1990年代のアカデミー賞の一覧です。主要部門の受賞とノミネート。
年 | 受賞作 | |
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1999年 | 「恋におちたシェイクスピア」 | 詳細▼ |
1998年 | 「タイタニック」 | 詳細▼ |
1997年 | 「イングリッシュ・ペイシェント」 | 詳細▼ |
1996年 | 「ブレイブハート」 | 詳細▼ |
1995年 | 「フォレスト・ガンプ/一期一会」 | 詳細▼ |
1994年 | 「シンドラーのリスト」 | 詳細▼ |
1993年 | 「許されざる者」 | 詳細▼ |
1992年 | 「羊たちの沈黙」 | 詳細▼ |
1991年 | 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」 | 詳細▼ |
1990年 | 「ドライビング Miss デイジー」 | 詳細▼ |
1990年代のオスカーでは、史上最多タイの11部門を受賞した「タイタニック」(1998年作品賞)が有名です。スティーブン・スピルバーグ監督の「シンドラーのリスト」(1994年作品賞)も不朽の名作として評価されています。極めてハイレベルの争いとなったのが、1995年。「フォレスト・ガンプ/一期一会」「ショーシャンクの空に」「パルプ・フィクション」という3つの歴史的傑作が作品賞を競い、前哨戦で連勝していたフォレスト・ガンプが制しました。(アワード編集部)
1990年代は、独立系(インデペンデント)の映画会社が躍進しました。
それまでオスカーといえば、ユニバーサル、パラマウント、ワーナー、20世紀フォックスなどメジャー各社が主要部門を占めていました。
しかし、90年代からはミラマックス、ニューラインなどの独立系会社の受賞やノミネートが増えました。
メジャー作品は高価な特撮の多用や俳優の出演料の高騰などで、製作費が膨らみ続けていました。興行的に失敗すれば会社が傾くほどの金額に上ることさえあり、その結果として、過去のヒット路線を踏襲した作品が増加しました。
一方で、独立系は、出演料の高いスターは使わず、若手監督を積極的に起用し、ヒューマンな味付けのドラマに主眼を置き、高い評価を得ました。
中でも大躍進をしたのが、「ミラマックス」です。1990年代の中盤からアカデミー賞はミラマックス黄金時代に突入しました。 ミラマックスは1981年にニューヨークで設立された新興の映画配給・制作会社。 ハーベイ・ワインスタイン(後に女性暴行罪で服役)が、弟のボブとともに兄弟で創業しました。
ミラマックスはまず、1990年のアカデミー賞で「マイ・レフトフット」で作品賞を含む5部門でノミネート。
このうち、主演男優賞(ダニエル・デイ・ルイス)や助演男優賞を受賞しました。
脳性小児まひの画家の半生を描いた作品賞でした。
また、「セックスと嘘とビデオテープ」も脚本賞にノミネート。
ミラマックスは1993年にディズニーに買収されましたが、その後も独立会社的な経営を続けました。1994年のアカデミー賞では、「ピアノ・レッスン」が主演女優賞(ホリー・ハンター)など3つのオスカーを受賞しました。 さらに、1995年のアカデミー賞では、「パルプ・フィクション」「ブロードウェイと銃弾」などで、22のノミネートを獲得しました。 既存のメジャースタジオ(大手配給会社)を上回り、スタジオ別で第1位のノミネート数でした。 パルプ・フィクションは、クエンティン・タランティーノ監督作品。 タランティーノとワインスタインとのコンビによるオスカー快進撃も、この年からしばらく続きました。
そして1997年、ついに「イングリッシュ・ペイシェント」で作品賞を受賞しました。独立系としては異例の9冠に輝きました。 1997年は、ノミネート時から「秘密と嘘」「シャイン」など独立系の力作が目立ちました。メジャー作品が主要部門で受賞したのは、助演男優賞の「ザ・エージェント」(トライスター)1本だけでした。 話題のSF大作「インデペンデンス・デイ」は視覚効果賞、マドンナ主演の「エビータ」は主題歌賞のみにとどまりました。
ミラマックスは、大手の映画スタジオが実践していた「オスカー・キャンペーン」と呼ばれる集票運動を、大規模化させました。 アカデミー賞の賞獲りに特化した専門のスタッフを集め、宣伝や働きかけるを展開。 投票権を持つアカデミー会員にビデオを配布する「スクリーナー」という手法も採用しました。 つまり、アカデミー賞で勝つための方法を編み出したのです。
参照「なぜオスカーはおもしろいのか? 受賞予想で100倍楽しむ『アカデミー賞』」by メラニー
ミラマックスのすごさを見せつけたのが、1999年のアカデミー賞です。 ラマックスが製作・配給した「恋におちたシェイクスピア」が作品賞を受賞。 事前予想で圧倒的に有利とされた「プライベート・ライアン」を下し、 オスカーの歴史に残る番狂わせ(アップセット)となりました。
この受賞をめぐり、ミラマックスは、米メディアや評論家の批判を浴びました。 同社はアカデミー会員の投票時期に、大々的な広告を業界紙など連日掲載。総額16億円(1500万ドル)ともいわれる巨額キャンペーンを展開しました。 過熱する事前運動は、「オスカーを金で買うのか」といったバッシングを生みました。
ミラマックスの黄金期は、21世紀初頭も続きました。
アカデミー賞の歴史に残る大番狂わせが起きました。
