作品賞、監督賞(トム・フーパー)、主演男優賞(コリン・ファース)、脚本賞という主要部門のみでの4冠だった。 一方、「ソーシャル・ネットワーク」は脚色賞、編集賞、作曲賞の3部門での受賞となった。Facebook(フェイスブック)創設者を描いた傑作だったが、作品賞と監督賞を逃した。 また、俳優・渡辺謙(当時51歳)が出演したSF大作「インセプション」(クリストファー・ノーラン監督)は、撮影賞など技術系4部門でオスカーを獲得。英国王のスピーチと並ぶ最多タイの受賞数となった。ただし、撮影賞などの技術系部門のみだった。
2011年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「英国王のスピーチ」
![]() 【配信:アマゾン 監督:トム・フーパー 内気で演説が苦手なイギリス国王が、歴史を左右するような重大なスピーチに臨むまでの実話を描いた。 感動的な歴史もの。 この年の作品賞争いは、本作と「ソーシャル・ネットワーク」との一騎打ちとなった。 ソーシャル・ネットワークはFacebookの創業をテーマにした意欲作。 新しい時代の空気をつかみ、斬新な映像で表現。年月を経ても色あせない普遍的な娯楽映画として、 その後も讃えられ続けた。 21世紀で最高の名作の一つとも言われる。 一方で、「英国王のスピーチ」は、それほど高い評価は得ていない。 この年の賞レースでも前哨戦の中盤まではソーシャル・ネットワークが優勢だった。 しかし、オスカー直前にタイムリーに現れた英国王のスピーチが猛追。 結局、王室ものゆえの格式が漂い、シニア層の共感も得やすい英国王のスピーチに軍配が上がった。 当時、絶頂期にあった大物プロデューサー、ハービー・ワインスタイン(後にセクハラ事件で業界追放)による巧妙なオスカー・キャンペーンも、英国王のスピーチに有利に働いたようだ。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | トム・フーパー (英国王のスピーチ) エリザベス2世の父であるジョージ6世が主人公。子供のころから吃(きつ)音に悩んでいたジョージ6世は、禁じられた恋のために王位を捨てた兄エドワードに代わって国王になる。そして、ナチス・ドイツとの開戦を前に国民の心を1つにするためのスピーチを行うことになる。 困難を克服していく王の姿が感動を呼ぶ。 |
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主演男優賞 | コリン・ファース 「英国王のスピーチ」 作品一覧→ ![]() 受賞スピーチ→ |
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主演女優賞 | ナタリー・ポートマン 「ブラック・スワン」 作品一覧→ ![]() 受賞スピーチ→ |
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助演男優賞 | クリスチャン・ベール (ザ・ファイター) |
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助演女優賞 | メリッサ・レオ (ザ・ファイター) |
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脚本賞 | 英国王のスピーチ (デビッド・サイドラー) |
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脚色賞 | ソーシャル・ネットワーク (アーロン・ソーキン) |
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アニメ映画賞(長編) | 「トイ・ストーリー3」 予告編(Amazonビデオ字幕版)→ 吹替版(Amazonビデオ)→ |
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外国語映画賞 | 未来を生きる君たちへ (デンマーク) |
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イラク戦争の爆弾処理兵をリアルに描いた「ハート・ロッカー」が、作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、音響編集賞、録音賞の6冠を獲得した。このうちキャスリン・ビグロー監督が受賞した監督賞は、女性としての史上初めての受賞だった。3D映画に革命を起こし、興行収入の世界記録を塗り替えたSF映画「アバター」は、美術賞、視覚効果賞、撮影賞の3冠だった。
和歌山県太地町のイルカ漁を扱った「ザ・コーヴ」が長編ドキュメンタリー賞を受賞した。
2010年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「ハート・ロッカー」
![]() 【配信:アマゾン 監督:キャスリン・ビグロー 米国の対イラク戦争の最前線で爆弾を処理する兵士たちの人間ドラマ。 いつ命を失ってもおかしくない日々を送る爆弾処理員の緊迫した姿と心理を描く。ドキュメンタリーと間違えそうなリアリティーが話題となった。 キャスリン・ビグロー監督は、女性として初めてとなる監督賞も獲得した。計6冠。 ビグロー監督の元夫であるジェームス・キャメロン監督の超大ヒット作「アバター」との対決が注目された。 前哨戦では、ゴールデン・グローブ賞で「アバター」に敗れた。しかし、より重要度が高いPGA(全米プロデューサー組合賞)とクリティクス・チョイス賞で勝利していた。 ハート・ロッカーは製作費がアバターの約16分1の15億円。世界興行収入も約54分の1の48億円だったが、賞レースではハート・ロッカーに軍配が上がった。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | キャスリン・ビグロー (ハート・ロッカー) |
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主演男優賞 | ジェフ・ブリッジス 「クレイジー・ハート」 作品一覧→ ![]() 受賞スピーチ→ |
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主演女優賞 | サンドラ・ブロック 「しあわせの隠れ場所」 作品一覧→ ![]() 受賞スピーチ→ |
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助演男優賞 | クリストフ・ヴァルツ (イングロリアス・バスターズ) |
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助演女優賞 | モニーク (プレシャス) |
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脚本賞 | ハート・ロッカー (マーク・ボール) |
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脚色賞 | プレシャス (ジェフリー・フレッチャー) |
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アニメ映画賞(長編) | 「カールじいさんの空飛ぶ家」 予告編(Amazonビデオ字幕版)→ 吹替版(Amazonビデオ)→ |
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