作品賞は、前哨戦で圧勝していた「プライベート・ライアン」(スティーブン・スピルバーグ監督)ではなく、「恋に落ちたシェイクスピア」(ジョン・マッデン監督)が獲りました。
恋に落ちたシェイクスピアは作品賞のほか、脚本賞、主演女優賞、助演女優賞など7部門を制しました。
プライベート・ライアンは、スピルバーグ監督の2度目の監督賞など5部門に輝きました。
1990年以降、作品賞と監督賞は同じ作品受賞する状態が続いていましたが、今回は別の作品が獲りました。
(1999年 | 1998年↓)
1999年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「恋におちたシェイクスピア」
【配信:アマゾン】 監督:ジョン・マッデン スランプに陥った作家シェイクスピアが、男装して接近してきた娘と熱愛し、新境地を開拓するというコミカルなラブストーリー。 男性しか舞台に立てなかった時代に、富豪の娘が男装をして役者になるという独創的な物語になっている。 日本の女性たちからも絶大な支持を得た。 事前予想では、作品賞は「プライベート・ライアン」との声が多かったが、作品賞を獲得。さらに、グウィネス・パルトロウの主演女優賞に、英国の演技派ジュディ・デンチが助演女優賞に輝くなど、7部門を独占。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | スティーブン・スピルバーグ (プライベート・ライアン) スピルバーグにとって「シンドラーのリスト」に続く2度目の監督賞。 主演トム・ハンクスとは初のタッグ。当時ハンクスは「フィラデルフィア」「フォレスト・ガンプ2/一期一会」で2年連続アカデミー賞主演男優賞を受賞し、トップスターの座に上り詰めていた。「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」で注目されたばかりの頃のマット・デイモンも出演している。 欧州の激戦地から1人の新兵を救い出すために8人の兵士たちが集結。その指令に時に疑問を抱きながら、彼らは決死の作戦を展開する。 |
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主演男優賞 | ロベルト・ベニーニ (ライフ・イズ・ビューティフル) |
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主演女優賞 | グウィネス・パルトロウ (恋におちたシェイクスピア) |
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助演男優賞 | ジェームズ・コバーン (アフリクション/白い刻印) |
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助演女優賞 | ジュディ・デンチ (恋におちたシェイクスピア) |
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脚本賞 | 恋におちたシェイクスピア (トム・ストッパード、マーク・ノーマン) |
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脚色賞 | ゴッド・アンド・モンスター (ビル・コンドン) |
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外国語映画賞 | ライフ・イズ・ビューティフル (イタリア) |
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超大作「タイタニック」が全24部門中、史上最多タイの11部門で栄冠に輝きました。作品賞、監督賞のほかに技術部門を独占。「ベン・ハー」(1959年)の持つ最多受賞記録に並びました。
1998年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「タイタニック」
【配信:アマゾン】 監督:ジェームズ・キャメロン 作品賞、監督賞など11部門を制し、「ベン・ハー」に並ぶ最多賞記録を作った。 1912年に沈没した豪華客船タイタニック号を舞台に、ラブストーリーを描く超大作。 実話の事故と、フィクションの恋物語を組み合わせた。 日本でも絶大な支持を獲得。とりわけ1990年代を生きた大勢の女性たちにとって「永遠の名作」として心に刻まれている。 世界の興行記録を塗り替え、日本でも配給収入や観客動員数の新記録を樹立した。 レオナルド・ディカプリオが絶大な人気を博し、「レオ様」として崇められた。 ジェームズ・キャメロン監督はそれまで、 「ターミネーター1、2」「エイリアン2」といった傑作SFアクション映画を手掛けてきた。 完璧主義で知られるキャメロン監督は本作で、実物大のタイタニック号を建造してしまった。 製作費が膨れ上がり、ハリウッドの製作会社も逃げ出しそうになったが、監督は自宅を抵当に入れてまで、自分のこだわりを貫いた。 最新技術を駆使したスペクタクル映像。 セリーヌ・ディオンが歌うテーマ曲。 そして何より、ロマンチックで悲しい恋物語に、観客は酔いしれた。 タイタニック号の金庫に保管されていた1枚の女性の絵。モデルだった老女が当時の様子を語り始める。 17歳のローズ(ケイト・ウィンスレット)は、親の決めた結婚が嫌で船から投身自殺を図る。だが、画家志望のジャック(レオナルド・ディカプリオ)に助けられ、恋に落ちるが……。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ジェームズ・キャメロン (タイタニック) |
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主演男優賞 | ジャック・ニコルソン (恋愛小説家) |
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主演女優賞 | ヘレン・ハント (恋愛小説家) |
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助演男優賞 | ロビン・ウィリアム (グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち) |
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助演女優賞 | キム・ベイシンガー (LA.コンフィデンシャル) |
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脚本賞 | グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち (ベン・アフレック、マット・デイモン) |
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脚色賞 | L.A.コンフィデンシャル (ブライアン・ヘルゲランド、カーティス・ハンソン) |
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外国語映画賞 | キャラクター/孤独な人の肖像 (オランダ) |
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第2次世界大戦を背景にした恋愛悲劇「イングリッシュ・ペイシェント」が作品賞、監督賞、助演女優賞など9部門を制しました。9冠は歴代3位タイ。
1997年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「イングリッシュ・ペイシェント」
【配信:アマゾン】 監督:アンソニー・ミンゲラ 作品賞、監督賞など9部門で受賞した。 第二次世界大戦下を舞台に、砂漠で出会ったハンガリー人の探検家とイギリス人の人妻との悲恋が過去と現在を巧みに交差させて描かれる。 大戦の末期に飛行機事故で大やけどを負った探検家(レイフ・ファインズ)は、イタリアの野戦病院に運ばれてくる。 看護婦(ジュリエット・ビノシュ)の献身的な看病で男は断片的に記憶を取り戻していく。 自分はハンガリーの伯爵で、砂漠で会った英国人の人妻(クリスティン・スコット=トーマス)と激しい恋に落ちたこと、そして…。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | アンソニー・ミンゲラ (イングリッシュ・ペイシェント) |
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主演男優賞 | ジェフリー・ラッシュ (シャイン) |
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主演女優賞 | フランシス・マクドーマン (ファーゴ) |
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助演男優賞 | キューバ・グッディング・Jr (ザ・エージェント) |
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助演女優賞 | ジュリエット・ビノッシュ (イングリッシュ・ペイシェント) |
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脚本賞 | ファーゴ (ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン) |
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脚色賞 | スリング・ブレイド (ビリー・ボブ・ソーントン) |
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外国語映画賞 | コーリャ 愛のプラハ (チェコ) |
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豪州出身の俳優メル・ギブソン(当時40歳)が監督、主演の「ブレイブハート」が作品、監督賞など5冠に輝きました。 前哨戦では「アポロ13」が圧勝していましたが、スペクタクル的なブレイブハートに軍配が上がりました。
1996年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「ブレイブハート」
【配信:アマゾン】 監督:メル・ギブソン イングランドの侵略に立ち向かったスコットランドの英雄ウィリアム・ウォレスの生涯を描いた壮大なスペクタクル史劇。 メル・ギブソンの監督2作目。 アメリカでも日本でも初公開時は大ヒットにいたらなかったが、正攻法の演出が高く評価された。 下馬評では「アポロ13」が有力と見られていた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | メル・ギブソン (ブレイブハート) 史上5人目の俳優出身のオスカー監督となった。ロバート・レッドフォード、ケビン・コスナー、ウッディー・アレン、ウォーレン・ビーティーに続いた。 ギブソンは「マッドマックス」シリーズに出演して豪州のトップスターとなった。1980年に妻とともにハリウッドに渡った。 ギブソンの監督作品は「顔のない天使」(1993年)に続いて2作目。 「ブレイブハート」は13世紀のスコットランドの英雄ウイリアム・ウォレスを主人公にした伝記映画。脚本を読んだギブソンが、民衆のために戦ったウォレスの人柄にほれ込んで映画化を決めた。 |
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主演男優賞 | ニコラス・ケイジ (リービング・ラスベガス) |
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主演女優賞 | スーザン・サランドン (デッドマン・ウォーキング) |
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助演男優賞 | ケヴィン・スペンシー (ユージュアル・サスペクツ) |
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助演女優賞 | ミラ・ソルヴィーノ (誘惑のアフロディーテ) |
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脚本賞 | ユージュアル・サスペクツ (クリストファー・マッカリー) |
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脚色賞 | いつか晴れた日に (エマ・トンプソン) |
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外国語映画賞 | アントニア (オランダ) |
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大方の予想通り、「フォレスト・ガンプ/一期一会」が作品賞を受賞しました。監督、主演男優、脚色などを制し6冠の圧勝でした。作品賞レースには、「ショーシャンクの空に」「パルプ・フィクション」という2つの歴史的傑作もノミネートされ、レベルの高い争いとなりました。このうち「ショーシャンクの空に」はIMDBのレーティングで史上最高級の評価を続けました。「パルプ・フィクション」は若きタランティーノ監督の大出世作で、カンヌ国際映画祭では最高賞(パルム・ドール)に輝いていました。
1995年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「フォレスト・ガンプ/一期一会」
【配信:アマゾン】 監督:ロバート・ゼメキス 第二次世界大戦後のベイビー・ブームの真っ只中に生まれたフォレスト・ガンプが主人公。 知的障害をものともせず、アメフト選手として活躍。 ベトナム戦争従軍後は、卓球全米チームのメンバーに。 実業界としても大成功し、億万長者になった。 ロックンロールの1950年代、ヒッピーの1960年代、ベトナム戦争の1970年代と、 アメリカの戦後をたくましく生き抜くガンプ。 苦しいときも優しい心を大切にして純粋に生きる姿が感動を呼んだ。 ガンプ役のトム・ハンクスは、2年連続で主演男優賞を受賞した。 この年の作品賞ノミネートは、強豪ぞろいだった。 「ショーシャンクの空に」「パルプ・フィクション」という映画史に残る傑作が名をつらねた。 ただ、フォレスト・ガンプは、ハリウッド歴代4位にあたる3億1700万ドル(約285億円)を稼ぎ出し、一大センセーションを巻き起こしていた。前哨戦でも圧勝しており、作品賞はおおむね確実視されていた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ロバート・ゼメキス (フォレスト・ガンプ/一期一会) |
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主演男優賞 | トム・ハンクス (フォレスト・ガンプ/一期一会) ※前年の「フィラデルフィア」に続き、2年連続で同賞を受賞。主演男優賞の連続受賞は、第10、11回のスペンサー・トレーシー以来の快挙。 |
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主演女優賞 | ジェシカ・ラング (ブルー・スカイ) |
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助演男優賞 | マーティン・ランドー (エド・ウッド) |
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助演女優賞 | ダイアン・ウィースト (ブロードウェイと銃弾) |
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脚本賞 | パルプ・フィクション (クエンティン・タランティーノ、ロジャー・エイヴァリー) |
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脚色賞 | フォレスト・ガンプ/一期一会 (エリック・ロス) |
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外国語映画賞 | 太陽に灼かれて (ロシア) |
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ナチスのホロコースト(大量虐殺)からのユダヤ人救出を描いた「シンドラーのリスト」が、作品、監督(スティーブン・スピルバーグ)、脚色(スティーブン・ザイリアン)、撮影(ヤヌス・カミンスキー)、作曲(ジョン・ウィリアムズ)など7部門で受賞しました。
スピルバーグ監督は、数多くのヒット作を手掛けてきましたが、アカデミー賞受賞は、特別賞を除けば今回が初めて。スピルバーグ監督の「ジュラシック・パーク」も、視覚効果など3部門でオスカーを獲得しました。ジュラシック・パークは当時、恐竜ブームに火を付けました。
1994年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「シンドラーのリスト」
【配信:アマゾン】 監督:スティーブン・スピルバーグ 第二次世界大戦下、ナチスドイツに占領されたポーランドが舞台。 強制収容所に連行されたユダヤ人の命を救った実在の事業家シンドラーを描いた。 救われた人数は1100人以上と言われる。 自身がユダヤ系であるスティーブン・スピルバーグ監督が構想に10年以上を費やして映画化した。 スピルバーグ監督は1975年に「ジョーズ」で大成功。 以来、「未知との遭遇」「レイダース」「E・T」「インディ・ジョーンズ」など、記録破りのヒット性とクオリティーを兼ねた名作を次々に生んできた。 しかし、その功績・実力に外部の評価が追い付かず、オスカー受賞を逃してきた。 8年前にも、「カラーパープル」が11部門でノミネートされたが、受賞ゼロに終わった。 本作でついに作品賞や監督賞を獲得した。白黒作品の受賞は33年ぶりだった。 3時間15分もあるが、長さを感じさせない。 <受賞スピーチ▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | スティーブン・スピルバーグ (シンドラーのリスト) |
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主演男優賞 | トム・ハンクス (フィラデルフィア) |
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主演女優賞 | ホリー・ハンター (ピアノ・レッスン) |
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助演男優賞 | トミー・リー・ジョーンズ (逃亡者) |
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助演女優賞 | アンナ・パキン (ピアノ・レッスン) |
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脚本賞 | ピアノ・レッスン (ジェーン・カンピオン) |
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脚色賞 | シンドラーのリスト (スティーヴン・ザイリアン) |
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外国語映画賞 | ベルエポック (スペイン) |
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アカデミー賞で冷遇されてきたクリント・イーストウッドが初のオスカー受賞。自らプロデュースし、主演も務めた「許されざる者」で、作品賞、監督賞という栄冠を手にした。
悪役のジーン・ハックマンも助演男優賞に輝いた。
主演男優賞アル・パチーノ(セント・オブ・ウーマン)。5回目のノミネートで初の栄冠となった。
このほか、日本の石岡瑛子が「ドラキュラ」で衣装デザイン賞を受賞した。
日本人としては「ラストエンペラー」で音楽賞を受けた60回の坂本龍一さん以来のオスカー。
衣装デザイン賞では27回(1954年)の「地獄門」の和田三造氏、58回(1985年)の「乱」のワダ・エミさんに続き三人目。
オードリー・ヘプバーンとエリザベス・テイラーが「ジーン・ハーショルト友愛賞」を受賞。ヘプバーンはこの受賞を聞いた数日後に世を去った。
1993年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「許されざる者」
【配信:アマゾン】 監督:クリント・イーストウッド 重厚な西部劇。イーストウッドが、監督、主演、プロデューサーを務めた。初のオスカー受賞(作品賞、監督賞)となった。 老いて農夫となった元ならず者のマニーが、若いカウボーイから賞金稼ぎの話を持ちかけられ、かつての相棒ネッドと共に三人で無法者を追う。町の治安を守るために必死になる保安官と老いたガンマンとの決闘を描いた。 イーストウッドはこの栄誉に安住することなく、2000年代、2010年代にも傑作を次々とつくり続けた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | クリント・イーストウッド (許されざる者) |
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主演男優賞 | アル・パチーノ (セント・オブ・ウーマン/夢の香り) |
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主演女優賞 | エマ・トンプソン (ハワーズ・エンド) |
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助演男優賞 | ジーン・ハックマン (許されざる者) |
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助演女優賞 | マリサ・トメイ (いとこのビニー) |
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脚本賞 | クライング・ゲーム (ニール・ジョーダン) |
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脚色賞 | ハワーズ・エンド (ルース・プラワー・ジャブヴァーラ) |
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外国語映画賞 | インドシナ (フランス) |
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異色のスリラー映画「羊たちの沈黙」(ジョナサン・デミ監督)が5冠に輝きました。作品、監督、主演男優、主演女優、脚色という主要5部門の完全制覇。主要5部門の独占は「カッコーの巣の上で」以来17年ぶりの快挙でした。スリラー映画として初の作品賞。
対抗馬の「JFK」と「バグジー」はそれぞれ2部門の受賞。
コロンビア映画を買収したソニー・ピクチャーズが健闘しました。映画会社別にみると、「バグジー」「フィッシャー・キング」など36本の最多ノミネートで8部門を受賞。ハリウッドへの日本の企業進出を印象づけました。
1992年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「羊たちの沈黙」
【配信:アマゾン】 監督:ジョナサン・デミ 「スリラー映画はアカデミー賞で勝てない」というジンクスを打ち破った。 主要5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞)を独占。 「或る夜の出来事」(1935年)、「カッコーの巣の上で」(1975年)に次いで、アカデミー史上3作目の快挙だった。 ゴールデングローブ賞の作品賞(ドラマ部門)を獲得していた強敵候補「バグジー」に完勝した。 米国で公開されたのは、授賞式の約1年前の1991年2月。 早期に公開された作品は、印象が薄くなって不利になるというのが常識だった。 原作はトマス・ハリスのベストセラー小説。 女性FBI捜査官訓練生クラリスは、元精神科医でレクターを獄中に訪ね、異常連続殺人事件の犯人像のヒントを得ようとする。 殺人鬼レクターを演じたアンソニー・ホプキンスは、出演時間が20分以下なのに、助演でなく主演男優賞を受賞した。ジョディ・フォスターは2度目の主演女優賞を受賞。 また、「美女と野獣」がアニメ映画として史上初めて作品賞にノミネートされた。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ジョナサン・デミ (羊たちの沈黙) |
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主演男優賞 | アンソニー・ホプキンス (羊たちの沈黙) ※冷酷な殺人者レクターを演じた。出演時間が20分以下なのに、助演でなく主演男優賞を受賞した。 |
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主演女優賞 | ジョディ・フォスター (羊たちの沈黙) |
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助演男優賞 | ジャック・パランス (シティ・スリッカーズ) |
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助演女優賞 | マーセデス・ルール (フィッシャー・キング) |
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脚本賞 | テルマ&ルイーズ (カーリー・クーリ) |
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脚色賞 | 羊たちの沈黙 (テッド・タリー) |
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外国語映画賞 | エーゲ海の天使 (イタリア) |
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「ダンス・ウィズ・ウルブズ」が7冠を制しました。異色の西部劇。ケビン・コスナー(当時36歳)が製作・監督・主演を務めました。一方、7部門でノミネートされた「ゴッドファーザー3」は無冠でした。
授賞式はロサンゼルスで3月25日夜(現地時間)に開催された。
「映画誕生100年」をテーマに、華やかに行われた。
授賞式の模様は、日本衛星放送(JSB)が半日遅れで放映した。
これは当時としては画期的な早さでの放送だった。
米国ABCが生中継した映像を、JSBはほぼそのまま流した。衛星経由で映像が届くのと並行して翻訳作業をし、司会者の声の吹き替えの一部は生放送だったという。地上波では例年通りフジテレビが4月6日深夜に放映した。
1991年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」
【配信:アマゾン】 監督:ケビン・コスナー 白人の北軍将校と、ネイティブ・アメリカン(先住民)スー族との交流を描いた一大叙事詩。 西部劇が作品賞を受賞したのは「シマロン」以来じつに60年ぶり。ケビン・コスナーは初監督にして監督賞受賞。レッドフォードやビーティのように俳優としてよりも監督賞のオスカーを先に手に入れた。長さ約3時間。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ケビン・コスナー (ダンス・ウィズ・ウルブズ) |
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主演男優賞 | ジェレミー・アイアンズ (運命の逆転) |
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主演女優賞 | キャシー・ベイツ (ミザリー) |
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助演男優賞 | ジョー・ペシ (グッドフェローズ) |
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助演女優賞 | ウーピー・ゴールドパーグ (ゴースト/ニューヨークの幻) |
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脚本賞 | ゴースト/ニューヨークの幻 (ブルース・ジョエル・ルービン) |
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脚色賞 | ダンス・ウィズ・ウルブズ (マイケル・ブレイク) |
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外国語映画賞 | ジャーニー・オブ・ホープ (スイス) |
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は気難しいユダヤ人の未亡人と黒人のおかかえ運転手との心の交流を描いた「ドライビング・ミス・デイジー」が、作品賞など4部門を制しました。
世界映画界の巨匠、黒澤明監督(当時80歳)が特別名誉賞を受賞しました。壇上でスティーブン・スピルバーグとジョージ・ルーカスから祝福を受けました。
1990年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「ドライビングMissデイジー」
【配信:アマゾン】 監督:ブルース・ベレスフォード 意地っぱりな南部の老未亡人と、おかかえ運転手が、白人と黒人、主人と使用人、男と女の枠を越えて、しだいに心を通わせていく。 南部の黒人差別の実態を、さりげなく物語に織りこんだ。 監督賞にノミネートされず作品賞を受賞した初めての例となった。 ジェシカ・タンディは史上最年長80歳にして主演女優賞を受賞。 <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | オリバー・ストーン (7月4日に生まれて) ※「プラトーン」に続く二作目のベトナム戦争ものを題材に、その悲劇を描いた |
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主演男優賞 | ダニエル・デイ・ルイス (マイ・レフトフット) |
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主演女優賞 | ジェシカ・ダンディ (ドライビングMissデイジー) |
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助演男優賞 | デンゼル・ワシントン (グローリー) ※黒人俳優としては史上4人目のアカデミー受賞。南北戦争を舞台に黒人連隊を描いた。 |
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助演女優賞 | プレンダ・フリッカー (マイ・レフトフット) |
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脚本賞 | いまを生きる (トム・シュルマン) |
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脚色賞 | ドライビング Miss デイジー (アルフレッド・ウーリー) |
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外国語映画賞 | ニュー・シネマ・パラダイス (イタリア) |
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